For its promise... 2
一昨年大学を卒業して、早くも社会人3度目の春。
周りでは、宅配便よりも引っ越しのトラックが増え始め、南の方の桜前線がやってきたと慌ただしく、春を告げている。
しかし、先日の母親からの電話によると、地元は相変わらず雪解けが遅く、まだまだ朝晩寒い日が続いているらしい。
俺は、大学を卒業して、そのまま大学があった街で就職した。
そのため地元に帰るのは、正月と、毎年盆にひらかれる同窓会の時だけになっていた。
そういえば今年、中学からの悪友が結婚するとか言ってたな。
この前、正月に久しぶりに電話が掛かってきたと思えば、居酒屋に呼び出され、
高校から付き合っている子と結婚すると報告された。
どうせだったら、付き合ってるっていう報告から聞きかせてくれよ…。
そこを端折って当たり前のように言うなよ!
思わず、呑んでいた酒を引き出すところだったじゃないか…。
「そうか、俺たちもそんな歳か・・・」
なんて言えば、悪友はやたらと俺の古傷をいじって遊んだ。
「あいつ、昔から美人だったからなぁ~。
今じゃ、先生してんだろ?」
そろそろ職場恋愛で、寿退社じゃね?
・・・なんて、悪い冗談の脅しは、あながちあり得なくないかも・・・
なんて言ったら、君は怒るだろうか。
「ていうか、最近どうなんだよ?」
うるさいなぁ…
いるさ、彼女くらい。ほっとけよ・・・。
そう毒づいて酒を呷った。
~~~~
珍しく悪酔いをしてしまった正月のことを思い出し、手に持っていた携帯を見つめた。
どうせ、鳴らない。
今の彼女から?
・・・いや、そんなのはまた明日の夜辺りに電話かメールが来るだろうから、どうだっていい。
そんなこと言う俺は、男として最悪だな・・・。
まぁ、それでも構わないさ。
俺が待っているのは、ずっとあいつだけなんだから。
そう、多分お互いに連絡先も知らないのに、
俺はずっと待ってしまうんだ。
彼女の名前がこの携帯鳴らすのを。
だって、いつだって君は突然な人だったんだから。
・・・でも、そんな待っているだけの男じゃ、君には似合わないかな?
だって、君は今、夢の叶えてそこにいるんだから。俺なんかとは違って。
君は覚えているのかな。あの時のこと。
友達だった・・・
そう、なぜかずっと“友達”だった俺たちが、二人で語り合った夢の話を。
>>




