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なんで君はそんなに下流志向なんだい?

作者: 悠木 源基

 城跡が好きなので、あちらこちらの城を巡っています。

 特に山城が好きのですが、そのきっかけになったのは唐沢山城です。金山城も最高です。

 あんなに高い山の中でよく生活ができていたものだと感心します。

 建物は残ってはいませんが、井戸や溜池、排水溝など、人の暮らしが垣間見えて想像が膨らみます。

 今回の話も、とある大きな城跡へ行った時に思い付いた話です。異世界の話ですが……


 誤字脱字報告、本当にありがとうございます。助かります。


「ケイティー、なんで君はそんなに下流志向なんだい?」

 

 今日もジャイルズ=フォークロア様が私に問う。そしてその後でいつも同じ言葉をこう続けるのだ。

 

「カタリス王女殿下はあれ程向上心をお持ちでいらっしゃるのに」

 

 何故王女殿下と平民である私を比較するのかがわからない。意味不明である。

 

 ジャイルズ様はフォークロア伯爵様のご次男で、カタリス王女殿下の乳兄弟だ。

 そして私とジャイルズ様はいわゆる幼馴染みであるが、伯爵家に勤めている使用人の子に過ぎない。まあ私も坊ちゃまの使用人?といった立ち位置だ。

 

 そんな私と王女殿下を比較するのは不敬なのではないだろうか……

 

「そんなことを言われましても、私にどうしろというのですか?」

 

「だ・か・ら、王立学院の入学試験を僕と一緒に受けろと言っているんだ。ケイティーの頭なら絶対に合格出来る」

 

「ですから、私は何度も申しておりますが、お貴族様の学院へ入るつもりはありません」

 

「何故だ。貴族のための学院とはいえ、平民にも門戸は開かれているし、平民が合格すれば優秀な者と見做されて奨学金が出るぞ。

 それにその他の必要な経費は我が家が出すし」

 

 それはジャイルズ様が勝手に言っているだけでしょ。奥様は私が学院に入るのを反対されている。そんな奥様がお金を出して下さるわけがない。

 恐らくジャイルズ様は、学院に入学後も私に世話をさせるつもりだから、その賃金分を経費として私に支払うつもりなのだろう。

 そう。親だけではなく私も既に坊ちゃまの世話係だからといって、ちゃんとお手当てを頂いているのだ。有り難いことに。

 

 しかしジャイルズ様、その考えは甘いですよ。

 奥様は立派な貴婦人で、息子を甘やかしたりはしない。そろそろ自立させねばと思っていらっしゃるに違いない。

 それに今更私が学院へ入っても何も得るものがない、と奥様はご存知である。

 

『キンコンカコーン〜、キンコンカンコーン〜』

 

 上空から鐘の音が降り注いできた。いや、鳴り響いた。お城の終業時間のお知らせだ。

 

「坊ちゃま、時間となりましたのでこれで、帰らせて頂きます」

 

 私がペコンと頭を下げると、ジャイルズ様はその美しいご尊顔を嫌そうに歪めた。

 

「坊ちゃまは止めろと言ってるだろう? 今日は誰と帰るのだ?」

 

「一人です」

 

「アランはどうした?」

 

「父は今日旦那様と領地へ向かいました」

 

「メアリは?」

 

「母は今日は当直です」

 

「それではバートと一緒に帰るのか?」

 

「いいえ。兄は今日学院が試験休みだったので、友人と街へ遊びに行っています」

 

 兄のバートは例の奨学金をもらって学院に通っていて、今最上級の三年生である。

 そしてその学院はこの屋敷の近くにある。故に、兄が学院帰りにお屋敷に立ち寄り、私と一緒に帰ることも多いのだ。

 

 その兄は来年卒業をしたらフォークロア伯爵家の騎士として働くことになっている。

 だから私も兄同様に学院に進学し、卒業後はこの屋敷で働けばいいと、ジャイルズ様は思っているのだろう。

 

 しかし私は女だ。いや、女だって騎士になるつもりなら学院へ入るのも悪くはない。

 しかし、生憎私は騎士になるつもりはないのだ。もちろん侍女になる気もない。だから学院へ行っても学ぶものがない。

 奥様からも好きな道を選びなさいと言って頂いているのだ。

 

 

 

「僕が送っていこう!」

 

「結構です! どこの世界に伯爵家の坊ちゃまに送ってもらう使用人がいるんですか!」

 

「女の子を一人で帰すなんて危ないじゃないか! もう日が暮れかかっているのに!」

 

「私はもう子供ではないのですから、そう心配して下さらなくても大丈夫です」

 

「……子供じゃないから心配なんじゃないか……」

 

「何ですか……?

