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6話:ゴブリンの秘宝

続きです。

 ここはどこだ……これは会社でリストラ喰らった時の……

 くそ……夢ならもっといい夢見せてくれよ、リンカさんに抱擁してもらえるようないい夢を……たまにはそういう夢だって……ああ畜生。

 このクソ上司に何も言えなかったんだよな……本当に悔しかった。

 というか悔しいことばかりだぜ……人生上手くいかねぇよ、でもこっち来て学んだよ。

 行動すれば何かしらの結果がついてくるってな!


 「はっ!」


 やはりこうなっか、これに気付いたのは少し前だが……くっせ~


 「この臭いは……あん時の分岐で漂ってきた臭い……そして目の前には骸骨か……」


 あの時いかなかったあそこはおそらく死体置き場、俺もあの後ここに運びこまれたのだろう。

 

 「しかしけっこう骸骨いるな……」


 察するにここに来たお客さん達は全員こうなったってわけだ、俺が最初ではなかったのは残念だがみなここに入って出て来ることはなかったってわけだ。


 「しかし臭くて死にそうだわ……たぶんこの新しい死体が原因かな……」


 見たところ頑丈そうな鎧にこのマークは王国騎士団員の奴だ、紅い髪でけっこうイケメン風のガッチリした男……容姿のことはよく知らんがこの男がガルティアだろうな。

 

 「あのゴブリンはこいつを運んでてメダルに気付いて盗んだってとこか……」


 スウィンフォード伯爵家の金貨に関してはあのゴブリンがあの宝の山から拝借したと見ていいだろう。


 「まぁこのままじゃ終われないしいきますかね~」


 あ、あん時お前死んだだろ?って、説明してなかったけど俺死なないんだよね~

 いや厳密には死んでるんだけど死ぬと生き返るのかな?時間はかかるけど蘇生するんだよね。

 二週間前にウルフの群れに襲われて致命傷受けて逃げる為に崖から落ちた時に気付いた。

 あの爺に問い詰めたら死にたくないって言っただろ?みたいな感じで言いやがって、確かに死にたくないとは言ったけどそんな願いよりも俺は女とイチャイチャしてぇ。

 しかもこの能力は呪いという形で付与されているらしく解きたいならこの世界のどっかにある呪いを解けるアイテムを探せとのことらしい。

 これ便利に見えるかもしれないが死んだその瞬間に大きな激痛が走り意識がすぐに消失しないんだ、しかもその痛みは倍になって感じるんだから流石は呪いだよ全く……


 「ここは光が当たるからわかるがおそらく俺が死んで二十四時間は経っているな」


 昼ということはゴブリンどもは外に出ているだろう、まぁ強い個体は中にいるだろうがな。


 「うん?」


 何か物音が聞こえるな。


 「少し様子を見にいくか……」


 そのまま進み昨日転んだ広場までたどりついた。

 側面にある岩陰を進みつつ様子を伺う。


 「あれは……」


 ゴブリン達が光る何かをせっせと運んでやがる。


 「あれ金じゃねぇか?どういうことだ?」


 そういえばここは昔鉱山だったなんて話を聞いたな、もしかしてあの馬鹿ども金でも発掘したんか?

 しかもあそこがあの宝の山に……


 「しかし様子を見て慎重にいかないとだな……」


 この薄暗い洞窟の中だ……おそらくあの馬鹿どもがどっかに張ってるに違いない。

 あんときバレたの真ん中を通って堂々と進もうとしたのとどっかにいたのを見落としてそのままつけさせちゃったのが原因だろう。


 「よし、あいつら出てきたな……」


 しばらくすると穴に入った四匹が出てきてそのまま根城に帰って行った。

 ということは今あそこには誰もいないはずだな。


 「さてと……」


 お宝強奪や~

 恐る恐るあの道を進む、もし護衛のゴブリンがいればまた面倒だがいないことを信じたい。


 「こんだけ狭い道なら門番はまずいないかな……」


 俺二人分ちょいぐらいの幅しかない道だ、帰り待ち伏せされたら面倒だがこんなとこわざわざいるわけがねぇ。

 しかもやけに時間がかかってたしこの先がどうなっているのかは想像がつく。

 

