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ナタリー•ローズ  作者: 徳田新之助
新たな旅立ち
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届かぬ声





ナタリーが旅を続ける中、世界各地で奇妙な出来事が起こっているという噂が耳に入るようになった。ある地域では、人々が突如として感情を失い、無気力になるといった現象が報告された。また別の場所では、人々の間に極端な**「無関心」や「諦め」**が蔓延し、社会機能が麻痺するという事態が発生していた。泉の囁きは、これらの現象がオリヴァーが提唱していた「虚無の秩序」に酷似していることを伝えてきた。


ナタリーは、オリヴァーが「黄金の澱み」の実験で得た知見を元に、新たな手段で世界に**「虚無」**を広げようとしているのではないかと危惧した。彼の目的は、単なる破壊ではなく、感情そのものを根絶し、安定した(しかし生命のない)世界を築くことなのだ。


数週間後、ナタリーと執事は、とある小さな村に立ち寄った。しかし、その村は異常なまでに静まり返っていた。人々は戸外に出て作業をしているものの、その顔には表情がなく、互いに言葉を交わすこともない。まるで、生きた人形のようだった。子供たちも遊ぶことをせず、虚ろな目で宙を見つめていた。泉は、この村の「地の息吹」から、恐ろしいほどの**「無感情」と「無関心」**の波動が発せられていることを伝えてきた。


ナタリーは村人たちに話しかけようとするが、彼らはナタリーの存在に全く気づかないかのように、ただ黙々と作業を続けるだけだった。温かいハーブティーを差し出しても、感謝の言葉もなく受け取り、感情のないままそれを飲んだ。ナタリーの心に、深い無力感が襲いかかった。これまでのように、負の感情を**「希望」**に変えることはできても、感情そのものが失われた人々をどうすればいいのか。


ナタリーは、泉の癒しの力を村人たちに流してみた。すると、村人たちの瞳の奥に、一瞬だけ微かな光が宿るのが見えた。しかし、その光はすぐに消え失せ、彼らは再び元の無表情に戻ってしまった。


「…私の声が、届かない…」ナタリーは唇を噛みしめた。


夜になり、ナタリーは執事と共に村の広場に座り込んだ。星が瞬く夜空を見上げながら、ナタリーは自問自答を繰り返した。この**「無関心」の闇は、これまでの「絶望」や「憎悪」、そして「欲」**とは全く異なる性質を持つ。人々の感情が失われてしまった世界で、ナタリーの「希望」の力は、どのように作用するのだろうか。

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