3話:血のついたメダル
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あれから数日間簡単な依頼を受けつつ情報収集をしていた。
リンカさんがここにわざわざ来たということは何か調べに来たと見て間違いないだろう。
「だがあまり聞き込みしすぎてそれがリンカさんの耳にでも入れば大変だ……」
慎重に慎重に進めないといけないな……さて今日の依頼だがゴブリンの巾着袋を五つ回収するという依頼だ。
そんなゴブリンばっかり依頼してるとどこぞのラノベのパクリだぞって?
他の魔物倒す実力あればとっくに倒しに行ってますわ~ゴブリンは報酬少ないし本当はもっと他の魔物倒してお金稼ぎたいわ……
ギルドでは今日も嫌味言われて馬鹿にされたんだぜ……あの野郎……Dランクで大して実力もねぇのによ……
「んなことはどうでもいいからとっとと巾着袋を回収しようか」
ゴブリンは雑魚しい巾着袋の回収は一匹づつ狩っていけば何の問題もない。
森の深くに入らなくてもたくさんいるし何の問題もないな。
あっそのムカつく野郎の名前なんざここでは紹介しないからな……理由は至極単純、名名前を聞くと不愉快になるからだ。
「さて……」
ちなみにEランクの冒険者は冒険者の中でも底辺ではあるが一つだけ利点がある。
それは初期費用の銀貨二十枚の返済が基本発生するからか報酬におけるギルドの仲介料がかからない、 通常は報酬の十パーセントだがEランクだとゼロだ、その代わり銀貨二十枚返しきるまでは報酬の半分はギルドに渡す仕組みだ。
Eランクでも受けられる依頼は依頼主からの指名がない限りはDランクより上の者は受けないというのが暗黙の了解となっている。
初心者救済の一環だろうな。
ちなみにゴブリン討伐だけでは永遠にDランクへの昇格はないのでEのままでも意外に稼げたりする。
「まぁ周りの下に見るあの目が嫌なんだけどね~」
早く力をつけてランクを上げて周りから認められれば自身の今後へとつながるからな。
街からでてネネの森の前に広がるリンリン草原へと行く、ここの名前の由来はリンリンと鳴くリンリン鳥が多数飛んでくるからだ。
小型だが食うとそこそこ美味しいが奴らは賢く早いので初心者が安定して狩るのは難しい、ゴブリンのアホども一部はそれが目当てだったりする。
「さて……」
生い茂る草を避けて進んでいくと早速二匹のゴブリン発見、のんきに歩いてて今から狩られるとも知らずに馬鹿な奴らだ。
俺って下を見て安心するダメ男だけにゴブリンを見下す精神は少し改めないといつか足元巣くわれちゃうかもな。
でもそれって結局巣くわれてからでないと心底から改めるのは難しい、それが人間の性と言えば性だがな。
「そぉっとそぉっと……」
こっそりと近づき間合いをとる、風がやや強めなお陰で音をかき消してくれて助かるぜ。
奇襲をかけられる位置まで来たらそのまま飛び出す。
「うおぉぉぉぉ!」
草むらから飛び出し襲い掛かる、不意を突かれたゴブリンは反応が遅れそのまま剣は片方の喉元を突き破る。
「うしっ!」
即死だったのかすぐに動かなくなったので剣を抜きもう一匹に襲い掛かる。
「サンダー!」
電撃で痺れさせ動きを止めたところをそのまま斬りつける。
「どや!」
何度か斬りつけられた二匹目もそのまま倒れこみ二匹から巾着袋を回収する。
「さて残りはあと三匹か……」
まぁちょろい、この調子であと三つ集めればこの依頼は終わりだな~
これで銀貨五枚は美味しい、巾着袋の中身は五つ回収してからのお楽しみにしよう。
依頼は袋を渡すだけで中身は回収しても問題ないからな。
「できれば鳥も仕留めて焼き鳥にしたいんだけどな……」
やつら魔法には敏感で避けられやすいことから一番有効なのは弓だが当然今の俺には使えん。
引いて離すという動作自体は簡単だが俺の今の筋肉量じゃ使えない、下手をすると暴発して変な方向に向かって人を殺してしまうかもしれないからな。
「今は地道に一つずつだな……焦ってもしょうがないことだ」
そのまま狩りを進めていく、ついでに狩れる分だけ狩ってもいいな。
巾着袋の中の中身が大当たりの可能性を考え狩る価値は十分にある。
「おっ!」
さらに今度は一匹であくびしてる獲物発見~
