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ナタリー•ローズ  作者: 徳田新之助
聖なる泉の守護者
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守護の準備





遠き地の異変を感じ取り、自身の使命が村の外へと広がっていることを確信したナタリーは、村を離れることを決意した。しかし、彼女の心には、自分が不在の間に村が再び危機に瀕することを危惧する思いがあった。特に、聖なる泉と禁忌の箱という二つの重要な力が村に存在すること、そして村人たちの結束だけでは「虚無の徒」のような異質な力に対抗できないことを、ナタリーは痛感していた。


その夜、ナタリーは泉に向かい、深く瞑想した。泉の囁きは、彼女に過去の守護者たちの知恵を伝えた。それは、力を直接的に与えるのではなく、**「知識」と「共鳴」**によって、村全体が一体となって守りを固める方法だった。ナタリーは、自身の使命が世界に向かうとしても、この村の守りを疎かにしてはならないと強く感じた。


翌日、ナタリーはまず、執事と共に古文書をさらに深く読み解いた。特に、非常時に泉や禁忌の箱の力を安全に隠蔽したり、あるいは特定の条件下で村人が一時的に泉の恩恵を受けたりする方法を探した。その結果、彼女は、泉の力を利用して村の土地そのものに微弱な結界を刻み込む方法と、禁忌の箱を一時的に隠匿する古の呪文を見つけ出した。


午後、ナタリーは神父を訪ねた。神父は、遠方の教会から届く手紙の中に、原因不明の混乱や不作、争いに関する報告が増えていることを明かし、ナタリーの見た光景と符号するようだった。ナタリーは、神父に自身の旅立ちの決意と、村を守るための計画の概略を語った。


「神父様。私が旅立つとしても、この村と泉、そして禁忌の箱は守られなければなりません。村人たちの信仰と結束は強固ですが、異質な力に対抗するには、もう少し具体的な守りの『仕組み』が必要です。」


神父はナタリーの言葉に真剣に耳を傾けた。


「私が旅立つ前に、村人たちに泉の真の恩恵、そして古の力の存在を、少しずつですが理解してもらう必要があります。それにより、彼らが自らの手で村の守りに関わる意識が生まれるでしょう。」


ナタリーは、神父の協力のもと、村人たちに、泉が単なる水源ではなく、村の生命力そのものであり、人々の「希望」と共鳴して力を増すことを教え始めた。また、禁忌の箱については、その危険性を伏せつつも、「村の平穏を保つための古の均衡」として、その存在を一部の信頼できる年配者たちにだけ伝えた。


さらに、ナタリーは若者たちに、簡易的な**「共鳴の儀式」**を教え始めた。これは、泉の波動を感じ取り、村全体の活力を高めるための瞑想法だった。これにより、村人一人ひとりが泉との繋がりを強め、もしもの時に泉の力を通して互いの「希望」を増幅させ、霊力のような精神的な攻撃に対して自衛できる基盤を築こうとしたのだ。


「私がいなくなっても、この村には、聖なる泉と、そして何よりあなたたちの**『絆』**があります。それが、何よりも強い守りとなるでしょう」


ナタリーは、村人たちの顔を見つめながら語りかけた。彼女の言葉は、村人たちの心に深く響いた。


数日後、ナタリーは執事と共に、村の守りを強化するための最後の準備を進めた。泉の周囲には、ごくわずかな泉の力を取り込んだ石を配置し、これが村全体を覆う微弱な結界の要となるように調整した。また、禁忌の箱の封印を一時的に強化し、その場所を知る者がごく少数に留まるよう、執事と共に最終的な確認を行った。


夜明け前、ナタリーは神父に別れの挨拶をした。神父は、ナタリーの覚悟と、村に残された希望の光を感じ取っていた。


「どうか、お健やかに。そして、貴女の光が、遠き地の闇を照らすことを信じております。この村は、我々が守り抜きます」


ナタリーは、神父の言葉を胸に、執事と共に村を後にした。夜空には満月が輝き、新たな旅路を静かに見守っていた。ナタリー・ローズの**「統合された貌」**は、今、この小さな村を越え、広大な世界へとその光を放つ時を迎えた。果たして、彼女が辿り着く異国の地で、どのような試練が待ち受けているのだろうか。そして、彼女はそこで、いかにして「希望の光」を灯すのだろうか。

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