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シャドさん流まで込みの名前です。

「まずは武術で戦ってみようかのう!」


 レイチェルは地面蹴ると、さきほどのトリノとは比べ物にならない速さでこちらへ向かってきた。けど、見える。正直村で1番運動が苦手なタイルさんよりも数段遅い。


「ん、これはカウンター出来ないな。」


「カカっ!そうじゃろう?」


 レイチェルは拳を軽く突き出すジャブのような技をする。こちらもカウンターをしようとはするが、素早く引っ込められる上に、重心も乗っていないので全て避けることにする。


 十数発ほどのジャブを避ける。避けること自体はそれほど難しいことではない。このレベルのジャブならいくらでも避けられる。だが、このままずるずると引きずる必要もない。


「ぬぅ…しかし速いのう、全てそらされるか避けられる。」


「村にいた皆にいつもコテンパンにされてたからね…これぐらいは造作もないよ。」


「言ってくれるのぉ。」


 再び距離を取って互いに見つめ会う。こうして見ると、レイチェルもかわいい女の子だ。

 いや、戦闘中にこんなことを考えるのは不躾かもしれんがな…キレイな金髪を肩まで伸ばしていて、身長は150センチくらいかな?幼げな顔立ちをしているけど、すごい可愛い。なんか庇護欲をそそられる。俺のなかでは可愛いという判断をせざるを得ないだろう。なんたってデアーばあちゃんぐらいしか比べ(以下略


「のぉ…あんまりジロジロ見られると…恥ずかしいんじゃがのう。」


「あ、ごめん!」


 咄嗟に頭を下げる。やばいやばい、これが俗に言う見とれる、というやつか。


「いいんじゃが…戦いの中でよそ見はいけんのう?」


 声が不意に後ろから聞こえてきた。何故だ、俺はさっきまで見つめ合っていた…つまりは俺の目の前にいたはずだ。それも距離を取って。


 バッと後ろを振り向くと、すぐ目の前には蹴りが飛んできていた。


「危なっ。」


「なぬっ!?」


 すぐに後ろへ飛び、事なきを得る。びっくりしたぁ…後ろを取られるとは……ていうか卑怯じゃない!?あんなのどうしようもないじゃん!


「ずるいよレイチェル!」


「我よりも、その反応の速さの方が我はずるく見えるがの。」


 そうでもないだろ?だってあれだろう?タイルさんが見せてくれた鏡ではなんか髪が金色に変色して見えない速さでバチバチとやりあってる映像があったよ。あれが都会の人の本気ってタイルさん言ってたもん。


「うむ…ならば魔法でもいこうかのう。」


「おぉ!都会の魔法ってどんなものなんだ!?」


「そ、そんなキラキラした目で期待するんじゃないぞ…」


 だってさっきもクレアの火炎魔法だって結局見れなかったもんな。そういえばあのブルームスフィアだったっけ?あれは火魔法なのかな?火炎魔法…なわけないか!


「我は望む、死した屍よ、その姿を権現し我に忠誠を誓え。主の名はレイチェル=フォント!『死霊召喚(ネクロマンス)』!!」


 レイチェルがそう唱えると、地面からモコモコとスケルトンのようなモンスターが生まれてきた。ちょっと気持ち悪い。


「す、すげえっ!なんかモコモコと生まれるのは気持ち悪いけど見たことない魔法だ!」


「気持ち悪いっていうな、我も気にしとるんじゃ。」


 あ、そう。ごめんなさい。


「ほれ、そんな余裕を見せていても良いのか!?これで大勢VS一人じゃぞ!?」


 レイチェルが生んだスケルトンの数は十数体。もちろん、状況だけ見れば俺の方が不利だろう。


「よっし、なら俺も本気でやるぞ!!」


 俺は体全体に身体強化魔法を掛ける。それも、体が耐えられないほどの。そして更に上から回復魔法を常に発動し続けることで、限界を越えた身体強化を行う。俺はこれでやっとその場から動けず、片手しか使えないというハンデを持ったシャドさんに一発打ち込むことが出来た。


「これが俺の奥義の一つ!『シャドさん流・限界魔法』だ!」


 ちなみに、この名前はシャドさんと二人で話し合って出来た名前だ。もちろんその他の三人に笑われたのはいうまでもない。良いじゃん別に。


「な、なんじゃ!?体が淡く光っておるが…」


「行くよ。」


 この状態は体に常に負荷を掛け続ける技なので、長い間使用は出来ない。さっさと終わらせる。


 全力で走り、周りを囲んでいたスケルトンたちを一発一発殴り込む。全て殴り終えるのに、体感2秒と言ったところかな。でもなんで抵抗しなかったんだろう?


