4話:情報収集
最近暑くて死にそうです……
拠点であるゴーランの町へ帰り依頼を済ませ宿へと戻る、巾着袋の中身は前みたく金貨は入ってなかったものの血のついた銀貨が数枚入っていた。
あの金のメダルが入っていたことを考えればかなりの儲けではあるのだがより謎は深まるばかりだ。
最初の金貨にしても今回の血のついた金のメダルにしてもだ。
おそらくあの持ち主は死んでいると考えていい、そして死んでる人物はおそらく有力者。
そしてリンカさんがここに来た理由と繋げて考えることができるのではないかと勘がつげていた。
「本人に言うべきか……」
ゴブリンに殺されたというのはかなり屈辱的だ……もしそうだとしてそれを聞いたらどう思うか……あのメダルの主が親しい仲だとしたら尚更だ。
「それとさっきのあいつらだ……」
岩陰に消えたあのゴブリンどもだ、あのからくりもどうなってやがる。
ちなみにゴブリンという生き物についてここで少し、奴らは鈍くて小さく単体ではただの雑魚だ。
だが奴らの強みと言えるとこが三つ、夜や暗いとこでも周りを把握できるあの目と雑魚故に気配をあまり感じないとこに、武器を何でも器用に扱えるというとこだ。
なので暗い場所で集団と戦うとなると少し難易度が上がる、雑魚と馬鹿にはされているがわざわざ夜にあいつらの集団を襲撃するような奴はいない。
二つ目の気配云々の話は確かに感じにくいが集団で一匹での単独行動を基本はしないのでほぼ機能しない、三つ目の武器云々は扱えてはいるが鈍いし動きは達人級になるわけではないので長所と言えるかは微妙なところだ。
「とりあえず夜飯でも食べてからまた考えるか……」
ギルドの横にある食堂に行く、最近は調子いいからリンリン鳥の串焼きに果実酒なんかも頼んでみる。
この世界の食べ物にも慣れてきてようやく美味しいと思えてきた。
「フッフフン~」
鼻歌を歌いながら食べているとうざい奴が絡んできた。
「よぉ~最近調子いいじゃねぇか?」
「そんなことはないよ」
Dランクのゼヴだ、俺をよく見下してちょっかいをかけてくる雑魚だ。
まぁ俺よりは強いがな。
「最近いいもん食ってるな~なんて思ってよ?」
「ゴブリンをやっと狩れるようになったからね、何とか生活できるようになったんだよ」
あー、こいつ早く消えてくれないかな……飯が不味くなるわ、いやもうすでに不味くなりかけてる。
「巾着袋なんざちまちま狩ってお金稼ぎとはずいぶんこすい真似を覚えたな?」
「生きる為にはしょうがない、まずはコツコツとだからな~」
「へんっ、雑魚のやることだな」
無理だ、蕁麻疹でそうだ……人には人のペースがあるんだからほっとけよ……
「それで話はそれだけ?もういくわ」
「待てよ、最近少しは腕が上がったみたいだし試しに一緒に依頼をどうだ?」
こいつのこれだがゼヴはDランクに上がったもののうだつが上がらずパーティの評判もよろしくない。
Eランク限定依頼を受ける為に俺を誘っているのだろうか……なんにせよこいつのパーティは前にEランクの初心者をいれて分け前出さなかったりとかなりブラックなことをしたせいでギルド所属一か月以内の冒険者とはパーティを組めなくなっている。
俺のことは前々から馬鹿にしてきたが一月たってゴブリン討伐を安定してやるようになったから誘ってきたのだろう。
だが俺もそこまで落ちぶれていない、組んで貰える金が減る上にストレスたまって危険度上がるとかわりに合わな過ぎて無理だわ。
「君の評判知ってるし一人で平気だから断るよ」
「なんだと!」
机を思いっきり叩く、そんなにキレられても嫌なものは嫌に決まっている。
「そもそも俺はDランクに上がるまではソロでやるつもりだから、それじゃあね」
わざわざブラックな企業を選ぶ理由はないからな。
「さて次は……」
ゴブリン狩りで少しは金も潤ったしとある場所へと向かう。
「知ってればいいんだけどな……」
この街のはずれにあるボロい家、一週間に一度情報屋ネミヤから情報を得る為だ。
ネミヤは情報を聞きに来る客の情報だけは漏らさない、かなりの情報通だけに信用できる。
「どうも~」
「お、あんたは確か……」
「一月ちょっと前にここいらの土地を教わったジュンだ」
ランスロットの爺から渡されたメモだけじゃ不十分だったので一度ここに来たのだ、この世界の話を聞いただけだったので大して金は取られなかったがけっこう詳しく教えてもらった。
