後編
鬼達の話を簡単に纏めると
【鬼の容姿のせいで迫害されて仕事がない→隠れて静かにしてても住む土地を追われる→飢える→今ココ!】
要するに盗賊をするしか鬼達には道は無かったようなのです。
お爺さんとお婆さん達は鬼達に同情しました。
「しかし悪事はいかん。ますます人々から嫌われてしまう。」
「しかし、我らはそれでは飢えて死んでしまうのだ。」
お爺さんの言葉に鬼達は困ったように言います。
鬼達も本当は人を襲いたくはないのです。
「では儂等が食時の面倒を見よう。その代わりお前達には仕事をしてもらう事になるがの。」
お爺さんの言葉に鬼達は少し不思議そうに首を傾けましたが、そういう事ならと頷きました。
・・・
鬼達がお爺さんに言われた【仕事】とは人助けでした。
困っているところを見たら助ける。それだけです。
しかし条件もありました。本当に困っている人以外は助けない。見返りを求めてはいけない。お礼も貰ってはいけない。
鬼達は不思議に思いながらもその仕事を頑張りました。
お爺さんとお婆さんは自らの財産を切り崩しながら鬼達の食時を用意します。
鬼達は感謝しますが、お爺さんとお婆さんはそんなお礼等いらないといいます。
1年が過ぎました。近くの村人達が鬼達に声をかけてくれるようになりました。
2年が過ぎました。近くの村人が差し入れにと野菜を鬼ヶ島に持ってきました。
お爺さんとお婆さんがそれを受け取り「これがお前たちがやってきた仕事の評価だ。」といいました。
3年が過ぎて近所の村人と鬼達の壁は無くなっていました。
お爺さんとお婆さんは楽しそうな鬼と村人達を見て嬉しそうに笑っていました。
・・・
ある日、お爺さんとお婆さんが病に倒れました。
鬼達はお爺さんとお婆さんの為に険しい山や海、谷の奥深くにある薬草を採ってきて薬にしてお爺さんとお婆さんに飲ませていきますが、一向に良くなりません。
「お前達そんなに悲しそうな顔をするんじゃない。」
「そうよ、私達はもう充分に生きたわ。」
お爺さんとお婆さんの言葉に鬼達は涙を浮かべながら顔を下に向けます。
「儂等には子供ができなかった。」
「だからあなた達の事は自分の子供と思って接してきたわ。」
「お前達は迷惑だったかもしれんがの。」
「やだお爺さん、そんなこと言うもんじゃないわよ。」
お爺さんとお婆さんはそう言いながら笑います。
「これからも人と仲良くするんじゃぞ?」
「心に芯をしっかりと持ちなさい。私達はいつも見ていますからね。」
お爺さんとお婆さんはそう言うと眠るように息を引き取りました。
・・・
数十年が過ぎ、鬼達は人として認められました。
鬼達の努力が実を結んだのです。
鬼ヶ島の中心には二つの銅像が立っています。
銅像は笑顔で今日も鬼達を見守ってることでしょう。
何時までも何時までも……