 とにかく、この帰宅時間帯に帰れば何の問題もありません。道はお城や高位貴族の方々の屋敷から帰る皆さんで溢れているんですからね」

 

 まだ何やらブツブツ言っているジャイルズ様を無視して、私はサッサと帰路についた。

 秋は日没が早いのだ。急いで山を下りて買い物をして帰らないと。

 

 兄は街へ遊びに行った。しかしまだ成人前の学生だし、夕食まで外で食べることはないだろう。それに、悪友を家に連れ帰る恐れもある。

 

 

 このスックーラ王国の王城はスックーラ山の頂上付近に建っていた。そしてその山の三方が垂直に近い崖になっていて自然の要塞となっている。

 貴族達は山の高い所から地位が下がるごとに段々と低い場所に屋敷を構えている。

 フォークロア家は伯爵家なので、山の丁度中腹位の所に屋敷があった。

 

 そして麓の川を挟んだ台地に王都の街並みが広がり、商人などの裕福層が住んでいて、一般的な市民はさらに低いアウンタ沼周辺に住んでいる。

 

 もちろん一般的な平民であるケイティーも、両親と兄の四人でその低地に建つこじんまりとした家に住んでいる。

 

「そろそろシチューが美味しい季節よね。野菜と肉を買って帰ろう」

 

 私が馴染みの商店街の通りを歩いて行くと、目的の店の前に人集りができていた。

 人を掻き分けて覗くと異国の商人風の若い男が、八百屋の看板娘兼親友のサラナの手首を掴んで引きずって行こうとしていた。

 

「サラナ、どうしたの?」

 

「助けて、ケイティー! 

 このお客さん、昼間買った芋の中がみんな腐っていたっていちゃもんつけてきたの。

 そんなはずはないとは思うんだけど言葉が通じなくて。仕方ないから弁償したのに、その金を受け取った挙げ句に、私に来いって言ってるみたいなの」

 

 私はその男の服装を見てチュンナ国の隊商の一人だということに気付いた。

 

「その子から手を放して。

 もうすぐ自警団が来るから、文句があるならそっちへ言って」

 

 私がチュンナ国の言葉で話しかけると、その男は驚いたような顔をした。

 

「あんた、チュンナ国の商隊の仲間でしょ。今度言いがかりを付けたり、お金を騙し取ろうとしたり、女の子に乱暴な真似をしたら、二度とこの土地を踏めないようにしてやるわよ」

 

「お前、俺の言葉がわかるのか? そりゃあ都合がいい。俺にこの女を差し出さねぇと貿易してやらねぇぞ。

 俺達はこの国のお貴族様のご用達の宝石商なんだからな」

 

「はあ? それがどうしたっていうのよ。宝石商と貿易できなくなったって、私達平民には知ったこっちゃないわね。

 あんた、この王都に来るのは初めてでしょ? 私達を怒らせてお貴族様に会えると思ってるなんて」

 

 私が男と問答しているうちに自警団、いやその下部組織であるヤング自警団がやって来た。

 警棒を持った体格のいいヤング自警団の男達を見て、その狼藉者は震えあがってサラナから手を放した。

 

「覚えてろ! 俺に逆らうと後でお前らが困ることになるぞ!」

 

 捨て台詞を吐いて逃げ出した男の頭に、私はウルットの実を投げつけてやった。それは見事に命中し、とうもろこし色の髪の毛が真っ赤に染まった。

 

「ああ、しっかり覚えたわよ。その髪の色じゃ忘れようがないしね!」

 

 周りにいた者達全員と一緒に笑って男を見送った。

 自警団並びにヤング自警団の団員が持っているウルットの実を投げつけられた者は、すなわち犯罪者の証だ。

 逃げようと動き回れば回るほど、自らがその犯罪の証をこの王都中に晒すことになるのだ。

 

「さすがケイティー、百発百中だな」

 

「何呑気なこと言ってるのよ。オルデン様。あなたの恋人が連れ去られそうになったのに」

 

 駆けつけた自警団の仲間でも一番体格のいい、赤に近い派手な茶髪の男に向けて言ってやった。

 彼は男爵家の次男坊だが、兄の同級生で、私とも同じヤング自警団のメンバーなので気安く喋る間柄だ。

 

「あんなへっぽこ、どうってことないだろう? ただ言葉がわからなくてみんな一瞬とまどっただけだ」

 

「そりゃそうだろうけど、外国語にびびるくらいなら、ちゃんとみんな勉強しなさいよ。ここは王都で色々な国の言葉が飛び交っているんだから」

 

「俺達はケイティーみたいに頭良くねぇんだから外国語を三つも覚えられやしないよ」

 

 自警団のもう一人の仲間が言った。

 

「何も一人が何か国語も覚えなくてもいいのよ。一つの地区で別々の言葉がわかる人が最低でも数人ずついればいいんだから」

 

 なるほどとみんなは思ったようだ。何故そんなことに気付かないのよと、私は呆れた。

 

