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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
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"Sincere"

掲載日:2026/11/02

『信じれば助かる』

そう思いたかった


寝かされたベッドには陽射しがきらきらと差し込んで居て、僕にはそれが、総ての毛穴を針で刺され、傷口を押し開かれて居るような痛みだ


痛みについて、正直に彼らに伝える事は出来ない

僕は人間と仲良くしたかったし、君の事を心から愛して居たからだ

ベッドの傍らでは神父が祈祷を捧げて居て、隣には泣き出しそうな顔の、君───人間の男の子が立って居る


実のところ、僕がいま感じて居る痛みの総てが、これら治療に由来したものなのは明白だったが、言うつもりには成ら無かった

それに、正直に総てを話した所で殺される事は同じだ

ならば僕は最後まで、人間たちから愛されたまま死にたかった



祈祷が一段落し、一握りの聖水が幾度も神父の手から振り掛けられる

感じた事も無い様な痛みと共に、此の世から一切の光が消え失せた


窓辺からの陽光が与える、刺す様な痛みは消えて居ない

少し遅れて「眼に聖水が入った為、自分は失明したのだ」と気付く

『自分が死ぬ事の動かぬ証拠』を突き付けられた様に思えて、脳裏の内側で様々な希望が、尽(ことごと)く砕けて屑に変わった


ひ、ひっ、と

自分が嗤う声がする


理由は解らない

でも、自分が嗤って居るらしかった


死期が近付いて譫妄(せんもう)が始まったと判断したらしく、君と神父が息を呑む音がする

でも考えてみれば本当に、僕は恐怖で気が違って居るのかも知れ無かった



祈祷が再開される

僕の手を握るものが在った


柔らかい

そして、汗ばんで居た


多分君の手が、指が、僕の手を包んで居るのだと思う


泣く声が、くぐもった音でゆっくりと聴こえて来る

誰かが騒ぐ声を、水底で聞いて居るみたいな感覚だった



水底

確かに、沈んで行く様な感覚は在る


全身がちくちくするのが不思議で、僕は真っ暗な中で周囲を視渡そうとした



最後に一瞬だけ意識が明瞭に成る

ぼんやりと、「早く死にたい」と思った


僕が死んだあと、正躰(しょうたい)に気付いてみんな気分が悪くなるだろうから

みんなが僕を嫌うだろうから


落下する様に、意識が休息に薄れ始めた

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