CORNU2 イスウァ・ティラフェリト
コルネール銀河共同体。
コルネールのガス体が発生する場所は酸素供給空間とみなされ、人工星圏として建造された世界だった。
だが、コルネールガス体が濃度を増してか居住地域は自然崩壊しだし、脱出艇に乗船できた人々はわずか数名だった。
脱出できた生存者たちは、艇内でも保存食品が大量にあったお陰でいろんな惑星移動も可能になり、サバイバル活動をして旅立っていったのだ。
しかし、彼ら生存者の中には鬼の化生が混じっていた。高級艦船を再建造し、艤装艦が完成した後、定住植民星でサバイバル歴を繰り返すばかり。
鬼の化生と判る者はその訳の判らないデータのない惑星に放置する事ができた。
それから何十年経った現在、蒼原と名の惑星に渡ったサバイバル子孫がいる艦の乗員たちが蒼原で改めて子孫を増やした。
旧時代に棄てた鬼の化生がいた惑星がこの蒼原だという説は未だに解明されてない。
そして――
敵と味方に分裂した仲間内の揉め事。紛争になり損ねたのは幸いした。それは、鬼の化生が蒼原で降誕したからだ。まるで昔の鬼の化生が現代でも再生したかのように。
蒼原人ヴラドがクードコルヌの甲蔵席から地上に着地できたのは、肩のツノが生えた一族の少女イスウァのお陰だった。
しかし、巨人は核石というブローチ型の鉱石らしい物が収納可能だという。
「収納できないんじゃ巨人を置きっぱなしになるんだけど」
ヴラドは苦悩していた。
イスウァは核石は強念で顕現できると言っていた。
「肩のツノがないぶん核石は出てこないんじゃ」
「ヴラド、キミの片方の肘のツノを触りながら強く念じてみて」
「こう? ツノってこんなに熱を帯びてるんだな」
ものの2、3分後に片肘のツノが真っ赤に変色しだした。
変色はすぐになくなりツノの先から石らしい欠片を発生、ブローチ大になりヴラドの掌に乗っかった。
「その欠片が核石よ。恐らく収納できるわ」
「あんな巨体を飲み込める欠片……想像を遥かに超える物だな」
「さぁ、早くやってみて。あたし、ここで長居できないわ」
ヴラドはそのできたての核石を高く掲げてみせた。すると、クードコルヌという鬼の化生は光の筋にフォームして核石の中に吸引しだした。
「再顕現もその核石を使ってできるの。だから大事に保管してね。後でブローチレースを作っておくから」
「なんか悪い。お礼返さないとな」
「ううん。充分に返せたから大丈夫。実はあのチーム……いいえ、あの組織は苦手だったの。組織抜けられる機会をキミがくれただけでいっぱいよ」
「つまり、あんたはそこでは居心地悪いから、裏切者になった事には未練はない訳だ」
「ええ、想い出ひとつもないわ」