「ケイティー、みんなに外国語教えてくれない? 今日みたいなこと、商売していると結構あるのよね」

 

「私一人じゃ無理だけど、相談して何か対策考えてみるわ、リリーねえさん」

 

 サラナの八百屋の隣で肉屋をしているリリーに私はそう返し、二割引きにしてもらって牛肉を買った。

 

 そしてお礼だとサラナからは根菜類の入った袋を手渡された。中には思ったよりたくさん入っていたが遠慮なくもらう。どうせこの後店を閉めたら、彼女も恋人と共に我が家に夕食を食べに来るのは分かっているので。

 

「これ持って!」

 

 私は見物人の中から兄を見つけて紙袋を押し付けた。これから大量のシチューを作るのだから、それくらいやらせないと。それから・・・

 

「コンラッドさん、うちに来る時はパンを持ってきてね! ビーフシチューに合う固めのをね! アリサさんと来てね」

 

 パン屋の友人に声をかけて私はスタスタと商店街を抜けると、橋を渡り、アウンタ沼を見下ろしながらまた坂道を下った。

 

「お前凄いな。あっという間に夕食の材料を調達したな。しかも肉以外はただで」

 

 と、後をついて来る兄のバートが呆れたようにこう言ったので、それこそ私も呆れてこう言ってやったわ。

 

「あの人達は持ち寄りパーティーの客みたいなもんなんだから、材料提供するのは当たり前でしょ。そしてなんにもしない、なんにも提供もしない兄さんが荷物持ちするのも、これまた当たり前!」

 

 兄はまずい、という顔で頭を掻いた。

 兄はこの王都のヤング自警団の創設メンバーで、街の若者達のリーダー的存在だ。だから若者達が我が家によく集まって来る。

 しかし裕福でもない我が家に年がら年中仲間に集まられては財政が圧迫される。

 それで食事時に集まる時は、各自が食べ物や飲み物を持参するように私が仕向けたのだ。

 

 ふん。いい顔したがりの兄の代わりに、私が悪役を買ってやっているのだ。しかも労働力も提供してやっている。ありがたく思え!

 と、心の中で悪態をついたがさすがにそれは口にはしない。というのも最初の頃は確かに一方的に私の奉仕活動だったが、今では私も彼らには色々と助けられているので。

 

 ✽✽✽✽✽✽✽

 

 翌朝、フォークロア伯爵家へ出勤しようと、私は兄と共にスックーラ山を登るために商店街を通り抜け、山へと続く橋へ向かった。

 するとその橋の手前で、チュンナ国の隊商の一団が、跪いて警備の騎士達に懇願している姿が目に入った。

 

 どうやら夕べの狼藉者はあの隊商の隊長の息子で、今回初参加だったらしい。

 髪の毛は短くかり上げられていたが、剃らない限り髪のどこかに染料は残る。しかも額はまだ赤く染まっていた。あれでばれないとでも思ったのだろうか。

 

 ウルットの実は自然の赤い染料となる。この国のスックーラ山にだけ自生している実で、必死に色を落とそうとしても一月以上はかかるのだ。

 街の自警団とヤング自警団だけが所有を許可されているこの貴重な実の染料、それを頭に付けている人間なんかが、この門を通過出来るはずがない。

 

 この狼藉者をもし跡取りとして貴族のお得意様に顔合わせをさせようとしていたのなら、浅はか過ぎて笑える。

 

 我がスックーラ国の王城への警備は超難関なのだ。橋という橋は全て関所同然で、そこを渡るには騎士達の厳しいチェックを受けるのだから。

 

 因みにこの国に生まれた者は、皆戸籍と共に指紋を登録されている。

 それ故にスックーラ山に住んでいる王侯貴族やそこで働く者、そして学院に通う生徒達は、各チェック場所に設置されている魔石に手をかざせば簡単に通過できる。

 

 だから、朝夕の通勤通学時間帯はたとえ一瞬長い列が出来ても、人や馬車の流れが止まって渋滞になることはあまりない。

 私は土下座する商隊を横目で見ながら橋を渡った。

 

  

 

「それにしても寒くなるとショートカットが出来ないから面倒だよな」

 

 坂道を登りながら兄が呟いた。

 麓から城までの道はスイッチバック式になっている。なるべく傾斜を緩やかにするためだが、その分距離が伸び、時間がかかるのだ。

 

 馬車ならまだいいが、徒歩で山を登る平民は大変だ。

 住み込みでもない限り好き好んで王城や高位貴族様の屋敷で働こうとなんてだれも思わない。せいぜい伯爵位までだ。

 それなのに高位貴族は平民なんか雇わないだとかほざいて、伯爵位以下の貴族を見下している。

 そんなお偉いさん達は皆阿呆だ。こっちだってだれも働きたいなんて望んじゃいないって。

 

