明かされるステータス
朱莉ちゃんはまだ疲れていたようで、支部へ向かっている最中に眠ってしまった。
俺はそんな彼女を見て何故か温かい気持ちになる。
こんなこと少し前までは考えられなかったな‥。
どれだけレベルを上げても、強くなっても俺は何か辛さを感じていた。その正体は孤独だったんだな‥。
「旅を始めて助けられているのは俺ばかりだな。」
とつぶやきながら走っていると支部に着いた。
「朱莉ちゃん着いたよ。」
「‥え。す、すみません!私寝てしまって‥。」
「ははっ、大丈夫。さあいこう」
「はい!」
俺たちは支部の入り口へ向かい、門番らしき人物に話しかける。
「通してくれ。薬を届けにきただけだ。届けたらすぐ出ていく。」
「‥薬ってまさか、あの夫婦のか?本当に病院からとってきたのか?」
「ああ。あまり時間がない通してもらうぞ。」
「あ、ああ。わかった。」
意外と簡単に通してくれるんだな‥。
俺たちは夫婦が暮らしている小学校の体育館に向かう。さすがに色も1つの家庭に住居を与えることはできないのだ。その代わりに体育館や市民館などに多くの人が住んでいる。
体育館に入り、大人数の中からあの夫婦を見つけ出す。
「おい。薬を持ってきたぞ。」
「あ、あなたは!よくぞご無事で!薬というのは本当ですか!?」
「ああ。ほら、早く使ってやれ。」
「はい!本当にありがとうございます。この恩は決して忘れません!」
夫はそう言うと、涙目になりながら誰かを呼びにいく。
数分後、医者らしき人物を連れてくる。医者がきちんとした手当てをしてくれるそうだ。
「じゃあ、俺はこれで‥。」
じー‥
‥朱莉ちゃんからすごい視線を感じる。まあ本当に治るまで心配な気持ちはわかるが‥。
じー‥
「娘さんが治ったらすぐでていくからな。それでいいか?」
「はい!」
嬉しそうに頷く朱莉ちゃん。まあ俺も治ったか気にならないといえば嘘になる。それに狂狼化の影響が本当にないのか確かめたいしな。
俺たちは体育館を出て、お互いのことを話し合った。狂狼化の力・代償のことについても話した。
「俺から話すことはこのくらいだな。朱莉ちゃんの俺を助けてくれたスキルは一体なんなんだ?」
「私にもよくわかりません‥。あの時は無我夢中で。ステータスを見ていただいてもいいですか?」
「朱莉ちゃんがいいならいいが。」
朱莉ちゃんがステータスを見せてくれる。
黒崎朱莉 レベル11
体力165 魔力10000 攻撃力35 守備力38 速さ30
スキル 鳳凰の巫女(常に魔力上昇、火系・炎系・獄炎系の全ての攻撃・防御・回復・封印魔法を使用することができる)
‥魔力10000だと!?チート並のステータスだ。今の俺が言えたことではないが。それに鳳凰の巫女‥。聞いたことがない。だがこれ以上聞くのはまた今度にしておこう。
「ありがとう。俺のステータスも見せておくよ。」
無色遥 レベル30
体力2700 魔力68 攻撃力1250 守備力980 速さ1060
スキル 狼化(常に身体能力上昇、肉体自動再生、氷系の魔法を使用することができる)・加速・サンダーバレット
ヴォルグを倒したことでレベルが上がったようだ。
「‥すごい!でも狼化って‥大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ。狂狼化と違って害はないはずだ。おそらく朱莉ちゃんの鳳凰の巫女のスキルのおかげで狂狼化から邪悪な部分が消されたんだと思う。」
「そうだったんですね‥。多分、無意識に発動したんだと思います。私、自分のスキルを全然使いこなせなくて‥。まだ4つしか使えません。」
なるほど。なぜこれほど強力なスキルを持ちながら灰さんを探しにいかなかったのかと思ったが使えないなら納得だ。それに魔力以外はレベル通りのステータスだ。体力もこのままでは危ないな。朱莉ちゃんのレベルを上げなくては。
「話はこれくらいにして、今日は疲れただろう。もう休もう。」
話を通してもらい体育館に泊めてもらえることになった。
翌日、これからについて話していた俺たちは娘さんが目を覚ましたと聞き体育館へ駆けつけた。