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センパイ、自宅警備員の雇用はいかがですか?【コミカライズ版2巻8/28発売!】  作者: 二上圭@じたこよ発売中
反光合成禁断ノ時限果実

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 結果と成果こそ生み出せても、父にとって今のわたしは人前に出して、紹介できる自慢の娘ではない。だから泊りがけの外出なんて、遠い遠い過去の出来事。最後の宿泊ははて、いつ頃だっただろうか。


 少なくとも母が亡くなって以来、出先で一晩を明かしたことはなかった。


 だから目が覚めたときに初めて抱いた感想は一つ。


 知らない天井だ。


 古典芸能名言辞典に載ってそうな、そんな思いである。


 知らない部屋の匂い。同時に鼻孔をくすぐるのは、開封して間もない寝具の匂いであった。


 ぼんやりとした頭でも、順に記憶を遡る必要なく、置かれた状況を正しく把握していた。


 自宅警備員として、センパイに雇用してもらったのである。


 一軒家住みでこそあるが、センパイは一人暮らし。人を招いて宿泊させるなど、今までになかったらしい。この家にある寝具はベッド一つだけとのこと。


 シングルベッドを共にすることもなければ、どちらか畳の上で雑魚寝、なんてこともない。住み込みの福利厚生として、センパイが近くの複合スーパーで、敷布団を買い足してくれたのだ。


 ここはセンパイの隣部屋。入り口こそ個別にあるが、二つの部屋を区切るのは壁ではなくふすまである。生活音どころか寝息すら聞こえてきたほど。


 レナファルトであると以前に、この身は女子高生である。家族でもない成人男性と、同じ屋根の下二人きりで一晩を明かす。ただでさえ大問題だというのに、そんな二人を遮るのは薄いふすま一枚だけ。


 色々と思うことはあったし、センパイもそれは承知済み。


 気を使って二階を好きにしてくれていいと提案してくれたのだが、この首が振ったのは上下ではなく左右である。


 なにせここはホラーハウス。華々しい経歴は面白おかしくセンパイに語られてきた。そんな家に平然と住んでるセンパイマジヤバイと、草を生やしてきたほどだ。


 まさかそんなホラーハウスに足を踏み入れる日が来るとは。


 二階で起きた過去も知っているので、一人そんな場所で眠るのは怖すぎる。だからといって、センパイと同じ空間を共にするのは、それはそれで眠れる気がしない。華々しい跡がラグで隠されている狂人リビングも絶対無理だ。


 その果てで、センパイの隣部屋を所望したのである。


 慄きから意識を落とすのに時間がかかった。心と身体を恐怖で震わせた。


 それが落ち着いたのは、寝息が静寂を打ち破ってからだ。


 センパイがすぐ隣にいる。それを心の拠り所に置きながら、長い長い夜を過ごし、そして気づけば眠りについていたのだ。


 一世一代の人生を賭けたダイナミック家出。身体と精神は疲弊しきっていたので、途中覚醒もなくぐっすりだったようだ。


 日当たりが悪い部屋なのだろう。カーテンがない部屋にも関わらず、鬱蒼とした森の中のようだ。だから朝日がこの身を覚ますに至らなかったのか。


 隣部屋からは気配がない。


 ホラーハウスに一人取り残されたかのように、心許なさがこの身を襲った。


 今日は土曜日。センパイはお休みのはず。


 庇護者の面影を求めるように部屋を出ると、モーター音が早速出迎えてくれた。


 音の出本はここ、狂人リビングではない。開放されている扉の向こう側、ダイニングキッチンから漏れ出したものだ。


 覗き込んでほっとする。ザ・社会人の横顔がそこにはあった。どうやら電動ミルで、コーヒー豆を挽いているところのようだ。


「ん、おう。おはよう、レナ」


 こちらに気づいたセンパイは、模範的な社会の挨拶を唱えた。


 おはよう。


 長らく耳にしてこなかったその呪文。最早口馴染みなく、詠唱するのはすっかりご無沙汰となっている。


 レナファルトなら『おっすおっす』と返信するところだが、文野楓には実装されていない機能である。


「あ……」


 目をパチパチとしながら、センパイは喉を鳴らした。


 挨拶が返ってこないことに、気を悪くしたわけでも、気まずくなったわけでもない。


「まあ、なんだ……」


 むしろその顔は真面目なそれである。


「センキュー」


 礼を失しているにも関わらず、なぜかお礼を言われた。


 首を傾げそうになったところで、その目がわたしの顔を捉えていないことに気づいた。そっぽを向いているわけではない。わたしの目線のやや下。気持ち顎を下げている程度だ。


 釣られるようにしてその視線の先を追った。


 我が誇りが邪魔をして足元が見えない。それでもおかしい格好ではないはずだ。


 屋内装備は快適さと機能性を重視している。パーティーが開けそうな可愛さなんて必要ない。ゆったりとしたフード付きのパーカーと、膝丈上のハーフパンツだ。就寝時は上を脱ぐだけでいい、まさに効率厨に相応しい装備である。


 そんないつもと変わらぬ起き抜けの姿。薄手の白いシャツ越しに、誇りを支える下着がうっすらと透けていた。


 内から込み上がる感情を、レナファルトの発言に変換させるとこうなる。


『くぁwせdrftgyふじこlp』

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百合の間に挟まるな! ~脅迫NTRもの展開を阻止した結果、百合の間に挟まれた件~
推しの百合営業系Vチューバーの間に男が挟まったばかりに、脳破壊された主人公が子供時代にタイムリープした話。
本編とその前日譚まで完結しておりますので、よろしければこちらもご一読ください。



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― 新着の感想 ―
[良い点] せんきゅー [一言] あざす!
[良い点] 眼福眼福w よかったねw [一言] くぁwせdrftgyふじこlp
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