 実は私達兄妹は怠け者だ。夏場は正規のルートは通らないのだ。それに協力してくれるのが下位貴族の友人達だ。

 彼らがこっそり垂らしてくれるロープを登って、私達は垂直に山を登っていくのだ。もちろんそれがばれると面倒なので、朝一番に山を登る。

 そして登りきるとロープを引き上げる。その工程時間を入れても通常より三十分は短縮出来るのだ。

 

 兄は誰よりも早く登校して、教室で勉強する。家で夜に勉強すると灯りの燃料代がかかるからだ。

 私も早くフォークロア家へ行って、母がやって来る前に住み込みのメイド達の手伝いをする。

 彼女達とはそう年が離れていないので妹のようにかわいがってもらっている。

 

 私は別にフォークロア家のメイドではないのだが、幼い頃から兄と共に両親に連れて来られてきて坊ちゃま二人と遊んでいた。

 

 兄と上の坊ちゃまのシャール様は同じ年。しかも同性だったので、彼らはまあ、立場は違えど普通に友人同士というか、なんでも競争をしたがる良いライバル関係だった。

 

 そして私とジャイルズ様も同じ年だったのだが、どうしても女の子は男の子よりも成長が早い。

 というわけで、私はずっと勝手にジャイルズ様のお節介を焼いていた。

 それでいつの間にか私は、周りからジャイルズ様のお世話係だと思われるポジションになっていた。

 

 しかも私まで兄同様に、お坊ちゃんと一緒に家庭教師から勉強や武術を教えて頂くことができた。

 おかげで私は平民でありながら高度の学問を学ばせてもらえた果報者だった。

 だから、私はそのお返しのつもりでメイドの真似事をしていたのだ。

 

 私はジャイルズ様とは、勉強以外も本当にずっと一緒だった。遊ぶ時も一緒。図書館へ行くのも一緒。街へ買い物へ行く時も一緒。

 だからジャイルズ様は街のヤング自警団の仲間達とも仲が良い。

 というより、ヤング自警団の発案自体がジャイルズ様だったし、今ヤング自警団にいる男爵や子爵家のご子息は、皆ジャイルズ様に誘われて入られた方々なのだ。

 

 ロープの件も怠け者の私が『ああ垂直に山をのぼりたいなぁ』と呟いたらジャイルズ様がこれを提案して下さって、他の皆様にも話をつけてくれたのだ。

 そう。最後のロープを垂らして下さっているのはジャイルズ様自身なのだ。

 

 しかしこの近道は晩秋から春先までは使えない。つまり山の木々が葉を落としてしまうと、登る時に姿を隠してくれるものがなくなってしまうからだ。

 兄ならともかく、女の子がまるで猿のようにロープを伝って山登りしている姿を見られたら、一生嫁の貰い手がなくなるだろう。

 

「もしそんなことになったら僕がケイティーをお嫁さんに貰ってあげるよ。この案を思い付いたのは僕だからね。責任はとるよ」

 

 ジャイルズ様はそう言って笑っていたが、それこそそんな猿女と評判のついた平民娘を伯爵家が嫁に出来るわけがないだろう。

 あの冗談は結構きつかった。

 

 

「兄さん、ショーン様に続いて次席なんですってね? お城の近衛騎士に誘われているというじゃないの。凄いわね。何故黙ってたの?」

 

 ふと昨日の食事会を思い出して兄に尋ねた。 

 兄はチッと舌打ちをした。兄は私に輪をかけて面倒くさがり屋なのだ。

 

「オルデン様って男のくせにお喋りだよな」

 

「イヤイヤ、普通でしょ。兄さんみたいに喋るのも億劫がってちゃ、一生彼女出来ないわよ。

 言葉をケチるような男は愛情までケチると女は思うもの」

 

「マジか?」

 

「マジです」

 

「・・・・・」

 

「で、さっきの近衛騎士の話は?」

 

「もちろんお断りだ。王城まで歩くなんてごめんだね」

 

「でも、近衛騎士団の寮は王城近くにあるのでしょ?」

 

「街へ遊び行く度に徒歩は嫌だ。仕事なら馬を使えるだろうが、私用には使えない。貴族様に頭を下げてまで馬車に乗らせてもらうのも面倒だし」

 

「だけど、近衛騎士になってそこそこ功績を積めば騎士爵位貰えて馬に乗れるんじゃない?」

 

「下流志向のお前がそれ言うか? お前だって、カタリス王女殿下に護衛騎士にならないかと言われて断っただろう?」

 

「あんなの子供の時の気まぐれでおっしゃったのに決まってるじゃない。

 王女殿下がジャイルズ様にお会いしたくて、一人でお城を抜け出して山で迷子になられた時、私がたまたま遭遇してお助けしたからでしょ。

 王女殿下ったら、私が王女殿下を猛獣から守ったとみんなに吹聴なさったけど、それは熊とかじゃなくて単なる小鹿だったのよ。兄さんも知ってるでしょうに……」

 

