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ナタリー•ローズ  作者: 徳田新之助
新たな旅立ち
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囁く闇






ナタリーとマリオン、二人の「希望の光」が被災地を照らす中、泉の囁きは「虚無の徒」の具体的な動きを伝え始めました。彼らは、被災者の深い悲しみと絶望を増幅させ、それを糧として新たな霊力の核を複数設置しようと画策しているようでした。その中でも最も強く「絶望」を放つ核は、最も被害が甚大だった町の中心部に位置し、かつて人が集まる広場であった場所の地下深くに埋められようとしていることをナタリーは感じ取ります。


夜になると、被災地は重く淀んだ空気に包まれ始めました。人々の間に、再び不信感と諦めが広がり、マリオンの癒しの歌声も、以前ほどの効果を発揮できなくなりつつありました。疲弊した顔でうなだれる人々、夜空に向かって理由もなく叫び声をあげる者、そして、かつては助け合っていた隣人同士が、小さな食料を奪い合って争う姿さえ見られるようになりました。ナタリーは、これが「虚無の徒」が仕掛けた霊力の影響であることを確信します。彼らは、物理的な破壊だけでなく、人々の心そのものを蝕むことで、コミュニティを内側から崩壊させようとしていたのです。


マリオンは、ナタリーから受け取った力で、この負の感情の波を必死に押し返そうと奮闘していましたが、一人で全てを受け止めるにはあまりにも広範囲にわたる「絶望」でした。彼女の額には汗が滲み、その表情には苦悶の色が浮かび始めます。泉の共鳴は、このままではマリオンの心が「絶望」に飲み込まれてしまうとナタリーに警告していました。


「ナタリーさん…」マリオンは、荒い息を吐きながら言いました。「この…この闇は…強すぎます。」


執事もまた、事態の深刻さに顔を曇らせていました。「彼らは、ただの霊力ではありません。人々の心の隙間に入り込み、互いを疑わせ、希望を打ち砕こうとしている…」


ナタリーは、自身がマリオンに託した「希望の光」だけでは、この大規模な「絶望」に対抗しきれないことを悟りました。彼女は、かつて村で「闇の核」を浄化した際の記憶を呼び起こします。あの時、彼女は泉の清らかな波動と禁忌の箱の荒々しい波動を融合させ、「創造」の力を発揮することで、広範囲の闇を浄化することに成功しました。この被災地で蔓延する「絶望」に対抗するには、それ以上の、より強力な「統合された貌」の力が必要でした。


ナタリーは、マリオンの手を握り締めました。「マリオンさん、大丈夫。あなたは一人ではありません。私たちが、必ずこの闇を打ち払います。」


そして、ナタリーは静かに執事に言いました。「執事。私を、町の中心部へ案内してください。最も強い絶望が放たれている場所へ。」彼女の瞳には、昼の天使の優しさだけでなく、夜の守護者の冷徹な決意が宿っていました。ナタリーは、被災者たちの心から「絶望」を取り除き、「希望」を呼び起こすため、自身の**「統合された貌」**の力を最大限に引き出すことを決意します。しかし、それは、彼女の心身に計り知れない負担をかけることになるでしょう。

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