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5話:ゴブリンの洞窟

続きです。

 「よしいくぞ~」


 さて昨日は興奮して寝れなかったけど元気いっぱいいくぜ~

 張り切っているのはいいけどゴブリンの秘密の抜け道だけあって複数いる可能性が大だ、あそこにいかなければなんとも言えんが油断は禁物だ。


 「さてさて……」


 十分な装備とはいいがたいが回復用のポーション等いくつかの回復アイテムとこのアイアンソードでどこまでいけるかだな……

 まぁ危険だと思ったら引き返す安全第一で。

 リンリン平原を抜け例の岩陰の前に辿り着く。


 「ここだな……」


 景気づけに途中で狩れそうなゴブリン計五匹ほど仕留めておいた、この案件が終わったら次がウルフだな。

 周りにゴブリンがいないことを確認しつつ岩陰を触る。


 「ここ実は押したら回転するからくり扉ですなんてことはないだろうから……」


 んなもん作る頭はないだろうからな。


 「おそらくここは……」


 あいつらはここを掘って進んでからまた戻しているとみていいだろう、あの時気付かなかったのは通るたびに掘る場所を変えているせいでどの場所も同じように埋めた後みたくなってて気づかなかったからだ。

 よく見ると下の方の壁と上の方の壁は色が違う。


 「なら簡単……掘るまでよ~」


 少し掘るとすぐに向こうに通じる穴が見えてくる、やはりこれはあいつらの秘密ルートだ。


 「ここまで掘ればいけるな……」


 そのまま穴に入り押し進む。


 「よっこいしょっと……」


 少し暗いな……取り合えず壁は埋め戻しておくか。


 「しかしこの先は一体……」


 薄暗い洞穴の中を進むんでいく、上の隙間から光が入ってくるお陰で真っ暗ではないが気味が悪い。


 「うっ……なんだこの匂い……」


 道が二つに分かれており左からは異臭が漂う……こっちはスルーだな……


 「こっちだな……臭くて死んじまうよ……」


 そのまま真っすぐ進むと大きな広間のような場所に着く、そこも二つに分かれていた。

 この広間は光が差し込まない場所のせいか少し暗い。


 「とりあえず真っすぐいくか……」


 進もうとすると何かに引っ掛かり転びそうになる、感触からして岩だろうか。

 それを深く考える暇もなく大きな音共にそのまま地面にキスをしてしまう。


 「いってぇ……どうなってやがる……」


 見えないとあれだな……だがたいまつを使えば目立つからな……

 起き上がりそのまま前の道に進もうとしたその時だった……

 

 「えっ……」


 暗くてよくは見えなかったが何かが俺の横を通り過ぎていったのはわかった。

 恐る恐る後ろを振り向くとゴブリンが三匹こちらに武器を構えているのはわかった。


 「やばい!」


 そのまま前に進んで逃げる、あの音なのか……またはもっと前からつけられていたのか……

 とりあえずあいつらから逃げないと……


 「くそ……」


 そのまま先に進んでいく奥から光が見えてきた、後ろから追ってくる音も聞こえてくる。

 俺は何かに取り付かれたように走った、今の俺の走りなら体育祭でヒーロー間違いなしだな。


 「ハァハァ……あそこに……」


 その進んだ先を見た俺は驚愕した。


 「これは……」


 大き目の空間で岩壁にはたいまつが置いてあったのだ、そして机やいすもあり居住区のようにも思えた。


 「まさかこんなことが……」


 その光景の中に映る椅子にはたくさんのゴブリンが座っており全員がこちらを見ている、よく見れば体格のいい見たことのないゴブリンもいるのがわかった。


 「うっ……」


 その光景に気を取られて動きを止めてしまったせいか後ろから飛んでくる矢が俺の背中に突き刺さったのだ。


 「い、痛い……」


 クソ……こんなん聞いてねぇぞ……マズイ……

 だが考える余裕などない、気付くと俺は叫びながら走っていた。


 「ファイア!」


 空間の真ん中を全速力で走る、こんなんヤバすぎるだろ……


 「どけぇぇぇぇえ!ブリザド!」


 邪魔をしてきそうなゴブリンに氷の基礎魔法を当てて退け先に進む。


 「す、進むしかねぇ……」


 空間という名の部屋を無事突き抜けた俺は必死に走る、後ろから飛んでくる矢の音なんざ気にしてる暇はない、背中の激痛もヤバいがここで止まれば命はない。

 後ろなんか見たらその瞬間恐怖にうち負ける……やつらの目は暗くてもよくわかる、あの黄色の目は暗闇でも変わらない。

 