「いや、まだ七、八歳の子供じゃ小鹿だって怖かっただろうさ。しかも山の中じゃさ」

 

「でも、あれからずっと私を勧誘しているのは、単に私をジャイルズ様から引き離したいだけでしょ……」

 

「まあ、それもあるだろうが、お前を側に置きたいという気持ちは本当だと思うぞ。

 お前みたいに頭が良くて、しかも腕っぷしの強い女はそうそういないもんな。

 それにお前は美人だし、マナーもダンスも完璧にこなせる。口の利き方さえ気を付けりゃ、お貴族様のご令嬢に見える」

 

 兄の言葉に私は本当に驚いた。兄から褒め言葉をもらったのは初めてのような気がする。どうしたのだ? 私が胡乱な目を兄に向けると、兄は珍しく心外そうな顔をした。

 

「下心はないぞ。いつも思ってる事だ。特に学院に入学して他のご令嬢を見るたびに。

 それにカタリス王女殿下は幼い頃は甘やかされて少々我儘なところもあったみたいだが、今では勉強熱心で、為政者としての自覚を持って日々研鑽に励まれているって噂だぞ。

 そんな王女殿下にはそこら辺のご令嬢じゃ物足りないんじゃないのか?」

 

 珍しく兄が長文を喋っているのに驚きながらも、さらに兄にこう尋ねた。

 

「ジャイルズ様は王女殿下に頼まれたから、私に学院に入学するようにしつこく言ってくるのかな?」

 

「いや、それは違うだろう。ジャイルズ様は単にお前の身の安全のために、できるだけ山の高い場所に住まわせたいだけだと思うぞ。お前だって分かっているだろう?」

 

 うん。それは私も分かっている。しかし、山の高い所に住めば安全というわけじゃない。

 敵が徒党を組んで襲ってきたらどうなるの? 橋を全部壊されて侵入され、山を登って来られたら、頂上部に住んでいる方々には却って逃げ道がなくなる……

 

 そんなことはジャイルズ様が一番よく分かっていらっしゃるじゃないか。

 だから、山道だけじゃなくて崖から逃げる方法や、地下道や抜け道

を作る案を模索して、王女殿下に提供されているのだし。

 

 大体、高い所から低い所へモノが落ちたり流れて行くのは自然だ。逃げる時もそうだ。もちろん水害以外だが。

 だから高い場所が必ずしも安全ではない。不満を漏らした街の友人達をそう宥めていたのはジャイルズ様じゃないか。

 他国から攻められたら、高い場所へ避難するのではなく、より低い場所に散らばって逃げられるように検討しろって。

 

 そのジャイルズ様のご助言でヤング自警団のみんなで川や沼近くにボートを設置したり、夏にみんなで水練をするようになったのだ。

 

「オルデン様だって、以前はサラナをどこか男爵家の養女にしようとやっきになってたけど、今じゃ卒業したら平民になって街で暮らす事に決めたんでしょ?

 それって、低い土地でも安全に愛する人と暮らせると判断したからでしょ?」

 

「まあ、そうだな。しかし同じ次男坊でも男爵子爵と伯爵家じゃ違うからな。まだ平民になるという決心はつかないんだろう。いくら天才と呼ばれていてもまだ十五だし……」

 

「ん? 私が山に住みたくないことと、ジャイルズ様は関係ないでしょ?」

 

「いや、大いにあるだろう……」

 

 兄はブツブツ言いながら歩を早めた。私はその後を必死に追いながらカタリス王女殿下の言葉を思い出していた。

 あれは王女殿下に初めて会ってから五年後位だったろうか。

 

「ジャイルズ様を守れるのは私だけよ。だから貴女はジャイルズ様から離れてちょうだい!

 貴女はジャイルズ様とは幼馴染みだそうだけど、私はフォークロア伯爵邸で生まれたのよ。私は生まれた時からジャイルズ様と一緒だったのよ」

 

 と王女殿下はおっしゃった。

 その昔、王妃様が各地の視察の途中で体調を崩されて、陛下より一足早く王城へ戻ろうとなさった時、山の途中で産気づかれたのだ。

 そしてやむなく一番近くの貴族の屋敷に運び込まれたのだが、それがフォークロア伯爵邸だった。

 

 しかもそこにはたまたま産婆さんがいた。それは伯爵夫人が三か月ほど前にご次男であるジャイルズ様を出産されていたので、その赤ん坊の状態を見るためだった。

 

 王妃殿下のお付きの者達はこれこそ神のお恵みだと天に感謝したそうだ。

 その日はたまたま侍女もメイドもみんな若く、お産を経験した者が誰一人いなかったので、皆途方に暮れていたのだそうだ。

 

