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85/121

85.『場は焼き跡が所々残る集落に写った。』

『駄目です・・・生存している人は居ません・・・お兄さんの方は・・・?』


『駄目だね・・・誰も居ない・・・』


集落の奥からやってきた剣士千歳ちゃんに『僕』は答えた。


『僕』の腕にエルフ千尋ちゃんがしがみ付いていた。


エルフ千尋ちゃんはふるふる震えている。


『・・・君・・・、すまないが・・・誰も生きていないらしい・・・』


『・・・そう・・・ですか・・・』


エルフ千尋ちゃんはカチカチ歯を震わせながら、ボロボロになっている集落を見回す・・・。


『・・・あのさ・・・誰か、身寄りのある人は居るかい?居るなら、僕達がそこまで送り届けよう』


『僕』はエルフ千尋ちゃんを気遣う様に言った。


『いえ・・・私、この村から外に出た事無いですし、・・・身寄りは・・・居ません・・・。』


エルフ千尋ちゃんはぎゅうと『僕』を掴む手の力を込めた様だった。


『・・・そうか・・・何と言えば良いのか・・・』


『・・・でも、良いんです、私、この村に人々から、好かれていませんでしたから・・・』


『え・・・?そうなのかい?』


『はい・・・、だから・・・あまり悲しくありません・・・』


エルフ千尋ちゃんは、感情が無い様な、あるいは正の負の感情が複雑に織り交ざったかの様な、生気の無い微笑みを『僕』らに浮かべた。


その笑みはどこか強がっている様に見えた。


『・・・私、要領悪くて、皆から外に出ていけば良いって、笑われながら言われてました。親や兄弟も・・・だから悲しくないんです。』


微笑みながら言葉を続けるエルフ千尋ちゃん。そして、また微笑みを絶やさず言葉を続ける。


『いつか、追い出されるかもって・・・思っていたから、だから弓矢の練習もしていましたから、オークが襲い掛かった時、戦えて、生き延びる事が出来ました・・・村の皆が私を虐めてくれたお陰です』


微笑みを絶やさないエルフ千尋ちゃん、だが、その目からは一滴、二滴と水滴が零れ落ちていた。


『え・・・えふっ・・・えぐっ・・・ざまあみろ・・・ざまあみろ、みんな・・・みんな・・・みん・・・』


感情が押さえ込めなくなったのか、ぼろぼろと泣き出したエルフ千尋ちゃんに、『僕』は肩を抱きしめた。


『・・・え・・・?ええ・・・?』


エルフ千尋ちゃんは困惑した声を呻き出した。


『・・・辛かったな・・・君。・・・頑張ったな・・・君』


『僕はエルフ千尋ちゃんの肩をぽんぽんと叩いた。


『うえっ・・・・・うえええっ・・・・ええええええええ!!!』


『僕』の言葉に、感情が決壊したかの様に、エルフ千尋ちゃんは、『僕』の脇の胸の辺りに、自分の顔を押し付けて、わあわあと泣き出したのだった。


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