表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『カザマンス紀行詩』

   『マリマの詩』


  神よ

あなた様に差し上げた

 我が王の腕

あなた様から頂いた

 その琥珀のまなこ


王に乗り移った鎮魂は 時を待っていつか炎を吐く


その残された一つ眼を

虹色の眼に変える時

神と王とは結ばれる


悠久のカザマンス川は

高低緩急 瑠々と流るる


 【カザマンス・FORTH/殺戮と滅亡34~洞窟はオペラ・ガルニエ】より


ーーーーーーーーー


  

  『ンバイの歌』


ある日 暑い太陽

二人の兄弟が旅を続けた


やがて飢え疲れた弟が

「一人で行ってください。

腹が減っては動けない」


兄は願いを受け入れた

茂みに隠れ

切り取ったもも

瀕死の弟に与えた


兄は自分の肉を切り取って

私を助けてくださった

これからはあなた様の下僕として

子孫に至るまで


それが 偉大なる王 スンジャタ・ケイタ王


 【カザマンス・FIRST/静かなる内戦14~ファル】より


ーーーーーーーー


 

  『セレール族の詩』


乾いた大地 赤い土


月の光は ブビンガの木芯を貫き


根を張った


ここはルーガ

セレールの大地


パーニュはためくその風は

万物全てを神にする


ーーーーー

  

  『マンディンカ族の詩』


王の城壁

崩れぬ土壁


民が作りしその城は

神の如しのマンディンカ


おう!

我らがカザマンスの川よ

悠久の時を刻みたまえ


流れは永遠

神の道へと続くのだ


 【カザマンス・THIRD/奴隷の行方48~甲板の上の大合唱】より



ーーーーーーーー


  

  『霊媒師ムルの詩』


大いなるカザマンスよ

水はどこに流れ

木の実をどこに運ぶのじゃ


この世のあらゆる万物よ

我に教えたまえ


この地は誰が救うのじゃ

どなたがお導きになられるのじゃ


太陽なのか

月なのか

大地を覆う雲なのか

賢者ライオン

空を舞うトゥーカンなのか


草原に根差す大木か


ジョラ族の民を

お救いくださる全ての神よ


お教えください


 【カザマンス・FIRST/静かなる内戦18~ムル】より



ーーーーーーーー


  『ファル王の詩』


我らは獣と花と生きている

息をするもの差などない


 月と戯れ 星と遊ぶ


太陽と話し込めば

 肌は黒くなるのだ

この褐色の肌は

 お天道様と友達の証

自慢の肌だ

 

 雨が降れば泥を捏ね

風が吹けば

 鳥と共に両手を広げ

歌うのだ


 太古から皆 友だ


  【カザマンス・FORTH/殺戮と滅亡65~ファルの歌】より




純文学・連載中の「カザマンス」

少しアレンジしてお送りいたしました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 読ませていただきました。 素晴らしい詩と思います! 境意は高いですね。面白いですね!(◍•ᴗ•◍)
[良い点] まさにカザマンスの世界観そのものの詩の数々。カザマンスの光景が目の前に浮かんできます。躍動感に溢れていますね! カザマンスを旅した気分になれました♪ 素敵な詩をありがとうございます(*´▽…
[良い点] アフリカってのは本当に、人類の故郷ですからねえ。 自分は、アラビアンナイトの歌とか、そういうのも好きなんですが、万葉集でもそうですが、自然と人間の感情が密着してますよね。 そういう詩境…
2021/03/26 03:56 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