 「やはりな~」


 数分かけてゆっくり進んだその先は行き止まり、これは間違いなくあれだわ。


 「馬鹿どもめ、お前らのやり方はお見通しだ」


 手で掘っていく、案の定下の方は脆く掘れば掘るほど進んでいく。

 もう少しだ……財宝が目の前だ……

 ただひたすら欲望に向かって進む自分、はたから見れば醜いのかもしれないがそんなことはどうでもいい。

 自分の進んだこの道に財宝をゲットするというルートがあっただけだ、周りが馬鹿にして相手にしないゴブリン狩りをしていた進んだ道だ。


 「これでしばらくお前等とは卒業するよ、俺はゴブリン狩り専門でいたくはないからな~」


 だがあの野郎はいつか俺が力をつけたら直々に相手をしてやるつもりだ……

 今はまだ歯が立たない、だがこの宝で必ずお前と同じ場所に立つ、それが財宝泥棒の矜持だ。


 「よし……」


 先までつなぐことが出来たのでそのまま潜るようにして入る、すると目の前のその財宝に圧倒されてしまう。


 「くぅ~」


 大きな声で叫ぶとヤバいので流石に自重するがこんだけの財宝を前にしたら誰しも狂ってしまうだろう。

 俺は今この金銀宝石類を独占しているのだ。


 「回収だな~」


 よく見るとここでとれた金以外にも流通してる金貨や銀貨もちらほら、宝石は今まで拾った物と思われるものもあれば原石っぽいのもあるみたいだな。

 ちなみにあの爺からいただいたこのお財布は金だけでなく貴金属類も無限に回収できると聞いている。


 「早速……」


 金貨や金を袋に入れ始める、袋の入り口は広げても直径十センチちょいだが吸い込むように入っていく。

 大きい物でも四次元ポケットにいれるかのごとく無理やり広がり入っていく。


 「これはいけるのか?」


 いつどこで拾ってきたのか疑問だが宝石が散りばめられた金の短剣だ、この袋は武器の出し入れはできなかったはずだが。


 「まじか……これは金及び貴金属の分類なんだな……」


 このダイヤモンドの原石はどうだろうか…

 試しに入れてみるが袋が拒否することなく入っていく。


 「凄い……この調子で全て回収だ~」


 音をなるべく立てず慎重に少しづつでの回収で全て回収するのに小一時間経っていた、だが今最後の金貨を回収し一つを除いて回収を終えた。


 「後はこれだな……」


 財宝に囲まれるように岩の台座に置いてあった緑色に光る宝玉……おそらくこいつが一番の宝だ。


 「いただきま~す」


 手に取ると改めて大きな力を感じる、そしてその宝玉はその場で光だしたのだ。


 「これは……眩しい……」


 輝きだした宝玉はいったん宙に浮くとそのまま俺の方に向かって来る。


 「こ、こっちに来る!」


 宝玉はそのまま俺の中に入っていく。


 「何だったんだ……」


 身体の中に入ったことで何か力がみなぎる感覚があるが……だが今はそれを確認している暇はないな。

 何やら気配を感じる、恐らく光出したことであいつらが不審に思ったのだろう。


 「不味いな……」


 慌てて穴に潜り通路側に戻って穴を埋め直す、あぶねぇあぶねぇ……


 「後は脱出だけだな……」


 まぁ仮に見つかっても死ねばやり過ごせるだろうが痛いのはごめんだ。


 「さておさらばだな~」



 ◇



 その頃ギルドでは……


 「今日はジュン君は?」

 「気になると思って受付嬢に聞きましたが昨日の朝以来ここには来ていないそうで」

 「えっ……」


 やっぱり昨日の変な予感は……

 「探さなきゃ!」

 「リ、リンカ殿!」

 「きっと彼は危ない目に、上達したのを過信して危険な所に行ったんだわ!」


 やっぱりちゃんと見ておくべきだった、ひとりでも挫けずひたむきに努力している姿は知っている。

 彼のこなした依頼を確認したけど徐々に難易度を上げていた、他の人からすればどれも簡単な依頼なのかもしれないけど彼はそれを一つずつ、馬鹿にされながらでも気にせず自分の持てる力をもってこなしていた。

 それは彼の話を聞いていてわかった、笑いながら話すその裏で自分の持てる力をもって全力で挑んでいた。


 「お待ちください!」

 「で、でも……」

 「彼を信じてやりなさい、きっと戻ってくる。それにあの調査もまだでしょう?」

 「まぁそうだけど……」


 ここら辺で行方をくらましたクルード男爵のご子息の足取りを探す為にここに調査に来ているわけだけど全く足取りが掴めない、ネネの森も探し回ったけどいない。

 スウィンフォード伯爵家のゼロの話を聞いてるから流石にあの有毒ガスが充満するあの鉱山跡の入り口には入ってないと思うけど……


 「いいわ、彼を信じて待つわ。あっちの調査をして時間を潰すわ」


 出来の悪い弟のような感じなのかもしれない……私には弟はいないけどあの子は放っておけない。

 こんな感覚になったのは生まれて初めてだけどそれだけ彼が見ていて危なっかしい。


 「絶対に帰ってきて顔を見せてね……」


序章はもうすぐ終わります。

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