 王妃殿下は産婆さんと伯爵夫人の補助のおかげで、翌日の明け方に無事に王女殿下を出産されたのだった。

 

 予定日より一月も早く生まれてきた赤ん坊の体は標準より小さかったものの、とても健康で何の問題もなかった。

 ただし元々予定されていた乳母が間に合わなくなったので、急遽フォークロア伯爵夫人に乳母になって欲しいと王家からの依頼がきた。

 そして伯爵家は王家からの懇願を断れなかった。

 

 一月ほど王妃殿下とカタリス王女殿下はフォークロア伯爵邸で養生した。

 そして一月後ようやく王城へ帰還した。

 乳母となったフォークロア伯爵夫人と伯爵家の三才の嫡男ショーン様と生まれてまだ三か月の次男ジャイルズ様、そして産婆さんを連れて。

 

 こんな事情があったので、王家とフォークロア伯爵家の結びつきは、今でもとても強い。

 王女殿下が生まれた二年後にフォークロア伯爵夫人は坊ちゃま達と共に自宅に戻り、夫人だけが城へ通う形にはなった。しかし、坊ちゃま達も王女殿下の遊ぶ相手として度々王城に招待されていたのだ。

 しかし王女殿下が五歳になった頃、フォークロア伯爵家の坊ちゃま達はあまり登城しなくなった。

 二人とも貴族の令息として家庭教師がついて勉強するようになったからである。

 もちろんそれは王女殿下も同じだったのだが、弟が生まれて寂しさを募らせた彼女は、会いたい会いたいとかなり駄々をこねたらしい。

 しかし、どんなに王女殿下が騒いでも、彼女が会いたいと願ったジャイルズ様には、月に一度程度くらいしか訪問してもらえなかった。

 

「お城は気を使うから行きたくない。ここでバートやケイティーと遊んでいる方が楽しい」

 

 あの当時ジャイルズ様はそう言っていた。そりゃあそうだろう。

 

 しかし王女殿下はある日とうとう、ジャイルズ様に会いたい一心で城を抜け出して山を下り、迷子になり、その挙げ句小鹿に怯えて座り込んだ。そこに私が偶然通りがかったというわけだ。

 

 あの後、カタリス王女殿下のお怒りは相当なものだった。自分はジャイルズ様と会えなくて寂しくてたまらなかったのに、ジャイルズ様の方は自分以外の女の子と仲良くしていたなんて許せないと。

 金髪碧眼のお人形のようにかわいい王女殿下が、真っ赤になって目を釣り上げて怒っていた。

 つまり嫉妬である。

 そして私のことも散々罵った。

 

 それなのにその後私を遊び相手に指名してきたり、護衛騎士になれだの言ってくるのなんて、魂胆が見え見えだ。

 子供の私だってわかるのだ。奥様ははっきりと王家に断って下さった。

 そして奥様は乳母としてはっきりと王女殿下にこうおっしゃったそうだ。

 

「ジャイルズはわがままな子を好みません。思いやりがあって、自分のため、人のために頑張れる子が好きなのです」

 

 と・・・

 カタリス王女殿下がお変わりになったのはこの後らしい。

 

 そして十二歳の時に再びやってきたカタリス王女殿下に、私はさっきの言葉を投げつけられたのだった。

 

「どうやって殿下はジャイルズ様をお守りするのですか?」

 

「ジャイルズ様を私の婿に迎えるのです。

 確かに王位は弟が継ぐことになるでしょう。しかし、父王は私が弟の補佐役になることを認めて下さいました。

 私、必死に学問と教養を身に付けました。山のように世界中の本も読みましたのよ。

 ですから、私を嫁には出さず、子のいない叔父の公爵夫婦の養子としてくださるそうですわ」

 

「そのお話はフォークロア伯爵ご夫妻やジャイルズ様もご了承していらっしゃるのですか?」

 

「いいえ。でもお断りになるはずはありませんわ」

 

「どうしてですか?」

 

「だって息子を愛しているなら、息子の安全を何よりも重要視するでしょう? 山の頂きに住まいを構えることは何よりも安全でしょう?

