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指南その2『男の娘の化粧のロ』

登場人物

私(白雪姫)天王戦乙女(女王)

時雨柚(女騎士)

 化粧指南 初めてのコンシーラー


「んっふふ~、んっふふ~ん」


 なんだか聞いたことのある声がする。厳しいようなそれでいて、くっ、けしからんぞ、と今にも言いそうな女性が、可愛らしい声で鼻歌まで歌っているのであった。ここはどこだろう。


「んっふふ~、んっふふ~、これで私は美しい! 鏡よ鏡~」


 なんか楽しそうな声だなあ。


「この学校で一番美しいのはだあれ?」


 鏡はこう答えるのだった。

「天王戦乙女さまあなたです」

 鏡はさらに言うのだ。

「しかしあなたよりもっと美しいのが霞原紗香さまです」


 って……。私の名前がなにゆえっ?

 つかつか歩いてくる音が聞こえたのも束の間、目の前に、どん! と振り下ろされるローファーならぬハイヒール!?

 私は思わず叫んでしまう。

「ひぃ、打擲だけはご容赦を! 女王様……、ってあれ、女王様?」


「許さん! 兵士共!」

 みるみるぐるぐる巻きにされたまま担がれてしまう。


 あれ、これは夢かしら。


 気がつくと私は大きな窓のある部屋の天井で、ミノムシのように縛られて吊るされているのであった。

「かすみぃはらぁぁぁ~! 貴様! 何故日に日にきれいになっていく?」


 戦乙女、いや雪の女王様がまさに白いドレス姿でリンゴを持って、今にもそれ野球ボールのように投げつけてきそうな鬼の形相である。

「私はきれいじゃありませんよぉ!」

「貴様、さっさと毒リンゴを食え!」

 ご勘弁を、お代官様、お許しをっ。そう思っているところに――。


 窓ががしゃんと割られ、現れる金色の髪のなびく。現れたのは甲冑を着た、まるで西洋の女騎士であった。そのしゅっとした顔は……。


 時雨柚だった。

「さやちゃん、助けに来たよ」

 剣でロープを切られて、あっという間に私は解放されたのであった。


 心の底から感謝してしまう。

「ゆずちゃん! ありがとう!」


 ひとしきり再会の抱擁を済ませると、いつの間にか女王の兵士が取り囲んでいるのであった。


 歯ぎしりの音まで聞こえてきそうな顔で天王女王様が言う。

「私は絶対に美しい! なんだ貴様は!」


 柚は凛として答える。

「天王さん、君に足らないのはコンシーラーなんだ」


 コンシーラーとな。なんだか聞きなれない響きである。


 むむっと、興味を示したのか天王女王がなかば狼狽した様子で訊ね返す。

「こ、こんしーらーとは、なんだ!」


 甘い甘いと指を立てて振る柚が何かを取り出す。

 スティックのようなものだった。


「コンシーラーはね、化粧下地の上にさらに気になる部分、毛穴、くま、しみを魔法のように消す化粧品なんだ」


「ま、まほう! 私がそんなものに屈するものか!」


「甘いね! 天王さんにあるそばかすなんかも消えるんだよ」


 柚がくるりとスティックを回すと、あら不思議。

 スティックがひらひら蝶のように飛んでいって天王女王の顔をぬりぬりするのだった。終わると、みるみるそばかすが消えているのだった。


「ほら、鏡をみてごらん」


「おおおおっ! 私の悩みが!」


 さすが柚騎士であった。剣の一振り、否、コンシーラーの一振りで女王の悩みを打ち破ったのだ。


「ただし、コンシーラーにも色、種類さまざまあるし、ちゃんと見極めないとだめだよ」


 こうして私たちの国に平和が戻ったのだった。


実際のところ

下地クリームにコンシーラー成分があったり

コンシーラーだけがあったり

ファンデーションにコンシーラーがセットになってたり

ややこしいけど

まあコンシーラー特化がコンシーラーです

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