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 王妃陛下にご報告した後、寮へ戻りました。そしてお友達をお部屋にご招待しお茶をいたしました。


 わたくしのお友達はダンティル様の側近様方の婚約者様です。


 マジラウル様のご婚約者カルラッテ・ヒュンボルト侯爵令嬢様。

 フロレント様のご婚約者ゲルダリーナ・ケルステン侯爵令嬢様。


 お二人ともクラスメートです。

 エリアウス様のご婚約様は一学年上の方で、カルラッテ様とゲルダリーナ様はまだご遠慮があるご様子ですので今日のところは御招待は止めておきました。


 お二人はダンティル様がアンナリセル様をお誘いになったことをお気になさっておりました。


 見目麗しい殿方にお声掛けをされますと勘違いされるご令嬢は多ございます。特にそれまで婚約者もおらずお茶会などは女性のみでお過ごしなされた方はいざ大きなお茶会にデビューなさいますと、殿方に微笑まれただけでも誤解なさることがあるのです。

 そして、誤解なさったご令嬢は得てしてそのご令息に言い寄るでなく、ご令息の婚約者を敵視なさるのです。


 わたくしもカルラッテ様もゲルダリーナ様も何度もその被害にあっております。


 さらにはそういうご令嬢はご自身に起きたことでないことも夢見がちに誤解なさる傾向にございます。

 今回のこともアンナリセル様が喜び勇んで了承し、わたくしが口を挟んで強引に同席したと考える方もいらっしゃったようです。


「アンナリセル様はご自身のお立場をとても冷静にご判断なされる方ですのよ。ダンティル様のお誘いに困惑し、かと言って無碍にもできず困っておいででしたの。

それに、いつでもダンティル様よりわたくしを優先なさる発言をしてくださいますし、お優しい方ですわ。

わたくしの前のお席になりましたし、これからも仲良くしていただきたいと考えておりますの」


「ベティーネ様とアンナリセル様がお親しくなられれば間違った噂も消えますわね」


 お二人共納得してくださったようです。


 翌朝、女子寮の玄関前でアンナリセル様にお会いいたしました。


「昨日はお手伝いできずにごめんなさいね」


「いえ、お気遣いいただいただけで幸せです!」


 『幸せ』とまで仰っていただくことに頬を染めてしまいます。


「お仕事はいかがでしたか?」


「そう! それが酷いのです! 聞いてくださいませ。

司書様のお手伝いって私だけだったんですよ。普通他のクラスからもお一人ずつとかいらっしゃいませんか?

こんな強引なイベントだなんてびっくりですよ」


 イベント? イベントとは企画された出来事のことですわよね? 確かに司書様のお手伝いという企画されたものですから間違いではございませんね。


「そうですのね。図書室は皆で使うものですもの。アンナリセル様だけのお仕事というのは変ですわね」


「おかげでマジラウルと出逢ってしまったし………。大好きな本の続編が見つけられたからいいんですけど………」


「え?」


 小さなお声で聞き取れませんでしたので聞き返してしまいました。


「え! あ、マ、マジラウル様と、その、お話するきっかけになってしまったのです。マジラウル様が私の頭の上に本を落としてそれを謝ってきて……。

はあ………。また謝罪とか言われたらどうしよう」


 暗い顔をなさるアンナリセル様が不憫です。先にお教室へ行っていただき、わたくしはカルラッテ様の登校を待ちました。そして、念の為カルラッテ様にそのお話をし教室へ入ります。

 すると、アンナリセル様の不安が的中するようにマジラウル様がお声をかけていらっしゃいました。


 カルラッテ様が直様お話に加わります。


 どうやらお三人でランチをなさることになったようですわ。

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