「ぞうでしたね~それで今回は何を聞きにきたんですかい?」
この中背中肉のおっさんがどうやって情報を仕入れているのか気になるところではあるがただならぬ雰囲気からしてかなりの実力者であることは疑いようがない。
「スウィンフォード伯爵とガルティアにリャノン・カールハイト……そしてリンカ・スタンフィールドとの関係性を教えてほしい……」
「金貨一枚ですかね」
「知ってるのか?」
「ええ、当然でっせ~」
流石は凄腕の情報屋というべきだろう、だが高いな。
「払えるには払えるんだが今度出会った時にこいつを返してほしいんだが可能か?」
「どういうことで?」
「生憎そんなに金なくてな……」
刻印が入っている金貨を差し出すとそれを見たネミヤは一瞬でその訳を察したのか頷く。
「了解しやした、金貨一枚持ってきてくれればお返しいたしますのでそれまで責任もって持っておきます」
「それはありがたい、それで早速聞いてもいいか?」
「ええ」
ネミヤが話を始めた。
スウィンフォード伯爵家の長男であるネロ・スウィンフォードは大きなゴブリンの巣があると噂されるここら辺を執拗に調査していたらしい。
というのもゴブリンの光る物を集める習性と集団行動をしているということから今まで集めた財宝をどこかに集めているのではないかと考え財宝を探していたとか。
「そんなもん本当にあるのか?」
「さぁ~でもそんなもの見つかってませんからね~」
聞いたこともない話だ、そもそもあの馬鹿どもはどっかの街を襲うなんて話もないし財宝なんざ集まるのか?
「それでそいつはどうなったんだ?」
「それがゴズの洞窟に向かったところで消息を絶ったとかで……」
「あそこは有毒ガスが充満してて誰も侵入を許さないはずじゃ……」
ここは比較的平和な地域だがそんな地域の中にある数少ない立ち入り危険区域だ。
よくわからんが遠い昔は鉱山だか何かだったらしく中は洞窟になっているが毒ガスのせいで誰も立ち入らず今どうなっているかは誰もわからない。
「そこに財宝があるってか?」
「いや有毒ガスはゴブリンにも有効ですしそれはないかと……恐らくそこしか探してないとこがなくて行ったのかと……」
それはただの馬鹿だな、ご愁傷様だな。
「それをリンカさんがごまかそうとした理由はわかるか?」
「スタンフィールド侯爵家とスウィンフォード伯爵家は親交があるのでその愚行を公にするわけにはいかないからかと」
体裁ってやつか、まぁ貴族だとそこら辺は大事なんだろうな。
「なるほどな、それでガルティアとリャノンってのは?」
「おそらくですがガルティアというのはクルード男爵家の跡取りでブラントーム王国騎士団所属で名の知れた騎士でリャノン・カールハイトは子爵家の令嬢です。二人が家族後任の恋仲だったのも有名な話です」
「ふむ、それでガルティアはどこに?」
「それこそがリンカ嬢がここに来た理由です、極秘ですがリンカ嬢はここいらで行方不明になったガルティアの捜索で来ています」
「ガルティアと伯爵家の関係は?」
「ネロも王国騎士団の一員だっただけに面識はあったと思いますよ」
なるほどな、これで大体話はつながったな。
おそらくガルティアはネロから財宝の噂を聞いておりここいらに来たついでに調べていたんだ、だが行方不明になった。
ネロと同じように有毒ガスの中を突っ込んだのか……いや同じようなミスをしないか。
「了解、また何かれば聞きにくる」
「もう大丈夫ですかい?」
「ああ、いや……一つ聞いとくか」
あの謎のヒントでも貰うか。
「追いかけっこしててさ、曲がった先は行き止まりの壁まで相手を追い込んだんだ」
「はい」
「でも曲がるとそいつはいなくてさ、壁をよじ登るのは短期間じゃ無理だしどういう事かなって……あんたならどう考える?」
「なぞなぞですかな?それは簡単です」
「どういう事だ?」
「おそらく壁に仕掛けがあり実は通れるようになっているかと考えるのが妥当でしょう」
なるほど、そういうことか……消えるわけがないからな。
これで謎は解けた、明日はあそこに潜入だな。
「そういう事か……ありがとう、謎は解けたぜ!」
「それは何よりですな~」
もしそんな財宝なんてものがあるなら……まぁあてにはしてないが俺しか気づいてないあの場所……その先に何があるか……内心楽しみでしょうがなかった。
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