アイツの迷言が面白い
登場人物の名前以外実話です。
私には妹がいる。我が家で一番声の高い、突然変異呼ばわりされているアイツだ。
姉も兄も弟もいない私にとっての、唯一の姉妹である。
妹のことをずっと「アイツ」と呼ぶわけにはいかないので、ここでは佳澄と呼ぶ。
佳澄の言動はいちいち面白い。
そんな妹を見ていたらなんだかネタにできそうだと思ったので、ここでは、実の姉が「佳澄迷言集」を書こうと思う。
我が家はクリスチャンホームで、時々「グレゴリオ聖歌」と口にすることがなくもないのだが、佳澄はこれを「ゴリゴリの聖歌」と言う。
それだけではない。
夜ベッドに潜っているとき、母が「早く寝ろ」と電気を消した。
すると佳澄は、「消灯時間と就寝時間は違うし」と言い、あと二時間ほど起きていた。姉は三秒で爆睡であった。
佳澄は相槌が下手くそだ。
例えば、私が犬のフンについて話しているとしよう。
「犬のフンがさ~」と私が言うと佳澄は、「ウンウンあ、ねえねえこれ知ってる~? 」と言う。相槌を打ってから次の話へ移るまでの間が0.1秒なのである。
もうちょっとこっちの話に興味持ってくれたっていいじゃん? と、姉は思う。
皆さんは、「ムーミン」をご存知だろうか。
我が家は一時期夕飯を食べながら「楽しいムーミン一家」を見ていたくらいにはムーミンを知っている。
ある日寝る前に家族で話していると、ムーミンの話題になった。
リアリティを感じてもらうため、会話をノーカットでお送りしよう。飛ばしてもらって構わない。
方言が私、標準語が佳澄だ。
「知っとる? スナフキンって数え方『一匹』なん」
「え~なにそれ。アイツ一匹なの? 」
「そうそう。原作でスナフキンが初登場したときに、『一匹のムムリクがいました。』って書いてあってん」
「ほぇ~。あんな気取ってんのに一匹なんだ。」
「あ、あとムーミンて種族名やねんて」
「ほ~」
「ムーミンが生まれる前はムーミンパパが『ムーミン』て呼ばれとったんやって。ムーミンが生まれたことによって、ムーミンパパになってん。」
「うちらからしたら『人間』、『人間父』って呼ばれてるようなもんだよね。」
佳澄はそう言うと、一人でクスクス笑い始めた。気味が悪いが佳澄の一人笑いはいつものことなので、そのまま消灯した。
あとから笑っていた理由を聞くと、「現代社会の人間が皆『人間』、『人間父』、『人間母』って呼ばれてるのを想像したら面白くて。」とのこと。おそらくこいつはサイコパスだ。
次の日の夜の話題が『ミイとスナフキンの関係について』だったのは言うまでもない。
ご一読いただきありがとうございました。




