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指南その1『男の娘の化粧のイ』

登場人物

音花莉奈(北風)羽田猫子(太陽)

私 時雨柚(旅人)

 化粧指南 初めての化粧下地


 私は何故か時雨柚しぐれゆずと旅をしていた。柚は相変わらず顔がしゅっとしてきれいな金色の髪で、目がきりっとしてた。何で旅をしているのか分からなかったけど、柚と一緒になれて嬉しかった。ああ、こうしてずっと一緒にいられればいいのに。


 すると空から声が聞こえるのだった。


「私は太陽にゃ」


 あれは羽田猫子はねだねここの声……。


「むむっ、ならば私が北風か」


 今度は音花莉奈おとかりな先輩の声だった。


「旅人のどちらの肌を悪く見せるか勝負にゃ」


 太陽の猫子が言った。


「よろしい。望むところだ」


 北風の音先輩が受けて立った。


 肌を悪く見せるって何の戦いなのだ。一体……。


「日差しビームにゃ」


 猫子が合図すると急に周囲が明るくなっていった。


「さやちゃん気をつけて」

 柚が手をかざすと、眩いばかりの日照りが……、うっこれは紫外線が強そうだ。もう木も枯れ落ちそうな勢いの太陽光線だった。


「そんなときは、これだよ」


 どーんっと突き出したのが、CCクリーム?


「ゆずちゃん、な、何ですか、それは」


 私が訊ねると待ってましたといわんばかりに柚が説明しだす。


「カラーコントロールクリーム。太陽の光の反射を利用して顔をナチュラルに見せる化粧下地さ。ほら」


 顔に液体のようなものをべたべた塗られた。むむ……、塗られたがべったり感がない。さらさらしている。


「見てごらん」


 差し出された手鏡を言われて見てみる。映る私はまるですっぴんなのに白くてさらさらして別人のようだ。


「おおっ、何か素顔が自然な感じで綺麗に見える!」


「その通り。光の反射を利用して、ナチュラルに表情を明るく見せるんだ」


 次にやってきたのは北風の音先輩だった。


「くっ、霞原ばかりきれいになって許せん。こうだ」


 急に空が暗くなってびゅーうっと寒い風が吹きすさぶ。


 これじゃ寒くて寒くて乾燥肌になっちゃう。


「さやちゃん、気をつけて」


 柚がまた手をかざしている。


「さむいー、さむいよーー。肌荒れになっちゃうよ」

 あまりの寒さにみるみる肌がパリッパリのガサガサ肌になってるし、いやだ、これじゃ柚に顔向けできないよ。


「そんなときはこれだよ」


 ばっと突き出されたのが、BBクリーム?


「ゆずちゃん、何ですかそれは……」


 私がまた訊ねるともちろん待ってましたと言わんばかりに説明しだす。


「ブレミッシュバルムクリーム。気になる肌荒れをカバーするんだ。ほら」


 また顔にべたべた塗られていく。ちょっとべたべた感があるけど、なんかすごいカバーされている感がある。


「見てごらん」


 差し出された手鏡を見てみると、すごい、肌荒れが綺麗になっている。


「クマも消えてるし、万能なんじゃない……、これ」


「その通り。カバー力こそBBクリームの力なんだ」


 その時だった。


「だったら太陽もにゃ」


「北風も同時攻撃だ」


 ぎゃあああ。これでは太刀打ちができない。


「ゆずちゃん、どうしよう。これじゃ私たち肌が悪く見えちゃうよ」


 無駄だよ、と柚がひとさし指を立てる。


「化粧下地クリームには保湿成分も入っていたり、紫外線吸収成分も入ってるんだ、ちょっとやそっとのことで崩れないのさ」


「にゃんと、これじゃ勝負がつかないにゃ」


 太陽の猫子が負けを認めた。


「むっ、私もそのクリーム欲しいのだが」


 北風の音先輩も負けを認めた。


 北風と太陽は去っていきました。めだしめでたし。


下地一本でいける、そんな風に考えていた時期が俺にもありました。(刃牙)

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