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第一章 ハジメとゼロマル 1

 今から三十年前のことだった。大平洋に、突如巨大な島、大陸が隆起したのは。

 大陸の出現は、大平洋周辺に一ヶ月に渡って津波や火山灰による多大な被害をもたらし、そして急速に沈静化した。

 災害の後に残った大陸は、国土や植民地が被った損失を少しでも埋め合わせようと、多くの国々が所有権を主張しだした。

 大陸を巡っての国々の対立は、幾多の外交と戦争を繰り返し、決着をつける迄に数年の月日を必要とした。

 こうして、大陸は五つの国家によって分割統治されることになったのだ。

 大陸南部は、トライランドが統治した。地球の北半球の大地のほぼ七割を占めている『広台大陸』の西にある三つの島から構成されている国家である。

 国土は、五ヶ国の中で最も狭いが、植民地の広さは最大を誇っていた。

 大陸東部は、ノヴァの新しい国土『ニューノヴァ州』となった。

 広台大陸東部の国々からは『新星共和国』と呼ばれているこの国は、トライランドの植民地から二百年程前に独立した最も歴史の浅い国だ。

 トライランドの西にある『西海洋』の西側に位置する『新大陸』が、ノヴァの国土だった。

 元々広大なこの国は、植民地を持たないことが建前になっていたので、統治する場所を新しい州と便宜上呼んでいるのだ。 大陸南西部は、ツヴァイバッハの植民地となった。

 広台大陸の西にあるこの国は、トライランドとは長きに渡って敵対し続けており、今もこの二つの国は大陸で小競合いを続けていた。 ツヴァイバッハは、工業技術では最先端を誇り、ジェット戦闘機を所有している唯一の国でもあった。

 それに対しトライランドは、他国より遅れている技術を、大陸に投入する軍の規模でなんとか埋め合わせていた。

 大陸西部は、東栄帝国の領土だった。

 広台大陸東部のほとんどを支配しているこの国は、大陸の所有権を巡る戦争で大勝し、半世紀前までトライランドやツヴァイバッハに負け続けていた国だとは信じられない程であった。

 ツヴァイバッハに至っては、東栄帝国から奪った国土を変換することで、大陸南西部を手に入れた程である。

 そして最後の一国、秋津島国は大陸北部を占領していた。

 東栄帝国の、海を挟んで更に東にある小国だった秋津島国は、一世紀程前から徐々に力を付けて来た。

 大陸の統治が前述の四ヶ国でほぼ決定しようとしていた矢先、突然大陸に侵攻して大陸北部を手に入れたのだ。

 この事件の裏には、ライバルの国を牽制しようと企んだ四国のいずれかが荷担したとの説もあるが、真相は闇の中である。

 こうして、五ヶ国に支配された大陸は、ノヴァのある新大陸と区別されて『新生大陸』と呼ばれるようになった。

 豊富な地下資源に恵まれていた新生大陸には、幾多の鉱山が掘られた。

 鉱山と入り江にある港とを結ぶ為に、鉄道が敷かれ、港と鉱山の周辺には街が生まれた。

 生物のいなかった新生大陸に、植林や放牧の為に沢山の動植物が持ち込まれた。やがて、岩盤の柔らかい地域は、草木によって土のある場所へと変化した。

 僅か三十年の間に、大陸は大きく姿を変え、田畑もあれば発電所や工場もある豊かな大陸になってしまった。

 そんな大陸の鉱山の一つから、あれが発見されたのは、数年前のことだった。

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