僕は幽霊になりました。第一章
「……っ……ごめ、ん。あり、がと」
それが、僕の"人間"としての最期の言葉。
僕は――
「8月25日11時06分15秒」
人間界をさ迷う幽霊になりました。
目が覚めると白い空間にいた。
僕の服は死ぬときに着ていたジャージではなく……
白いワンピースの様な服を着ていた。
「……君、名前はなんだい?」
「え?ぁ……わ、分かりません……」
これは本当のことだ。
僕の名前は何だったっけ。
そ、それ以前に!
「貴方、誰ですか!」
「あぁ、僕?君の先輩のような立場……ってとこかな」
せ、先輩だったのか……
なんか申し訳なくなってきたな。
「す、すみません……」
「ん?いいよ。後、これ」
僕は契約書と書かれた紙を手渡された。
そこには、僕の新しい名前――瑞樹と書かれていた。
ふーん、瑞樹か。
いい名前だなぁ。
「それが契約書だよ。後は人間界を自由にさ迷うがいいよ。じゃあ、またどこかで」
その言葉を聞いて、僕の意識は薄れて行った。
気が付くと僕は住宅街にいた。
そこの地名も住所も分からない。
まぁ、僕「瑞樹」は他の人に見えないから地名が分かっても意味はないけど。
……そんなこんなで住宅街を回ってみたけど……
誰も気付いてくれないってなんか少し寂しいなぁ。
誰か、霊感の強い子がいないかな?
・
・
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昼は影のあるところを通ってたけど……
夜になった今は堂々と行動できる!
あ、僕は憑依して危害を与えるような事はしないよ?
憑依は駄目って先輩幽霊さんに言われたから。
あーあ。
それにしても霊感の強い子がいないなぁ。
でも、しょうがないか。
霊感は生まれ持つものだから。
……あまりいないんだよね、霊感の強い子って。
「はーぁあ。霊感の強い子、いないかな?」
僕がそう呟くと同時に、後ろに気配を感じた。
人間の気配だ。
でも、霊感はないかなと思ってその場を離れようとした。
その時。
「貴方、幽霊ですか?」
そんな声が掛けられた。