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体力測定

「よーし!お前らいるなー!?遅刻は欠席と捉えるぞー?」


 先生がガラッとドアを開けて教室へと入ってくる。ついさっき目を覚ますことが出来たのは幸いだろう。


「今日は体力測定をしてもらう!みんな体操服を着て体育館に来てくれ!」


 簡単に言い放つとすぐにそのまま出ていくダイン先生。えっ、朝礼とかないのかな?俺が見た学校の映像はそんなのがあったんだけどなぁ。


「ていうか、体力測定って何するんだろう?」

「ぬ?知らぬのかスラヴァ?」

「うん」

「その名の通り基礎的な体力や筋力を判断するテストのようなものよ!」

「あ、クレア。そうなのか」

「うむ、ちなみにこの第一魔法学園の場合は順位として発表されるからの」

「ほへー」


 レイチェルとクレアが交互に教えてくれる。うんうん、こんな優しい友人が出来て嬉しい限りだよ。どっちもちょっと怖いけど。


 と、周りのみんなは続々と教室から出ていく。女子には更衣室があり、男子は教室でそのまま着替える。ということで、レイチェルとクレアはここでさよならだ。


「……さ、寂しい」


 他の男子はみんなグループを作ってるみたいで、俺が入れそうな隙間はない……。うーん、どうしよっかな?


「こ、これが噂に聞く『ボッチ』?」

 

 聞いたことがある!学校などのグループ活動が主になる施設に置いて、一人ぼっちを貫いている人に対して送られる称号……『ボッチ』!


「た、体育館ってどこにあるのかなー?」


 誰に言うわけでもなく呟いてみる。しかし返答はない。そ、そうだディーン君!ディーン君はどこだ!?


「ディーンくん!おはよう!体力測定頑張ろうね!」

「……ちっ」

「あ、待ってよディーン君!」


 話しかけるといつものようにクールに去ろうとするディーン君。でも俺は知っている。これがツンデレだということに!


「あのさ、ディーン君は貴族なんだっけ?」

「……」

「貴族っていろんな魔法が使えるんだよね?うわー!見てみたいなー!」

「うるさいぞ平民!俺に近寄るな!」

「そ、そんなこと言わなくても良いじゃないか!俺ディーン君以外に男子の友人いないからさ……」

「知るか!ていうか俺とお前は友達じゃない!分かったらさっさと着替えろ!」

「あ、はい!」


 うーん、一蹴されてしまった。けど、俺が着替えてないのを気に掛けてくれたみたいだし、やっぱりツンデレなんだよね?


「君たち、特にスラヴァ君。二人ともちょっとうるさいんじゃないかな?」

「えっと、君は?」

「ふん。優等生のつもりか?」


 眼鏡をかけた背の高い男が高圧的に話しかけてくる。プレッシャーが凄い…俺なんかした?


「僕はエテル=ミドールだ。別に優等生のつもりはない、君たちが非常識すぎるだけだ」

「俺を含めるな!非常識なのはコイツだけだ!」

「ひどいなぁディーン君。エテル君ごめん、うるさかったよね」


 キレそうになっているディーン君を落ち着かせながら謝る。もう、変に注意するからディーン君が興奮しちゃったでしょう?


