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Episode 06「翠×紅×金」

この物語はフィクションです。

作品内に登場する人物名・団体名・及びその他一切は全て、架空の名称であり、実際の名称とは関係ありません。


「では、体力試験長距離種目を開始する。位置について.......始め!!」


 開始の合図とともに生徒たちはいっせいに走り出した。


「お先に失礼するよっ!」


 ルナトリアはスタートと同時に先頭へと踊りだす。

 その顔は、まるで「私が最強なんだから、格の違いを教えてあげる」と言わんばかりのものだ。

 一方のヒスイは、中団の辺りをキープ。

 そのさらに後方、最後方に、ルクスが位置している。

 その後特に大きな動きは無く、ついに最終四周目に突入する。

 まず最初に動きがあったのは先団。

 ルナトリアの異次元のペースについていけず、ほとんどの生徒が速度を落としてしまう。

 四分の一地点を通過した辺りで、今度は後方からルクスが猛スピードで追い上げてくる。

 ここまで足を温存していたのだろう。そのままぐんぐんと順位を上げ、ついにルナトリアのいる先団へと追いつく。


「やっぱり来たね。ルクスくん」

「相当疲れてるんじゃないの?ルナトリア」


 そう挑発しあう二人だが、その表情に余裕は見えない。

 残り半周地点を通過し、ペースはさらに上がる。


「こっからまだ上がるのかよっ!化け物じゃねぇか...」


 一人の生徒がそう零す。

 先頭の二人はとっくに限界を迎えているはずだが、一向にペースが落ちる気配はなく逆にペースが上がっていく。

 まさにデッドヒート、限界を超えた戦い。

 僅か数センチメートルの差を懸けて二人が争う。

 しかし、その時間も長くは続かなかった。


「なんで...っ」


 驚きと悔しさが混ざった表情で呟くルナトリア。

 ルナトリアのペースが、ここにきてガクンと落ちる。


「当たり前じゃん。どんだけ長い間トップスピードで走り続けてたと思ってんの?それに引き換え僕は最後の最後まで足を温存していた。調子に乗って力の差を見せつけようとした君の負けだ」


 そんなルナトリアを横目に、その差をぐんぐんと広げていくルクス。

 ルナトリアは悔しさのあまり歯噛みする。

 このままルクスがトップでゴールする。誰もがそう確信した。

 だが、JOKERは全員の視界の外から現れた。


「なっ…どうして君がここにいるんだ、ヒスイくん…!!」


 独走状態だったルクスの真横には、いつのまにかヒスイの姿があった。

 さらに恐ろしいのは、ルクスが残りの体力を振り絞って走っているのに対し、ヒスイは額に汗一つかいていなかったことだ。


「僕、昔から体力には自信があるんだよね。それに、さっきルクスくん、自分で言ってたじゃん。"どれだけトップスピードで走り続けてるんだ"、って。その言葉、そっくりそのままお返しするよ」


 呆然とした表情でヒスイを見つめるルクス。


「それじゃ、一位はもらうね」


 ヒスイはスパートをかけ、さらに速度を上げる。

 そのまま他の追随を許さず、一位でゴールした。


「はぁっ、はぁっ...!!」


 その場にいた全員が驚きのあまり声を失っている。


「ヒ...ヒスイ・スーノロク。一着だ...」


 試験官ですら信じられないという表情でヒスイを見つめる。

 ルクスは息を荒げながら拳を握りしめ、ルナトリアに至っては瞳の端に涙を浮かべている。


「全員、そのまま歩いて観客席へと向かいなさい。途中に水分を補給できる場所があるから、必ず立ち寄って水を飲んでからいくこと」


 試験官はそう言うと未だに信じられないという顔をしながらタイムの集計を始めた。

 生徒たちは割り切れない悔しさを抱えたまま観客席へと向かう。


「まさか、ヒスイくんがあんなに速かったなんて...」


 他のクラスが試験を行っている間、ヒスイはルクスと話していた。


「いや、たまたま二人が先に消耗しただけだよ。三人同時に同じペースで走ってたなら、結果はわからなかった」

「いや、僕の完敗だよ。体力だけじゃなくペース配分も長距離走の重要な要素の一つだ」


 ルクスは潔く敗北を認め、割り切ったような顔をしている。

 一方のルナトリアは、隣にはいるものの不貞腐れて頬を膨らませてそっぽを向いている。

 ヒスイがふとアリーナの方に視線を向けると、Dクラスー妹のヒナが走っていた。

 ヒナは最後尾をふらふらとした足取りでしんどそうに走っている。


「あの一番後ろの子、知り合い?」


 隣にいたルクスが問いかける。


「双子の妹なんだ。生まれつき体が弱くて、倒れちゃわないか心配で...」


 ヒスイは不安そうに答える。


「なら、せめて迎えに行ってあげたらどうかな。そっちの方がヒスイくんも安心できるだろうし。僕もついていってあげるからさ」

「それもそうだね。ルナは、来る?」


 一応未だに不貞腐れ中のルナトリアにも声をかける。


「……いく」


 いや来るんかい!とヒスイは内心呟きながらも、二人を連れて一階へ降りる。

 長い通路を抜け、アリーナの入口に到着する。

 ヒスイたちが移動している間にDクラスの試験は終わったようで、ぞろぞろと生徒たちが出てくる。

 ヒナの姿が見当たらず辺りを見回していると、人がほとんどいなくなって開けたアリーナの中に、ヒナの姿を発見した。だが...


「ヒナッ!!!」


 そこにいたのは、担架に寝かされて運ばれていくヒナの姿だった。


                       ☨

小説投稿サイト「カクヨム」様に投稿させていただいてる作品です。

もしよろしければそちらの方もブックマークやいいねをしていただけると幸いです。


カクヨム版第6話↓

https://kakuyomu.jp/works/16818792436612198516/episodes/822139836936025767


カクヨムユーザーページ↓

https://kakuyomu.jp/users/HisuiuziH

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