 違う?」

 

 王女殿下は勝ち誇ってこうおっしゃった。確かに王女殿下はジャイルズ様を愛し、あの方を守りたいと思われているのだろう。しかし・・・

 

「殿下、高い所が一番安全とは限りませんよ。下から攻められたらもう逃げ道がないんですから。

 山の頂きが安全なのは山の麓にいる平民や下位の貴族が守ってくれればこその話です。

 上の者達が自分達のことばかり考えていたのでは、下の者達は必死に上の者のために戦おうとは思いませんよ。

 会ったこともない人を守るより、自分の家族や友人を守りたいですからね。

 いざとなったら安全な場所へさっさと逃げ出しますよ。

 ですから、今の王女殿下ではジャイルズ様を守れるとは思えませんね」

 

「!!!!!」

 

「それに王女様は肝心なことが間違っています。結婚はお互いの同意によるものでしょう? それともそれは政略結婚なのですか?」

 

「ち、違うわ。政略結婚なんかじゃない。私はジャイルズ様を愛しているもの。彼もきっと私を愛してくれるわ。

 彼も私を愛してくれたら貴女は潔く身を引いてくれるわよね?」

 

「身を引くも何もジャイルズ様と私は恋人同士というわけではありませんし、お二人が愛し合っているなら決して邪魔はしません。

 ただ、私もジャイルズ様のことを大切に思っていますから、これからもお守りしていくつもりです」

 

「どうやって?」

 

「王女殿下が上流を守るとおっしゃるなら、私は下流を守ることでジャイルズ様のことを支えます。

 下流は上流と違って段々と広がっていくものですから大変ですが、やり甲斐があります。

 車の両輪のようにお互いに頑張りましょう」

 

 そう私は王女殿下に言った。不敬な物言いだとは思ったが、こう言わずにはいられなかった。

 

 カタリス王女殿下は最初は高飛車な態度だったが、人の話には耳を傾けられる方だったようだ。結局この結婚話をジャイルズ様やフォークロア伯爵夫妻にはなさらなかった。

 

 そして、それまでは気にもとめていなかったであろう、王族や高位貴族至上主義を改めるように、王女殿下は国王陛下に進言したという。

 そうしなければこの城は、いやこの国は守れませんよと。

 

 その上、下位貴族や平民代表を一堂に集めて意見交換をする、そんな場を設けて欲しいという、シャール様やジャイルズ様のご意見も取り上げてくださったようだ。

 

「ジャイルズ様はいつもカタリス王女殿下の向上心を褒めて、お前の下流志向を貶すような物言いをしてるだろう?

 あれはな、恐らく拗ねてるだけだからな。

 お前がジャイルズ様を土台の方から守る、いや支えようと努力していることには気付いているし、嬉しくは思っているんだ、きっと。

 だけど、ジャイルズ様も男だからな。守られるよりお前を守りたいという気持ちの方が強いんだ」

 

「それは分かってる。だって実際に色々守ってもらってるし。

 ヤング自警団を発案したのも、ボートの設置もジャイルズ様の提案だし」

 

「あれが基本お前のために思いついたって、お前もわかってたか。そりゃあ良かった。

 だけど、今後ジャイルズ様が学院に入学されたらお前と離れ離れになるだろう? 

 だからもっと積極的に自分の側にいるための努力をお前自らにしてもらいたいんだ」

 

 でも、身分違いだもの。ずっとジャイルズ様の側にいたいけど、さすがに侍女やメイドとしているのは嫌だ。辛すぎる。

 それに王女殿下と仲睦まじくしている様子も見ていたくない。

 

「王女殿下との婚約話はなくなったみたいだぞ。奥様が先手を打って、息子二人には既に内定している婚約者がいるって、毎回お茶会で話をされていたようだから。それってお前のことだろう?」

 

 兄の言葉に私は仰天した。私のわけがないじゃない。私達は身分違いなのよ!

 

「奥様がシャール様や俺にいつも言っていらっしゃるぞ。

 ジャイルズは次男だから平民になっても別に構わないって。

 ただ覚悟を持って自分から言い出さない限り、こちらから言ってやるつもりはないけれど、ってさ」

 

「えーっ!」

 

 私は朝の通勤通学者で一杯の山道の中で思わず大きな叫び声をあげたのだった。

 

 ✽✽✽✽✽✽✽

 

 

 そしてそれから四年後、私はジャイルズ様と結婚して、商店街のある台地に居を構えた。

 ジャイルズ様は学院を首席で卒業し、国の上層部からは官僚として働くことを期待されたようだが、そのまま母校の教師となった。

 国を守るためにはまず人材育成が必須だと考えられたのだろう。

 ジャイルズ様はヤング自警団創設の実績が認められ、兄と共に男爵位を授与されたので、馬車通勤をしている。

 

 兄の方は半ば無理矢理に王宮の近衛騎士に命じられたが、男爵位を授与されてやはり馬の使用が認められたので、渋々それを承知した。

 今では王城と平民の自警団やヤング自警団のパイプ役として重要な任務を任されているようだ。

 兄は普段、王城近くの騎士団の寮に住んでいる。そして休みには王都の中で一番下流の、アウンタ沼周辺の自宅の両親の元に馬に乗って戻っている。

 

 この四年で、王女殿下やフォークロア伯爵家の皆様、そして自警団のみんなのおかげで色々と法律が変わった。

 

