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突然のパーティー自己推薦

すみません。いつもより文字数が少ないです。

 彼はハンカチで口元を隠し、小さく咳き込む。

 目を細めて眉間に深く皺を刻んでいる様子は非常に苦しそうに見えた。


 彼はさっき粉薬を飲んでいたのだ。体調が悪いのかもしれない。

 彼はその後も何度も咳払いをしていた。


「病気か?」

「……少し持病があってな」

「それじゃあ体力をつけないと。饅頭食うか?」

「……では、頂こうか」


 苦笑する彼の正面の席に座り、テーブルに置かれた皿の上に饅頭をひたすら積み上げる。

 最近は饅頭を積むのに慣れてきたので、崩れないように数を積むのが上手くなってきた。


 皿の上には高く積み上げられ饅頭タワーが出来上がる。それを見た彼は少し目を大きく開いて面白そうなモノを見るかのように口角を上げた。


「手慣れておるの。それだけの商品数を客ひとりに提供しては商売にならんのでは無いか?」

「大量にありすぎて困るくらいでさ。じゃんじゃん食ってくれ」

「そうか。それなら遠慮なく」


 ゆっくりと彼は食べ進め、饅頭は皿に積まれる一方だ。

 しかしバングル内に大量にあった筈の饅頭はすっかり無くなってしまっていた。


「あれ、これだけ? 店に出す分がもう無いのか」


 空なら追加しないといけない。俺がアイテムボックスから饅頭を取り出すと、目の前に座る彼の視線が痛いくらいに突き刺さった。


「これはそのままだと食えなくてさ。ちょっと待ってくれ」

「ほう? そうやっ——」


 俺が饅頭に目を向け、神気を抜こうとした時だ。

 不自然に声が途切れ、周囲の音が消える。


「ん?」


 不思議に思ったその瞬間、空気を切り裂く音と光が走って来る。


 町中で魔術による攻撃……ではなかった。


 入り口でイノと騒いでいた雷の棒人間が俺に突っ込んできていたのだ。


「は!?」


 突然やって来た雷は俺の目の前までやって来る。

 と、直後に急に曲がり去っていく。


 俺の持っていた饅頭を強奪して。


「っ!? 俺の饅頭!?」

『……ヌ?』


 雷の棒人間が不思議そうな反応をして振り返った。

 雷の口元辺りで奪われた饅頭が上下に揺れている。饅頭のその動きからして、まるで食べているみたいだ。


『……フッ』


 雷は俺を見て鼻で笑った。


「は」


 直後に雷は饅頭をパクリと一飲みにしてまた玄関へバチバチと去っていった。

 俺の所に来たのは饅頭をただ盗むだけだったらしい。


 なんだあいつ。


 饅頭を奪って去っていく精霊らしき存在をただ呆然と見送った。


 固まる俺に反して、正面に座っていた人物は俺の空っぽの手を見て続けた言葉をまた止めた。


「——て加工しおるの……」


 彼は目をぱちくりとさせた。

 俺と目を合わせて一言。


「消したのか?」


 俺の手に饅頭が無いことに彼は驚いているらしい。


 饅頭が盗まれるところを見ていただろうに。


「はぁ……見ての通り、あの雷に盗られたよ。悪い、また出すから待っててくれ」


 再び饅頭を取り出し積もうとすると彼はまたも少し驚いたそぶりを見せる。


「雷獣か」


 彼はそう呟き、顎に手を当て外を見る。

 目線の先は玄関にいる雷だ。

 またあの雷はイノにちょっかいをかけているらしい。騒ぐ声からして軽く揉めていた。


「……雷獣? あの雷が?」


 雷獣、噂には聞いた事がある。

 白い雷を纏った馬のような姿の精霊なのだと。遥か太古の昔から存在する力の強い雷の精霊だと聞いている。


 玄関にいるのはただの雷の棒人間なので見た目がかなり変わっているが、何かあったのだろうか?


 雷と炎の喧嘩を見ていると、俺の目の前に座る彼は俺に向かっていずまいを正して一言。


「余を、そちの冒険者のパーティーに入れてくれんか?」

「へ?」


 自己紹介すらしていないのにあまりにも急な申し出だった。

 けれど冗談では無いようだ。


 彼の目は本気だった。

次回 現在 2635字!!!!

目標 3000字 & 2/10投稿


(眠気やばいので明日の朝加筆見直しして投稿しますね!!!!!!!!! 予約投稿をしておきます!!!!)

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