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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

楽な道を選ぶ俺が悪い、だからもう一回チャンスをくれ

作者: 若宮広

5作目です。

「ごめん、君を守ることさえ、俺には出来なかった。あんなに守ってやると言ったのに。こんな情けない俺を笑ってくれ。今俺もそっちへいくよ。」



-ああ、またこれか。-


ゴブリン3体、ホブゴブリン1体が現れました。

どうしますか?

▶1-ゴブリンと戦う。

 2-オブゴブリンと戦う。


「おーい、皆、この先にモンスターがいる。俺はゴブリンの足止めをするから、ホブゴブリンは任せた。」


「おう、こっちは任せとけ。」


「私の剣で八つ裂きにしてやるわ。」


「分かりました。スカウも相手がただのゴブリンだからって油断しないでくださいね。」


「ありがとう、いってくる。」


少年、スカウは単身でゴブリンの群れに飛び込む。他の男女、ウォル、ルセア、ラーナの三人はホブゴブリンのいる方向へと走り出す。陣形は壁役のウォル、攻撃役の剣士ルセア、回復役のレナが縦に並ぶ形だ。三人の組み合わせでは一番最適な形だ。補助攻撃役のスカウはこのパーティーでは索敵と足止めを担っている


スカウは短剣を一つ、そして3メートルほどのロープを持ってゴブリンの背後を狙う。そして、一体のゴブリンの首筋に短剣を突き刺すと素早く抜き取り、構える。二体のゴブリンはスカウに向かって威嚇すると手に持った木の棒を構え、スカウに向かって突っ込む。スカウはその手に持っていたロープを振り回しゴブリンの首に回すと勢いよく引っ張り一体のゴブリンをこかす。もう一体のゴブリンの攻撃を避けて背後をとり、その首を掻き切る。出遅れたゴブリンがもう一度襲ってくるがロープが足に絡まりもう一度こける。そうスカウは余裕を持ってゴブリンに近づき、その首に短剣を突き刺した。


「はは、やっぱり楽に終わるな。これからもこういうスタイルでいこうかな?ははは、さて、あっちもそろそろかな。」



三人の前にいるホブゴブリンは手に斧を持っている。


「ぅごぉおおぉぅぅぅぅ」

ホブが斧を振りかぶりながら突進してくる。

「う、重い……」

それをウォルは大きな盾で受け止め、その間にルセアが背後にまわり、ホブに切りつける。

「せやーーー!」

背中を切られ痛がったホブは斧を乱雑に振り回し、暴れる。

「ウォルさんそのまま堪えて。」

その間レナは回復呪文を唱え、ウォルがホブの攻撃で倒れないように回復し続ける。

「うおらーー!」

ウォルは盾を構えながらホブに向かって突進し、ホブを倒す。

「ウォル、ナイスよ!」

地面に横たわり、武器を手放したことで攻撃手段のなくなったホブをルセアはその剣で真っ二つに切り裂き、止めを刺した。


「ふうー、倒したわね。ナイスよ、ウォル!」


「いやいや、レナが僕に回復魔法をかけ続けてくれたおかげだよ。」


「ウォルくんは頑張り屋さんだから。また無理するかなーって。」


「ありがとう、レナ。」


「いいよ。ウォルくんのためだもん。」


「よー!倒せたか?お!これはルセアの剣の跡だな!いつも綺麗だよなー!」


「そうでしょ。私毎日素振りしてるから。今日も帰ったら一緒に練習しようね。」


「おう!んじゃ、今日の依頼はこれで終わったし。帰るとしますか。」



Dランク冒険者パーティーの俺たち4人は今日も一つの依頼をこなして帰路につく。一日一つの依頼を受けてはこなす毎日。そんな日々が続いて、もうすぐでAランク冒険者になれるかもしれないと思った頃にそれは起こった。



「皆さん、聞いてください。今、ギルド本部から連絡がありまして、大量の魔物がこの国の首都に向かって進行しているとのことです。これより、大量の魔物の討伐依頼を申請しますのでどうか、よろしくお願いします。」


スカウたちが所属するギルドの受付嬢が声を大にして言う。その声に反応して、いくつかの強面な男女たちは雄叫びをあげ受付に向かう。そんな中スカウたちは、


「どうする?俺たちまだBランクだぜ。」


「でも、首都の人たちを助けられるのは俺たち冒険者だけだ。首都から応援が要請されるってことは人手が足りないってことだ。俺たちも参加しよう。」


「それに私の剣の腕を多くの人に証明するチャンスよ。飛び級でSランクっていうのも夢じゃないわ。」


「私が回復を頑張ります。だから皆も頑張ってください。」


「そうか、よし!そんじゃ俺たちもいこう!」


「「「おう!」」」



まさか、こんなことになるなんて。


その日、俺たちパーティーは、崩壊した。


突然巨大な蛇が俺たちパーティーめがけて体当たりしてきたんだ。ウォルはそれを盾で受け止めようとした、ウォルを守ろうとレナはウォルの後ろで回復魔法を唱え続けていた。結果、二人は死んでしまった。