 まず貴族と平民の結婚が認められた。そのおかげで私達は結婚できたのだ。

 そしてスックーラ山の道に乗り合い馬車が通るようになった。

 これで貴族のお屋敷に勤務する平民や学院に通う平民の学生達が、徒歩で山道を登る必要がなくなった。両親もとても喜んでいる。

 

 また山の麓が平民に開放され、水害の時の避難場所になった。このことで市井の人々の王侯貴族への不満は大分解消されたと思う。

 沼や川に囲まれた山城は、高い所に住んでいる人々にとっては安全だろう。

 しかし低地に住む人々にとっては恵みだけではなく水害の恐怖と隣り合わせなのだから。

 

 私の意見を聞いて下さった王女殿下には感謝している。ただ、王女殿下からその見返りを要求されて少々困った。

 

「ねぇ、バート様って、素敵よね。無口で男らしくて逞しくて。今度パーティーでエスコートしてくれるようお願いしてくれない?」

 

 王女殿下、男性の好みが変わられたんですか? あまりにも身分が違い過ぎるんですが、構わないのですか? 兄は公爵家の婿にはなりませんよ。

 それに兄はアウンタ沼が好きなんです。そしてあそこの家が好きなんです。王女殿下にあんな低地に住む覚悟がお有りなんですか?

 

 お義母様(伯爵夫人)に相談したら放っておくように言われたので、一応兄には伝えたけれど、その後は無視することにした。

 

 それに私も忙しいのだ。主婦業の傍ら、街の人達に外国語を教えたり、他国の商人との揉め事の仲裁を頼まれたりと。それにヤング自警団のメンバーでもあるし。

 

 夫は心配しているようだけど、私は大丈夫だと思う。私の周りにはいつもヤング自警団の仲間がいてくれる。

 それに、そもそも私はロープ登りで鍛えたので腕っぷしが強いのだ。恐らくその辺のへっぽこには負けないと自負している……まあ、油断大敵だけどね!


 

 ケイティー目線では書けなかった情報をここで書いておきます。

 

 

 実はケイティーはカタリス王女とは二卵性の双子です。

 王族では争いの種になると言われ、同性の双子は忌み嫌われ、片方の子供は殺される決まりになっていました。

 王女のお腹の子が双子だとは誰も気付いていませんでした。

 そして出産も想定外だったため、双子の存在を知る者はお産に立ち合った産婆とフォークロア伯爵夫人の二人だけでした。王妃は一人目を産んだ後で気失っていたので。

 彼女達はせっかく生まれてきた子の片方を殺させることなどできませんでした。

 ですから国王陛下と同じ金髪碧眼の子を王女とし、もう一人の地味な薄茶色の髪と瞳の女の子はこっそりと使用人に預けました。

 王妃が出産した部屋は続き部屋だったので、誰にも知られずに逃すことができたのです。

 

 そして奥方から子を託された使用人は、その赤ん坊を連れてアウンタ沼近くの自宅に帰りました。

 彼の妻はその赤ん坊を見て泣きました。数日前に産んだばかりの娘を亡くしていたからです。

 夫は一時期的に預かっただけなのですが、妻は他所へやるくらいなら自分が育てたいと言いました。

 亡くした娘と同じ髪と瞳をしていた赤ん坊を、彼女はどうしても他人とは思えなかったからです。

 

 ケイティーが王女だと知っているのはフォークロア伯爵夫人と産婆、それから彼女の育ての父の三人だけです。多分これからもそうでしょう。

 

 フォークロア伯爵夫人がバートとケイティーに高い教育と教養を与えたのも、彼らの両親に対する感謝でした。


 そしてケイティーを守るために、なるべく王族とは関わらせないようにしていました。

 しかし結局姉妹二人はめぐり逢い、ケイティーと王女はジャイルズを巡ってライバルになりましたが。


 王女達は二卵性双生児で見た目も性格もあまり似ていませんでしたが、そこはやはり姉妹なので、好みのタイプが似ていたのでしょうかね?

 

 そして夫人がケイティーに学院への進学を勧めなかったもう一つの理由は、学院で学ぶ内容を既にケイティーが修得していたからでもあります。


 夫人は王女を二人ともかわいがっていましたが、やはり息子にはケイティーが合うと思っていました。

 そして息子にはケイティーを守って欲しいという思いもあったので、平民であってもケイティーとの恋の方を応援していました。

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[気になる点] 最後に添えるように書かれた「情報」はなかなか衝撃的な真実でびっくりしました
[一言] 王女とケイティって、意地悪な書き方をしてしまいますが、そのまま双子として育っても差が出るんだろうなと想像が出来てしまいます。それは周りの対応の違いで。色合いが片方は華やかで、片方は地味。でも…
[一言] 後書きが壮大過ぎたので、伯爵夫人視点があっても良いのではと思いました。 素敵なお話でした。 ケイティに結婚を頷かせたところ読みたかった〜
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