ああいうのをカモっていうんだよな。
「おらぁぁぁぁ!」
そのまま向かっていく難なく仕留める、ゴブリンはもう負けないし単体ならワイルドウルフも狩れるかもしれんな。
しかしここまでが長かった……最初はろくに剣も振るえずだったので短剣と魔法で命がけでゴブリンを仕留めていた。
この世界基準だと十歳ぐらいならゴブリン一匹は楽に狩れるのが常識で小遣い稼ぎに巾着袋を狙う子供もいるぐらいだ。
そんなものだから子供に馬鹿にされたよ、あれは悔しかった……絞めてやりたいぐらいだったがそれもできないレベルでなおうざかった。
あのガキ今いたらボコボコにしてやるんだけどな~
「まぁ今依頼だな……」
残り二匹か……さてもうちょい奥に進むとするか……
キョロキョロと周りを見ながら探していくと三匹のゴブリンを見つけた、だが何かに焦っているのか向こうもキョロキョロと周りを見ている。
「おかしいな……あいつら普段はスキだらけのアホなのに……」
見るとあいつらの手が赤く染まっていることに気付く、人の血なのかわからないがおだやかではないことは確かだ。
「確かあいつらの習性からすると汚れたら川とかで汚れをとるはずだよな」
ここから一番近い川が流れている場所に向かって先回りだな。
気付かれぬよう後退し川のほとりまで行く。
「あいつらのことだ……数分もすれば来るだろう」
木の陰で様子を見ること数分……あの三匹はこちらに来た。
「よし……」
三匹までのマニュアルは一匹目は隙を見て殺り、二匹目は動揺したとこを狙い、三匹目は真っ向勝負をする。
これが今三匹をよりダメージを受けずに倒す方法だ、四匹以上の時は一匹ないし二匹殺って袋奪って逃げるだ。
「いくぞぉぉぉ!」
手を洗っている三匹の背後から襲いかかりまず一匹目を斬りつける。
「ふん、サンダー!」
これまた初級の第一位階魔法だがゴブリンには有効だし何より水洗いしてるからなお有効だ。
「あと一匹……」
だがゴブリンは焦って逃げようとするのでそのまま襲いかかる。
「逃がすかぁぁぁ!」
だが俺の体はそのまま地面に落ちる、どうやらツルっとした岩に足を滑らせたらしい。
「くそっ……」
だがとっさに剣を投げ飛ばすその剣がゴブリンの腰の部分を掠り巾着袋を落としたのだ。
「いってぇ……」
そのまま地面にキスをした俺だが外傷はとくにない、そのまま巾着袋三つと剣を回収するが最後のゴブリンが落としていった巾着袋の中身が一部むき出しになっておりその中には妙なものがあった。
「これは……」
金のペンダントのようなものだが折りたためるようになっており中を開く。
「これは文字か……ええっと、我が愛しのガルティアへあなたのリャノン・カールハイトか……」
この世界の文字は簡単なので宿で引きこもっている時に覚えた、あのメモのおかげってのがあれだがね。
「しかしこれもなんで血がついてやがんだ……」
この時俺は考えた、こんなもの見てもわからん。
だがもしかしたらあいつ追いかけたら何かわかるかもと。
「あいつは鈍いしこの血の跡を追えばおいつくはずだ」
とっさに投げた剣は袋を掠め取るだけでなく道しるべを残してくれるとは……俺はついているぞ~
血の跡をたどりそのまま草原の奥へと進んでいく、ちなみにゴブリンの血は赤っぽい色でがある人間の血と比べら黒く赤黒色といった感じだ。
「しかし随分遠いな……血の跡はあるからこの道で間違いないとは思うが……」
進むごと十五分……とうとうあのゴブリンを見つけた。
一生懸命走っているがいつもより必死な感じがする、何よりあそこで即座に撤退モードだったのが気になる。
バレないように後をつけるとゴブリンが止まる、草陰からその様子を見ていると仲間のゴブリンと思われるのが四匹追加でやって来る。
ゴブリン五匹はまだ無理だから戦う気はないが五匹で話をしているとそのまま奥の岩陰に消えていく。
「ん?あそこは行き止まりのはずだが……」
しばらく様子を見てからその岩陰の中に向かう、だがそこはなんと行き止まりだ。
「あれ……」
あのゴブリンどもはどこに……
この岩陰へは一本道で横から抜けようもんならあの草陰からでも見える、でもあいつらは出てこなかった。
「テレポートでもしたってのか……」
何が何だかわからず村へ帰り依頼を済ませた。
ご指摘待ってます(笑)