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ナタリー•ローズ  作者: 徳田新之助
聖なる泉の守護者
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真実の光





伯爵の暗躍にもかかわらず、村人たちのナタリーへの信頼は揺るがなかった。特に、ナタリーの癒しの力で苦痛が和らいだ鉱夫たちは、彼女の言葉が真実であることを確信し、積極的に伯爵の不正を訴えるようになった。神父もまた、教会の説教で「真実の光」と「正義」を説き、村人たちの心を一つにした。


焦燥に駆られた伯爵は、最後の手段に出た。彼は、村の治安を預かる騎士団の隊長に賄賂を渡し、村で不穏な動きをしている「魔女」、すなわちナタリーを拘束するよう命じた。


ある日の夕暮れ時、ナタリーが孤児院で子供たちに読み聞かせをしている最中、騎士団が教会に現れた。隊長は神父に、ナタリーを引き渡すよう要求した。


「この娘は、村に混乱をもたらし、伯爵様の事業を妨害している。正当な理由による拘束だ!」


隊長の言葉に、子供たちは怯え、神父は激しく抗議した。


「ナタリー様は村の恩人です! 貴方は真実を見ようとしないのですか!」


その時、ナタリーは静かに立ち上がった。彼女は子供たちを落ち着かせ、神父に微笑みかけた。


「神父様、ご心配には及びません。真実は、必ず明らかになります」


ナタリーは、騎士団の前に進み出た。


「私が村に混乱をもたらしていると? それは、真実を隠したい者たちの言葉です。もし私が罪を犯したというのなら、その証拠をお見せください」


隊長は言葉に詰まった。彼が持っているのは伯爵の命令と、ナタリーを中傷する噂だけだったからだ。


「証拠は…追って明らかにされる!」


隊長は言い放ち、騎士たちにナタリーを捕らえるよう命じた。


しかし、騎士たちがナタリーに手を伸ばそうとしたその瞬間、ナタリーの身体から、泉と古の力が融合した虹色の光が放たれた。それは、物理的な力ではなく、人の心に直接働きかける波動だった。騎士たちはその光に包まれると、突然、自分たちが伯爵から受け取った賄賂の額や、伯爵の命令に逆らえなかった自身の弱さ、そして、目の前のナタリーが放つ清らかな「正義の気配」を鮮明に感じ取った。彼らの心に「罪悪感」と「後悔」が湧き上がり、剣を持つ手が震え始めた。


「貴方方が、本当に守るべきものは何ですか? 権力者の私利私欲ですか? それとも、この村の、そしてそこに住む人々の平穏と希望ですか?」


ナタリーの言葉が、彼らの心を深く抉った。


騎士たちが戸惑う中、村人たちが教会に駆けつけた。鉱夫たち、彼らの家族、神父、そして孤児たち。彼らは口々にナタリーを庇い、伯爵の不正を訴えた。村人たちの「希望の歌」が再び響き渡り、それは騎士たちの心の曇りをさらに晴らしていった。


騎士団の隊長は、混乱した表情で剣を下げた。


「…我々は、間違っていたのかもしれない」


彼の言葉に、村人たちから安堵の声が上がった。騎士たちはナタリーに手を出さず、伯爵邸へと引き返していった。


翌日、騎士団の隊長は、伯爵の不正に関する詳細な報告書を、伯爵家を監督する上位の貴族たちに提出した。光り輝く地図の件も報告書に添付され、伯爵はもはや逃れる術を失った。


数日後、伯爵は鉱山の不正な採掘と村人への不当な扱いを認めざるを得なくなった。彼は炭鉱の操業改善と、病に苦しむ鉱夫たちへの十分な補償を約束させられ、最終的には多額の罰金を科せられた。村の炭鉱は、より安全な方法で、村の管理のもとで運営されることになった。


村に真の勝利が訪れた。ナタリーは、鉱夫たちが健康を取り戻し、子供たちが再び明るく笑い合う姿を見て、静かに微笑んだ。彼女の「統合された貌」は、人々を癒し、不正を暴き、そして何よりも村に希望をもたらした。ナタリーは、この経験を通じて、自身の力が単なる物理的な力だけでなく、人々の心に働きかけ、社会の不均衡を正すための「光」であることを改めて実感した。しかし、彼女の心には、この村の小さな勝利が、世界に広がるより大きな問題のほんの一端に過ぎないという予感も芽生えていた。

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