「いや、分かってくれたなら良いんだ。じゃ、チャイムがなる前に行こう。五分前行動が基本だからね!」

「うん」

「ちっ!俺は最初からすぐ行くつもりだったのに、お前みたいな平民が構ってくるから遅くなるんだ」

「待っててね!すぐ着替えるから!」

「待つか!」

「じゃ、僕も先にいくよ」


 ディーン君とエテル君が俺を置いていってしまう。ま、待ってくれぇ…





 数分後、体育館への移動が完了する。すると、先に用意をしていた先生が紙とペンを片手に話を始める。


「これから体力測定を行う。この体力測定はお前たちを評価するのにとても大事なものだ。心して受けてほしい」

「「「はい!!」」」


 先生の説明と共に、体力測定が始まる。


「スラヴァ、あんたさっきより老けてない?」

「え、そう思う?」

「ええ。何があったの?」

「俺やっぱりクレアがいないとダメだ」

「は、はぁ!?なに!?急に何よ!?」

「レイチェルも、居てくれないと寂しいよ」

「ぬぉ?ワシもか?」


 持つべきものは友だよ。あの誰とも話せない感じ、すごい辛かったから。一人ぼっちはいやだよね。


「こら、お前ら。騒いでるんじゃないぞ」

「す、すいません」

「スラヴァか。よし、ちょっとお前こっちに来い」

「はい」


 嗜められると同時に、先生の前に呼ばれる。跳躍力を図るらしい。助走をつけて決められた位置でジャンプするだそうだ。ジャンプした先に板があり、そこを手で叩いて記録を図る。

 ジャンプ力かぁ。昔は身長を高くするには跳ねることが大事と聞いてシャドさんと一緒にたけのこを育ててたなぁ。


「スラヴァ、いけ!」

「あ、はい!」


 お手本ということで、みんなの前で飛ぶ。出来る限り高く……届け!


 ドンッという乾いた音が響き、体が宙に浮かぶ。

最も高いところに手を叩く。


「ほっ!…どうだっ!?」




 あ、あれ?みんなシーンとしてどうしたんだ?


「あの、先生?みんな?」


 唖然とした表情で、俺と叩いた板を交互に見つめている。と、先生が口を開いた。


「6m50cm……だな」

「あー、緊張して上手く飛べなかったや……」


 ザワザワと周りがうるさくなる。うわぁ、やばい。記録が低すぎた?だよな。もっと高く行けたはずなんだけど……


「いやいや!スラヴァ!お前どうやったらこんなに飛べるんだよ!?」

「えっ?えっと、こう、グッと力入れて膝から頭まで突き抜けるように飛ぶ感じですかね?」

「おいおい……この記録越えられるやつ、いるか?」


 ダイン先生がみんなに問いかける。みんなはただ首を横に振っている。納得いかないままに元の座っていた位置に戻る。すると後ろからクレアが話しかけてきた。


「今さら驚かないけど、あんたやっぱりおかしいわよ」

「な、なにがさ」

「あんたと居たらこの学園で一位を取れる気が無くなってくるわ……」

「自信満々なところがクレアの良いところだろ!?諦めちゃダメだ!」

「少し黙ってちょうだいスラヴァ」

「えぇ……」


 クレアが片手を頭についてため息を吐く。なんだよう、言いたいことがあるなら言えよう。


「普通はあんなもんよ」


 ちらっと指を指すクレア。その先にはちょうどさっきのエテル君が飛んでいた。記録は1m20cm。周りの人たちは普通に驚いている。


「え、本気でやってるの?」

「当たり前よ。むしろ高い方だわ。メガネの癖に運動神経良い方なのかしら?」

「それ偏見じゃない?」


 俺も田舎者だからと言ってバカにされたら怒るぞ!





「垂直跳びの結果。一位は6m50cm、スラヴァ。二位は1m55cmのディーン。三位は1m20cmのエテル。みんなも見習うように!スラヴァ!お前は論外!」

「えっ!?なんでですか!?」

「お前ほんとに人間か?」

「正真正銘人間ですよ!」


 失礼なことをいうダイン先生。どこからどう見ても360°普通の人間ですよ!


「女子の場合は一位!2mジャスト、ニア!二位!1m30、レイチェル!三位!1m25、ユノ!」


 おぉ!凄い。ニアとレイチェルがツートップだ。特にニアはずば抜けている。


「凄いなニア!」

「あ!スラヴァくん!いやいやいや!スラヴァ君の方が何十倍も凄いからね!?」

「うーん、偶然だよ」

「何万分の一の確率なのそれ!?」


 キレッキレだなぁ、ニアのツッコミは。


「次は反復横跳びだ!こっちに来い!」


 すぐに次の競技が始まる。まだまだこれから!頑張るぞー!


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