「最後、とどめだよ!」


「ふぇ?」


 レイチェルの目の前まで移動し、何故か大きい目を見開いて、ぱちくりとしているレイチェルを吹き飛ばす……つもりだったが、女の子なので、加減してしまう。デコピンを軽く、ちょんっと打つ。


「い、痛いのじゃあっ!!?」


「えぇ!?そんな痛かった!?ごめん!!」


 やばい、力の入れ具合を間違えたかっ!?レイチェルは後ろに倒れ込んで尻餅をついた。おかしいな、既に『シャドさん流・限界魔法』は解いてるはずなんだが…


「うぅ…なんじゃあお前……化けもんか……」


 レイチェルは涙目で額を擦りながら言う。


「いやごめん、そんな痛くするつもりはなかったんだけどな。」


「それになんじゃ、あの常識はずれの速さは。目に見えんかったぞ。」


「あぁ、『シャドさん流・限界魔法』?」


「長い魔法名じゃのう……というか聞いたこともないぞ!あんな魔法!」


「あれは魔法で無理やりね。」


「あんなのデタラメじゃろうて!見たこともないぞあんな身体強化魔法!今までの比にならん速さじゃ!」


 そんなに速いかな?でも、村のみんなには誰一人結局勝ててないもんなぁ…


「とりあえず、我の負けじゃ、参った。」


「うん、良い勝負だったよ。スケルトンはびっくりした。」


「ふふ、そうじゃろう?我の自慢の魔法じゃったんじゃが…どこかの誰かさんが一瞬で蹴散らしてくれるからのう。」


「ご、ごめんって。」


 レイチェルはカカっと笑うと、そのままどこかへ歩いていく。


「まあいいのじゃ、この後残り2人を蹴散らせば良いんじゃろ?スルヴァみたいなのじゃなければよゆーじゃ。まだ最終手段も残しとるしの。」


「最終手段…?あ、頑張ってなー!」


 レイチェルは他の番号の人のところへ行ってしまった。俺じゃなければってのはどういう意味か分からないけど、まあこれで二勝だな。あとはもう一人適当なやつとやればいいのか。


 さて、と他の人たちはどんなもんなのかな?と周りを見てみると、この場にいる大概の人はこちらを見ていた。


「え、なに?どうしたの?俺なんか恥ずかしいことしたか!?」


 やばい!なんのことか分からないが、もしかして都会ではタブーなことを知らないうちにしてしまっていたか!?


「あんた、相変わらず常識はずれね…」


「あ、クレア。」


 人混みからクレアがスッと出てくる。なんか久し振りに感じて涙が出てくるよ。


「みんな見てたのよ。あんたのおかしいほどの強さを。」


「俺が?はは、冗談やめてくれって。そんなに強くないよ。」


「いやいや、おかしいでしょ。それにあんた無詠唱じゃなかった?」


「うん、そうだったね。」


 だって詠唱っていらないじゃん。詠唱をすることでイメージがつきやすく、魔力を練りやすいというのはあるけど、効率悪いし。


「はぁ…私もう驚かないわよ…他に気付いてる人、あんまりいないからこれからは詠唱の真似くらいした方がいいわよ。」


「なんで?」


 クレアは呆れたような顔をして、ため息をつく。


「当たり前よ、無詠唱ってこの学園でも数人しかできないんだから、バレたら色々と大変に決まってるじゃない。」


「そうなのか、よく分からんがクレアが言うならそうしよう。」


 無詠唱が出来るのが数人?まさか、そんなことはないだろう。みんな詠唱することで威力を高めてたりするんじゃないのか?それで威力が強まるかは知らんけど。それよりクレアはもう三人と戦い終わったのだろうか?


「ん?私ならもう終わってるわよ。」


「心のなかを読まないで?」


「だって聞きたそうな顔してたじゃない。」


 えぇ、聞きたそうな顔ってどんな顔なんだ…それにしても速いなぁクレアは。もう既に三人倒したのか。俺ももう一人見つけないとなー。


「あの、誰か俺と戦ってくれませんかー?」


「「「「「………………」」」」」


 なんも返答が返ってこねぇ!なんでだ…そんなに俺がおかしかったのか?

『なんだこいつ、雑魚じゃねえか、関わりたくない!』

 みたいな感じなのか!?悲しい、俺は友達をたくさん作るのが夢だったのに…もうその夢は潰えてしまうのか?


「俺が行ってやるよ。平民。」


「え?あ!ディーン君!!」


 人混みから出てきたのはディーン君、最初に俺を見ていた人だ。よかったぁ、誰も相手にしてくれないから一生このままかと思った。


「ありがとうディーン君!」


「あ?それは挑発してんのか?」


 もしかしてディーン君って実は優しいのでは!?だって俺が今困ってたときに出てきてくれたし…は!まさか俺と友達になってくれるかもしれない!


「よろしくね!ディーン君!!」


「なんでお前はさっきからそんなニコニコしてんだよ…?」


「あ、俺の名前はスルヴァ=トルミニな!よろしく!」


「話を聞かねぇ!」


 友達になれそうな人!もう一人発見したぞ!









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