 「何だよここ……」


 何がワイルドウルフも殺れるだ、ゴブリンみてぇな雑魚は余裕だと……こいつらめっちゃ怖いわ……


 「クソ……出口はどこだ……」


 するとまた二つの道だ、真っすぐ行けばまたこの暗闇、だが左からはそれよりも明るい光が見える。


 「こっちだ!」


 左に迂回する、するとその光景を見て俺は唖然としてしまう。


 「まさか……本当にあったというのか……」


 そう、そこにはあふれんばかりに輝く宝石や金の山が積んであったのだ。

 少し崖のようになっているがその下は宝の山だ。


 「そうか……ここに今まで集めた物を置いていたんだな……」


 こんなにも体はボロボロだが涙が出てきてしまう、こんな宝の山中々見れる物ではないからな。


 「うん?あれは……」


 宝の山の真ん中が高台のようになっておりそこには宝玉のような物が置いてある。


 「あれが一番の目玉か……よしあれだけでも回収……ウッ!」


 体が痺れる、どういうことだ……

 倒れながら後ろを振り向くとその原因がわかった。


 「マジか……杖を持つゴブリンとかいんのかよ……」


 そのまま倒れこむと複数のゴブリンが俺にまとわりつく、そしてさっき見た大きなゴブリンが俺の頭を叩くとそのまま俺の体を引きづってさっき通らなかった場所を進んでいった。


 

 ◇



 「うっ、痛い……」


 あの後何発か殴られたせいで体が動かない、意識があるだけましである。


 「ここは……」


 連れたかれたその場所は玉座の間のような場所でなんとも神妙な雰囲気であった。

 玉座に座る王冠を被った体格のいいゴブリンがこっち見て睨んでやがる、一体あいつはなんだ?ゴブリンキングとでも呼べばいいんか?


 「オマエシンニュウシャ……」

 「なっ!」


 あいつ人の言葉喋れるってのか、ゴブリンが嘘だろ……


 「おいあんた、俺達の言葉がわかるのか!」


 無理に体を起き上がらせようとするとさっき俺を引っ張ったデカゴブリンが俺の体を押さえつける。


 「ズガタカイゾ……カトウシュゾクガ……」


 お前らに下等種族などと言われる筋合いはこれっぽちもないんだがな……


 「ご、ゴブリンにはお前らみたいなのがいたんだな……」

 「ワレハゴブリンノオウ、アスト……スベテノワガドウホウノタメオマエヲイカシテハオケンナ……」


 まぁそりゃそうなるわな……怖いのに不思議と恐怖がないのはとうとう頭がいっちまったか? 


 「ま、待て!俺以外にここに来た奴はいなかったか?」

 「メイドノミヤゲニキカセテヤロウ……ガルティアトナノルオトコガツイサイキン……ケッコウマエニハネロトイウオトコトアッタナ……」


 やはりか……ガルティアはネロの後を追ってここに来たんだな。


 「二人はどうなった?」

 「シレタコト……ネロハセイコウホウデドクノナカココニキタ、ダガソノエイキョウデヨワッテイタ、ザイホウモミラレタシトウゼンコロシタ」

 「も、もう一人はどうした?」

 「ヤツハオマエトオナジヨウニウラカラキタ、ソシテワタシトサシデタタカイヤブレタ……サイゴハミズカラジガイシテシンダ……」


 そうか……やはり二人とも逝ってしまっていたか、ガルティアだけでも生きていればと思ったが残念だ。

 ゴブリンからしても自分達を殺す人間を生かしておく理由などない、もっと賢い生き物であれば人質にしてお金を巻き上げるとかが出来ただろうがあいつはともかく他の奴にそんな頭はない。


 「ヒトノシンパイヨリジブンノシンパイヲシタラドウダ?」

 「へっ、てめぇの顔は覚えたぞ……」


 ゴブリンのくせに王冠被った気に食わねぇクソ野郎だ、態度は尊大でただらぬオーラ、確かに王国騎士団員を倒すだけのことはあるんだろうな……

 でも忘れねぇし覚えておけ、いつかどっちが上かどうかこの身をもって教えてやるよ。


 「ヤレ!」

 

 その言葉と共に背中に大きな槍が突き刺さる、痛みを超える痛みが俺を襲う。


 「グァァァァッァ!」


 大きな悲鳴を出してしまう、こうなるのは数分前に予想できたことだが無理だ……

 こんなに凄い痛みは初めてだ……


 「グホッ……お、俺は……」


 何度も俺の体を槍で突き刺した後ゴブリンどものタコ殴り俺は意識を消失した。

 あのクソ爺……一生恨んでやる。



 ◇



 その頃冒険者ギルドでは……


 「あれ……」

 「どうしましたリンカ殿?」


 冒険者ギルドにてギルドの幹部と昼食をとっていたリンカはとっさにジュンのことが頭によぎった。


 「いや……あのジュン君いないな~なんて思いまして……」

 「こないだ助けたEランクの青年ですか?今日は依頼を受けないで出かけたみたいですな~」

 「そうですか……」


 依頼を受けずに出かけた……最近はゴブリンも安定して倒せるようになったみたいだけど。

 

 「心配なのですか?」

 「ええ、あの時助けた時に彼と色々話を聞いたので……」


 あの気さくな感じが他の人とは違い気になっていた、大体はみな私の身分や強さを聞いて一歩引くけど彼はそうじゃなかった。

 敬語ではあるけど見かけたらいつも声をかけてくれた。


 「ハハッ、大丈夫ですぞ~彼は一人ですし無理はしません」

 「だといいけど……」


短編も書いてみたのでぜひ見てください。

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