彼らの死を受け入れられなかった俺は動揺して、その場に呆然と立ち尽くしていた。そこに大きな豚の魔物がきて、俺を切りつけようとした。


「危ない!」


ルセアは俺を庇うようにして飛び込んできたが、その魔物の攻撃は俺ではなく、ルセアを襲った。


「な、なんで」


そんな言葉はルセアには届かない。だって、ルセアはもう、死んでいたのだから。


「あ、お、お前、お前が殺したのか!この!しね!しね!しね、しね!」


俺はただ無我夢中になってその豚の魔物を切りつけていた。何度もそう、繰り返した。だから気付かなかった。また別の魔物が俺を殺しにやってきてたのを。そして、俺は、死んだ。



「あれ……ここは……?」


俺がそこにいたのが何故なのかはわからない。でも、たしかにあの日なのは分かった。それは俺が、俺たちが初めてパーティーとしての依頼を受けた日だ。


「あれ、俺、なんで、ここに?」


「お、目が覚めたか。」


「おはよう、スカウ。」


「お花畑に埋もれて寝た感想はどうだった?」


「いや、俺、なんでこんなところに。」


それは俺たちの初めての依頼、薬草採取の依頼の時に、俺がたまたま森の中に花畑が広がっていて思わず飛び込み、そのまま寝てしまった時だ。三人の話では合流の遅い俺を心配して森の中を探しまわり、ようやく俺を見つけたということだった。


「もう、私たちスカウが魔物に襲われて合流できないんだと思って心配してたんだから。」


「なんか、ここらにオークの群れが出没するって話だったし。心配したよ。」


「もう、お昼過ぎちゃったよ。このままだと日がくれちゃうよ。」


「あ、ああ、ごめん、今起きるよ。」


俺の身に何が起きているのだろう。とそのときは思っていたがなんとなく、皆が無事な様子だったので俺はそのまま皆と帰ることにした。


とまっている宿に戻りカレンダーを見た時の俺はとても驚いた。3年前に戻っていたんだ。訳も分からず動揺したまま俺は数ヶ月過ごすことになる。


おかしい、まるで俺たちの冒険をなぞっていくような心当たりのある依頼内容と冒険に俺は戸惑う、そして、ようやくわかったのだ。時間が巻き戻っていると。


時間が巻き戻っているということは将来またパーティーが全滅してしまうのではないかと考えるようになるのはとても簡単なことだった。だから俺はその日、決めたのだ。もっと険しい道を進んでやると。


それから翌日の依頼だった。


「ゴブリンとホブゴブリンの討伐。」


「お、俺らにちょうどピッタリのいい依頼じゃねえか。」


「うん!すごい切りがいのありそうな依頼じゃない!これにしましょ!」


「私は皆が無事でいられるなら何でも構いませんよ。」


「なら決まりね!これにしましょ!」


「分かった。それじゃこれをお願いします。」



そして、



-ああ、またこれか。-


ゴブリン3体ホブゴブリン1体が現れました。

どうしますか?

