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エッセイ集

鬼滅の刃はなんでこんなにヒットしてるの? その理由を考えてみた

作者: 水源

 さて、アニメ映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」が公開初日の16日だけで興行収入(興収)10億円を突破したそうですが、これは最近の邦画では異常なほどの高い数字で、2日間で興収30億に迫る勢いだそうです。


 目標は100億円だそうですが、たぶん余裕ではないでしょうか?


 しかし、なんでこんなに鬼滅の刃はヒットしてるんですかね?


 個人的に理由を考えてみたのですが、


 1.アニメの完成度の高さとアニメ動画配信の普及


 封神演義の再度アニメ化された覇穹封神演義が、くそアニメ認定されているのに比べて、 鬼滅の刃のアニメは、実際素晴らしいですからね。


 演出や作画に定評のあるufotableが手掛けたことで、戦闘シーンの躍動感や世界観の演出は素晴らしく、“神作画”であったのも高い評価の理由でしょう。


 アニメ化された場合、はしょりすぎる展開やら、アニメオリジナル改悪、残念な作画などが作品を台無しにすることが多かったりするので、これはかなり幸運なことだったと思います。


 また「アマゾンプライム」や「Dアニメ」などの利用のより、放映時間に関係なく、いつでもどこでも画質の良いアニメを見ることができる、環境がそろってきているというのも大きいのでしょう。


 まあ、テレビ局にはうれしくないのでしょうけどね。


 2.そもそも日本人はむかしからチャンバラが大好きである。


 古くは「変移抜刀霞斬り」「真空切り」「円月殺法」「斬鉄剣(またつまらぬものを斬ってしまった)」から「リボルクラッシュ」「ギャバンダイナミック」「アバンストラッシュ」「風の傷」「牙突」「月牙天衝」などを、傘や棒切れなどで真似した男の子は少なくないでしょう。


 日本の場合は銃器に対してあまりなじみがないためか、銃の人気はどうしても限定的になりがちです。


 それに対して刀や剣といったもののほうがなじみやすいのでしょうね。


 3.女性作者であることと、子供向けゆえに、萌えに頼っていないこと。


 最近のラノベの発行部数の減少理由は、一つには文字媒体そのものが、情報量が多いうえに文字を情景に脳内変換しないといけないので、感情移入が漫画やアニメなどに比べて難しく、読むのに疲れるという根本的なものがあるとは思うのです。


 ですが、もう一つは2000年代後半以降の萌えの多用による、女性読者や萌えに興味がない読者離れがありそうな気がします。


 2000年前半くらいまでのラノベは男女どちらでも気軽に読めるものが多かった気がするのですが、2000年代後半以降は、エッチなイラストや男にとってだけ、都合がよく楽しめる内容のものばかりがもてはやされた結果、女性読者や萌えに興味がない読者が、どんどん離れていった気がするのですよね。


 その点、鬼滅の刃は作者が女性であり、子供向けなのでそういった男の性的欲求を満たす要素はあまりないように思います。


 え、薄い本はたくさんある?


 ま、まあ、そのあたりは人気作品の宿命なので。


 また、読者層に小学生が多いため、電子コミックの決済手段を持たない子どもたちが、紙のコミックを買っているのも、コミックが売れた理由でもあるのでしょう。


 また、気弱なのにいざとなると強さを発揮する炭治郎の同期でイケメンの我妻善逸や、”俺は嫌われてない”と空気を読めない兄弟子でやはりイケメンな冨岡義勇など、女性に支持されやすいキャラクターもいるのも強みでしょうね。


 4.わかりやすい王道の物語の構造と裏切られない努力の成果


 まず最も強い物語の始め方は「地獄から天国」であること。


 冒頭で家族が殺されて妹が鬼になってしまった状態を、受け入れられる読者は多くないかもしれませんが、その状態から仲間ができ、頼りになる先輩ができて、だんだん環境がよくなっていくというのは、人間は酷い境遇にいる人間に同情し、幸せになって欲しいと思う心理をうまく利用しています。


 異世界転生・転移や追放・婚約破棄が人気な理由もこの辺りがありそうです。


 また基本的な「鬼」と「鬼殺隊」の敵味方の対立は分かりやすく、鬼にも鬼になった事情はあるものの、主人公側のやっていることは本当に良いことなのか? みたいなことを考えなくていいので、敵が倒されたときに爽快なのだと思います。


 また、2019年ごろは団塊の世代の退職や少子化により、労働現場の人手不足もあって就職戦線も改善されてきていた時期だったため、努力は無駄ではなく報われるという空気も育ってきていた気がします。


 そのあたりはコロナ騒動で、全部吹き飛んだ気もしますが。


 そしてこの作品は成長描写がとても上手で、もともと能力が高い、鬼の様々な能力に翻弄されながらも、主人公の炭治郎は諦めないで、修行をきちっとこなしつつ、ちゃんと思考しながら戦っていきますが、その思考描写が丁寧であり、読者は炭治郎が成長していると認識しやすいのでしょう。


 突然神様などに強力な力を与えられ、特に何も考えずに敵を倒していくという話が、ささるのはなろうでは多数であっても、漫画やアニメユーザー全体でみるとおそらく少数派なのでしょうね。


 この成長描写が丁寧であれば、読者は感情移入することで納得感を得ることができますので。


 ゆるキャン△や放課後ていぼう日誌のヒットも主人公たちが、少しずつ成長していく様子が楽しいからというのもありそうです。


 あとはワンピースが飽きられつつある状態だったことなども含めて、運がよかったというのは間違いなくあるでしょう。


 まあそうはいったものの、私はなんで鬼滅の刃がここまで騒がれ、大人気なのか、さっぱりわからんなのですが。


 日本の場合、同調圧力が高く、学校ではやりのものの良さを否定すると、異端だと思われるので、とりあえずいいと思ってなくても、周りに合わせて褒めとけ的な空気もあるんじゃないのかな? とも思ったりします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 鬼滅の刃、本当驚くほどの人気になりましたよね。 けどこの流れって結構進撃の巨人とかジョジョとかとも同じ流れであるように感じています。 他にも去年の天気の子やその前の君の名は、他にはシン・ゴ…
[一言] ヒットし始めたとき、20巻位で1万円で発売済全巻買えたのも良かった様に思います。
[気になる点] 鬼滅の薄い本が有るんだ…… [一言]  鬼滅の刃が連載が少年ジャンプに新連載した時は絵が下手だなと一話切りしてしまいましたが、今やこんな話題になるとは思わなかった。テレビ放映されていた…
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