第二章
……え、この子は霊感があるのかな?
それ以前に、僕が見えるの!?
「あの、私はムネーメーというギリシア神話の神の生まれ代わりです。ですから、記憶を司っています」
どうやら、彼女はムネーメーという神らしい。
そして、人間界で修行中だそう。
僕は関わらない方がいいかな?
取り敢えず、お礼を言ってこの場をはなれよう。
「ごめんね。邪魔しちゃ駄目だしここで――」
「ま、待ってください!」
行こうとすると引き留められた。
何でだろう?
「私のそばにいて欲しいんです!……ぁ、私の名前は菜穂です」
「ああ、僕の名前は瑞樹」
そこで、一番恐れていたことが起こった。
「宜しくお願いします!"瑞樹さん"」
「わーっわーっ!僕は男だよ!後、タメ口でいいからね!?」
「あ……すみません。瑞樹君、改めて宜しくね」
そう言ってニコッと微笑む彼女――菜穂。
この子を見ると胸がドキドキするんだ。
どうしてかな、先輩幽霊さんに相談してみよ……
「で、その子を見るとドキドキして……」
「あー。それは完全に"恋"だな」
先輩幽霊さん――零さんに笑いながら言われた。
当然、僕の顔はどんどん熱くなってく。
うわぁ……
恋なんて、初めてだよ……
「ふーん。で、その子は神の生まれ代わりってことか」
「あ、はい。そうです」
うーん、"幽霊"が"神"に恋なんて、許されるのかな?
「まぁ、天界の神と霊界の幽霊の恋は許されてるけど」
「ちょ!心読まないで下さい!」
わ、また顔が熱くなってく。
恋って相当なもんなんだ。