第10話 戦争の兆し
僕たちはギルドの最上階…つまりレンの部屋に来ていた。
「さて…。ここに来た理由はなにかな?」
レンがソファーに腰を掛けて話しかけてきた。
「僕の他にも異世界から来た人が居ると聞いたので、来ただけです。」
「あぁ。そういうことね。僕も異世界から来た冒険者の相手は久しぶりだ。あと、敬語じゃなくていいよ。」
「わかりま──わかった。レンさん。」
いきなり敬語で言うところだった。
「レンさんもよしてくれ。固いのは苦手なんだ。気軽に呼び捨てでレンでいいよ。お互い異世界者同士よろしくね。」
「よろしく、レン。」
僕たちは固く握手した。
「そうだ。こっちの世界に来てからどれぐらい経ったんだい?」
「まだ、ここに来てから2日ぐらいかな。」
思い返すとこの2日間だけでいろんなことがあったなぁ。っていうかあの出来事全部2日だったのか…。濃密すぎるだろ。
「2日?!2日でどうやってアリス様と仲良くなれたんだ?!」
ビックリしたように叫ぶ。そりゃそうだ分かりやすく言うならば日本に来た外国人が2日で安○総理大臣と仲良くなった感じだもんなぁ。
「話すと長くなるんだが…。こんな事があったんだ。」
あの時の経緯を全部語って約30分。
「激闘だね…。僕はそんなことにならなかったな…。」
いや、多分僕がめちゃきちゃ不幸なだけだから…。と心のなかで思っていた。
「こっちの世界に来て2日だと、この国についてとか知らないでしょ?」
「世界についてだったら少し聞いたけど、詳しいことについては聞いてないな。教えてくれない?」
「いいよ。まずはこのギルド、ギルドは他の国にもあり、本部ギルドは国と同じ数だけあって6個、支部ギルドは国家によって何個もある。そして、ギルドに来ている冒険者はいくつものランクがあって、
F 辺境の地で死なずに敵を倒せる
E 村の小さな事件を解決できる
D 小さな村の危機を解決できる
C 村と町の小さな事件を解決できる
B 大きな村と町の危機を解決できる
A 国の小さな事件を解決できる
S 国の危機を解決でき、魔王軍の兵を倒せる
SS 魔王軍の将軍、魔王と対峙できる
と、8のランクに別れていて、このランクは全ての国で共通だ。そして、敵にも同じようなランク付けをされていて、
F 比較的影響は少ない。
E 小さな村に少しの被害。
D 町や村に壊滅的な被害が出る。
C 町や村を滅ぼすことができる。
B 国に壊滅的な被害が出る。
A 1国を滅ぼせることができる。
S 世界を破滅させることができる。主に魔王
というように敵も分類されている。ここの本部では主にクエストの依頼受付や王様からの命令を受けたりしているんだよ。」
「なんだかランクって小説で見たことあるなぁ。」
思ったことを率直に言った。
「まぁ、僕もここに来て思ったのがそれだからね。多分誰でも思うよね。」
笑いながら話した。
「武器ギルドは冒険者に適する武器を生産販売しているし、防具ギルドも同じく販売しているし…。」
「闘技場はどんな感じなの?ランキングが付くって聞いたけど?」
「そうか。闘技場があったね。闘技場は毎日行われてるけど大きい試合は1年に1回ある、国家闘技があるね。その国家闘技で1位になると【闘技王】の称号が貰える。称号は二つ名として使用できるから皆結構欲しくて参加する人が多いんだよね。」
「レンは何かもってるの?二つ名。」
いいよなぁ。二つ名。何かよく小説とかで見るけどかっこいいよなぁ。名乗るときとかに「私は【闘技王】ミドリ!」とか言えるんだよ?格好いいだろ!!