 1-ゴブリンと戦う。

 2-ホブゴブリンと戦う。


-いや、俺はパーティーを守ると決めたんだ。よし、強い方を倒す。強い方をたおして俺はもっと強くなる。-


▶2-ホブゴブリンと戦う。


「俺はホブゴブリンをやるよ。」


「あれ、珍しい、いつも弱そうな方ばっかり倒そうとするのに。」


「そうですよ。無理をしようと思わなくていいですよ。スカウの役割は足止めでしょ。」


「いや、スカウには考えがあるんだと思うぞ。いつも俺たちに戦い方を教えてくれたのはスカウじゃないか。俺はスカウの考えに賛成だ。」


「はは、ウォル、ごめん、本当は何も考えてない。でも、今日は俺がアイツをしとめてみるよ。」


「お、なんかやる気がでるようなことでもあったか?それなら俺たちも協力するぞ。」


「いや、さすがに4体同時だと頭が回らなくなりそうだし、今の俺の力じゃ無理だからそっちを頼むよ。」


「そうか、まあ、頑張れよ。」


「おう、それじゃ。」


スカウはホブゴブリンに向かって飛び込んでいく。

ホブの背後に忍び寄りその首を狙おうとするが先に気付かれてしまい、かわされる。

そこでロープを使ってこかそうとするが、ホブの手に持っていた斧でそのロープを切られてしまう。

ホブの動きをとめる手段のなくなった俺は咄嗟にその切れてしまったロープを短剣の持ち手に結びつける。

そしてロープを三つほど重ねて結び、鞭のような形にする。

ホブの攻撃をかわしつつ鞭をホブの斧を持つ手にむけて振るう。

短剣が手に刺さったホブは斧を地面に落としてしまう。

その隙を見逃さずスカウはホブの首に飛び付き、その首を掻き切る。


「ふう、たおしたな。これは保険の保険ぐらいの戦術だな。」



それからはいつも避けていた強い方を倒すという毎日、それが俺を強くしていく。

ただ一つ見落としていたことがおこってしまった。俺だけが強くなってしまったために他の三人が前回より弱くなってしまったことに気づいたのは。

そして、また今回も死んだ。

それはとてつもない数の暴力に俺1人だけでは手が足りずまず壁役のウォル、続いて攻撃手段のない回復役のレナが死んだ。

そして、俺とルセアはどちらも善戦をしていたのだが、突然巨大な蛇のとぐろの中に包まれ、その巨大な身体に二人は押し潰され、擦り潰されて死んだ。

「また、今回も駄目だった。」そんなことを言う余裕など三周目の俺にはなかった。

あんな殺され方をした。身体の感覚がかすかにそれを覚えている。

だから三周目は逃げた。



【エンディングリスト】


1、全ての選択を弱い方へ弱い方へと選ぶ。大蛇に仲間を引き殺され、動揺し、オークジェネラルに叩き潰される。


2、全ての選択を強い方へ強い方へと選ぶ。仲間が大量の魔物に囲まれて死ぬ。大蛇に擂り潰される。


3、死への恐怖により何事も無気力になり冒険しなくなる。首都が完全にその機能を失う。死体の山を貪り、より巨大になった軍勢に成す術はなく、大陸全土が魔王によって支配される。


4、「自分は未来の預言者だ。未来に魔王が攻めてくる。」と預言者ぶるスカウ。仲間には変な目で見られ、誰にも認めてもらえず、また何者かに背中を切りつけられ、死亡。


そして、5周目へ……



-ああ、またここか。-


  1、このまま、採取クエストを終える。

▶2、オークの討伐。


-ん?なんだ、なんでこんなものがここにでるんだ?-


「お、目が覚めたか。」


「おはよう、スカウ」


「お花畑に埋もれて寝た感想はどうだった?」


「なあ、ここらへんにオークがでるって話なかったか。」


「あ、ああ、あるぞ。だから早く帰るためにお前をおこしにきたんだが。」


「じゃあ、それを倒しにいこう。」


「え?スカウ?何をいっているの?」


「おいおい、俺たちまだFランクだぞ。オークなんて化け物倒せるわけないだろ。」


「いや、俺に作戦があるんだ。聞いてくれ。」



「おいおい、まじか、これはいけるかもしれねぇな。」


「おー!スカウ、やるじゃん!なんか見直した!」


「私は反対です。こんな作戦。」


「いや、大丈夫だ。これならいける。やろう!」


「おー!」「おー!」「わかりました。信じてみます。」



「お、いたな、あれだ。」


「オークが5体、俺たちにはきつそうだな。でも……」


「ああ、俺たちには作戦がある。」



スカウはオークの前に出る。オークはスカウの姿を見つけると叫びだす。

それを聞いて、スカウは走りだす。

スカウを追うオークたちの先頭にいた一体が何かにつまずいてこける。そこへすかさず木の陰に隠れていたルセアがその手に持つナイフでオークの首に突っ込む。これで一体。

突然目の前の仲間が倒れ、動揺したオークたちを両サイドから挟むようにして、スカウとウォルが鞭形鎌を使い、オークの首を掻き切る。これで三体。

残った二体を前に三人は3手に別れる。そして、

地面に広がっていたロープが4方向に引かれ、二体を縛り上げる。

二体がともに背中合わせで密着され、なにもできなくなる。

それを鎖形鎌をつかって安全にその喉を潰す。


「よし、これで終わったな。皆よくやった。」


「よっしゃー!完全勝利!」


「スカウ、よくこんなもん俺たちの荷物だけでつくったよな。薬草狩り用の鎌と護身用のナイフ、それとロープ。」


「ふう、私は後ろから忍び寄って縛るだけでしたけど緊張しました。成功してよかったです。スカウ、走って疲れたでしょ。今回復するから。」


「ありがとう、レナ。あと、ウォル、ルセアも。」



そして、

-ああ、またこれか。-


ゴブリン3体ホブゴブリン1体が現れました。

どうしますか?

 1、ゴブリンと戦う

 2、ホブゴブリンと戦う

▶3、ゴブリンの集落を襲い、オーガを倒す。


-もちろん、3だ。-


「さあ、皆、いくぞ!」


「「「おー!」」」



「ふう、ついにきた。」


大量の魔物が現れました。

どうしますか?

 1、大量の魔物を倒す。

▶2、魔物を召喚している元凶、魔王を倒しにいく。


-はは、これはかなりきつそうだな。でも、-


「よーし!俺たちSランクパーティー【ワンモアチャンス】で魔王を倒しにいくぞ!」


「「「おーーーーー!」」」


-魔王、このループの突破口を見つけたぞ!-


魔物の大群を前に4人は突き進む。その先に待つ魔王を倒しに。


何体を相手にするかを設定してから倒し方を考えました。今思えばなんて馬鹿なロープの使い方してるんだ。


選択肢はもともとありました。伏線もありました。もしかしたら2周目でクリアできたかも知れません。


全ての選択肢が目の前に提示されても、それ以上の選択肢があるかもしれないと自分から見つけるものだと思います。

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