「Anew」
手紙を書き残して行きます。
遠く離れたあなた方へ
血縁のみが繋いだ絆と言うものを信じて。
私は今彼が描いた絵画に囲まれ、狭く、そして実に鮮やかな毎日を送っております。
町を歩きがてら。朝から華やかで。
私は笑っております。常々。
女というものは複雑ながらも簡単で御座います。
全く以って。幸せとはこれでは無いのかなと確信したくもなりますが、奥底の私を守る為に必死で首を振るので有ります。
果物はたわわに実り、想い想いに頬を染めます。私も今、そんな感情にぶつかってしまっていて。
ピアノの音が彼色に染まり、私の音では無いのです。困り物だとは思いませんか?
涼やかな風に揺れておりますカーテンを開けると、いつもの景色すら熱を持ったように温かくて。これが「生」であると再認識します。
視界に色が有ります。何て満たされている事でしょう?
心が動きます。何故でしょう?
髪を伸ばす事が出来るのも、嬉しくて嬉しくて。
あなた方に手紙を書いた理由は他にも有るのです。
烏が怖いのです。彼等は素直に鳴くのです。
私を傷つけようと、悪意を悪意と認識しようとしないのです。
夜は蹲り、震え続けます。
彼が近くにいようと、抱きしめられようと、その一切が冷たいのです。
ですが、
やけに冷えたその空気。肺を、胸の詰まりを癒す月明かり。
ここにこそ、と思い込みたい自分もいます。
私は孤独です。
手にしても、手にしても、満たされることは無い。
彼の左手の薬指のみが、私の生きる意味となり得ます。
愛する人と一緒にいられるのは何時迄でしょうか。
疑問は何かに対する嫉妬心を生み出し、私を掻き乱す。
私が私でいられるのもどれくらいか。
息を吸って吐く。その当たり前が、当たり前で無くなるのも遠くない。
数ヶ月後、そちらでお話をさせて頂きたいのです。
彼は素敵な人です。きっと、あなた方も気にいるはず。
では、また。次のお手紙は、気が向いた時にでも。
Anew
女性の感受性は美しく、素直であると私は思います。
乙女ならではの移り気な心、ただ一人を愛する心。倫理観や常識を捨てればそれはごく自然なものです。
私は女性に触れる事でその感受性を共有したい。
と思っています。
まだ10代であるうちに。