「一応持ってるけどカッコ悪いからね言いたくないんだ。」
なんか悲しそうな顔したけど気のせいだろう。
「二つ名を獲得するのにランクは関係ないから獲得してみてね。難しいけど。」
レンは立ち上がりながら言った。
「そうだね。格好いいしね二つ名。また分からないことがあったら聞きに来るね。今日はありがとう。」
「いやいや、こっちも有意義だったよ。またね。」
こうして、下の自動ドア前まで送ってもらって別れた。
今は長い間待たしてしまったアリスのご機嫌をとっている最中だ。
「ミドリさん!酷いです!何時間も待たせて…こっちは暇だったんですよ?!」
怒ったように…いや、実際怒っているなぁ。アリスは。
「ごめんって。ごめん!お金が手に入ったら何かを買ってあげるから…。それで、許してください。」
そう言うとアリスは許してくれたようで
「全く…。今回は何かを買ってくれるようなので許しますけど!次は許しませんからね!」
怒っているアリスも可愛いなぁ。と思っていると
「なんでこっちを見ているんですか?!お城へ帰りますよ!何か重大な事が起きたから早く帰ってきてくれ!って言われたんですよ。」
頬を赤くしてアリスがお城の方を直ぐに振り返った。
あぁ…。こりゃ完全に怒ってるなぁ。早くお金を稼がなきゃ…。
『あのさー、ミドリー。俺って一応魔王だからさランク的に言うとSランクじゃん?それを秘めてるお前もランク上の方じゃね?』
いや、知らないよ?流石にそこまで上がらないんじゃないかなぁ、お前の力を使えば強いかもしれないけど、まだ全然仙洞経験ないからなぁ。そこら辺の雑魚敵でも倒して感覚を掴んでおこうかなぁ。
「ミドリさん!こっちですよ!こっち!ボーとしてましたけど何か悩みごとでも?」
心配そうに覗きこんでくるアリスにビックリしたが、
「あぁ。いや、ちょっと他の国も気になるなぁと思ってね。」
実は魔王と話してるんだよね。何て言ったら驚かれるどころか絶対に引かれて、もしも本当だと知られてしまったら僕はここで兵士でも呼ばれて殺されるんじゃないかと思った。嘘だけど本心を言っておくのが正解だと思った。
『大丈夫、大丈夫。お前が死んでも俺はどっかに飛んでってまた誰かに憑依するだけだから。』
僕の損だらけじゃん!え?シューって不死身なの?
『不死身じゃねぇよ。ミドリの中から引っ張り出されて親しい人に殺されたら流石に死ぬよ。だからミドリが自殺すればミドリも終わりで俺も終わる。どうする?自殺しとく?』
なんでそんなに軽いんだよ?!居酒屋のもう一杯いっとく?的なノリで言うなよ!自殺するわけないだろ!もうちょっと異世界をたのしまなきゃ。
『ミドリは自殺が怖いのか欲望に忠実なのかわからんな。』
「ミドリさん!またボーとしてましたよ!そろそろ王城ですよ。大丈夫ですか?」
「あぁ。大丈夫大丈夫。それにしても、重大な事ってなんだろう?」
「それは分かりませんがとりあえず行きましょうか。」
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「おぉ!戻ったか。アリス、そしてミドリ。急に呼び出して悪かった。2人を呼んだのは重大な事が起きたんじゃよ。」
王様が慌てながら話していた。
「お父様!一体何が起きたのですか?」
「驚かないで聞いてくれ。
闇の国ドゥオルスが軍を率いて我が国へ攻めてきた。」
アリスが驚いて固まっている。
「えっーと…。一体何人ぐらいが…?」
「数は約1万。我が領土の第十二城ノクト城に今は攻めているらしい。このままでは落とされかねないし、できれば被害は少ない方がいい。数が多いが兵はCランクを筆頭にD、E、Fと続いているためそれほど苦戦はしないが警戒を怠らないようにしておきたいためBランクを筆頭に約5千人を派遣しようと思っている。ミドリはその中に入ってくれないか?」
「分かりm…えぇ?!」
話題を振られた僕はびっくりして一度下げた頭を直ぐに上げたので首が痛い。
「えぇ?!僕ですか?僕は強くないですが…。」
「いや、君には何か内に秘めているような気がしてな。まぁ、いつもの私の勘だ。とりあえず、ついていってもらってもいいか?」
「分かりました。」
あぁ。ここに来てから2日で凄いことに巻き込まれそうだぞ…。ちょっとワクワクしてきたぁ!
『………。あいつらかもな。』
ん?何か言った?
『いや、何にも。』
投稿が遅れて申し訳ない…。
私情ですがテストがあったせいだ。
テストの点?そんなもの気にしない!