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聖魔降臨  作者: 珀夜
4/6

第三話 --- 日常と暴走と

「♪〜」

 じゅう、と肉の焼ける良いにおいと共に聞こえる軽い鼻歌。

 かわいらしいフリル付きのエプロンを着た少女が火を前にしている。

 時間はまだ午前6時。そしてそろそろ皆がおきてくる時間帯。

 とん、とん、とん と階段を下りる音がする。

「あ、おは・・・」

 彼女の時間はそこでとまり、すぱーんっ! と良い音が如月寮に響き渡った。



      聖魔降臨

         第三話 --- 日常と暴走と



「なにやってるかねぇこの小娘は・・・」

 瑠璃がこう漏らすのも仕方がないのかもしれない。ハリセンアタックは調理していた本人、マユの姿を見た瞬間の行動だ。

 ・・・そのマユは、スパッツとエプロンのみというおよそ男性には見せないような格好をしていた。---男なら誰でも夢見る裸エプロンとどこかの格言にあるとかないとか言われるが、そんなものに惑わされる瑠璃ではない。

 今でこそシャツを着せてはいるのだが。

「そういうアンタこそ、何で朝っぱらからハリセンなんてもちあるいてんのよ」

 ハリセン。そう、ハリセンが一閃しただけ。

 たったそれだけのことなのにマユの後頭部には未だに重い衝撃が残っている。

「これか? これは、そう。朝の挨拶ってヤツだ」

 何事でもないかの様に軽く言ってのけた。

「それはまた、超ローカルな挨拶だわね」

 自分のことはさておき、未だ平然としている瑠璃をねめつけながらも悪態は忘れない。

「普通が良かったのか?」

「・・・できればね」

 その言葉と同時に、瑠璃の腕がマユの腰に伸び、体を引き寄せる

「きゃっ?!」


   ちぅ。ぼんっ、ぼん、ぽっ。


「きゃーマユちゃんってば大胆ーっ」

「アンタあれだけケンカしといて抜け駆けかいな」

 声のする方---階段をのぞき込むとサラとレイがいた。よりにもよってこの二人が。



         3rd Story

            The Beast Attack



 一騒動。

 一騒動は短時間では収まらない。休みを良いことに二人は半日近く小突かれ回されたのだ。それもサラとレイの二人に。

「しっかし、あれだけ騒いでたマユちゃんがいきなりそういう行動に出るとは思わなかったよぉ」

「大丈夫、私は信じていたからな」

 一人はただ騒ぎ、一人はお茶を啜りつつのんびりと語る。

 もちろん騒動の原因となったマユにしてみればたまったモノではない。

「あんたらねぇ・・・ そこっ! 我関せずとばかりに一人勝手に台所つかうなっ! でもってのんびりお茶飲んでるんじゃないっ!」

「んーだって見てる方が楽しいし」

 これは本心だろう。

「くぅっ」

 地団駄踏んで悔しがる。何回か踏んでから

「こうなったら、勝負よ!」

 ただ一人の男である瑠璃を指さしつつ言い放つ

「「「はぁ?」」」


 次の日の朝。さっそく寮の裏庭に引きずり出された。

「で、なんで俺はこんなことやってんだ? っつーか、キミら学校どうしたの」

「欠席」

「風邪の予定」

「体調不良、のはず」

「関係ないわっ」

 順にレイ、千尋、サラ、マユ。3人はどこかで時間を潰すよりもこちらのほうが楽しいと判断したらしい。

「まあいいけどね。で、何するんだっけ」

 と、これは瑠璃。寮の裏に引っ張り出された今を持ってして、何をするのか分かっていないのだろうか。第三者から見ればこれはからかわれていると判断してもおかしくない。

 現に、マユの目線が一気に細くなる。口数もなくなり、静けさが増す。

「ありゃ・・・」

「まずいね」

「かくれとこ」

 と、サラ、千尋、レイ。その三人が結構な距離を取りつつ警戒し始める。

「ふむ」

 雰囲気が一転してからの潜在魔力は合格だな、と心底思う。

 問題はそれをコントロールできていないことか。

 そう考えているうちにマユの詠唱が始まった。


 古の民の子よ ()が命に答えその力ここに現さん

 旧きよりの(つわもの) よ 我が前に立ちはだかりし邪を打て


「「「「げ・・・」」」」

 聞き覚えのある三人と、この詠唱を知っている一人が同時に呻きを漏らす。

 それほどまでに驚異的であり危険な魔法。


 甦れ 龍の子よ 彼の敵を滅ぼさんがために


 そう、それは古に伝わる獣魔術。暗黒魔法から派生したものだ。

 自らの命と引き替えに力ある言葉から顕現される魔法。

 更に彼女は暗黒魔法としての儀式も上乗せしている。


 逝け 古の子と共に

 朝倉 麻由の名に於いて命ず 出でよ 魔炎龍!



「瑠璃の名において命ずる いでよ凍血球!」

 彼もまた力ある言葉を紡ぎ出す。前に突き出された手からでてくるのは氷でできたウニみたいな物質だ

 氷と炎がぶつかり、炎の龍が瞬時に凍り付く。

 凍った龍は身動きが取れなくなり、その姿を消した。


============

第三話 了

============



[あとがき]


 第三話終了ですー

瑠璃:おつかれさんっと

マユ:今度こそ決着付けてやるっ!

瑠璃:まぁ、いつでもいいぞ? 不意打ちだけはするなよ。あれは力量はかるのには向かないから。

マユ:むきーっ!


レイ:ねねね、良いようにマユちゃんもてあそばれてるね♪

サラ:久しくみてなかったよねーっ

レイ&サラ:ねーっ

マユ:・・・焼くわよあんたら


 さておき。大体の世界観はつかめたんじゃないかなと思います

サラ:世界観って、寮のコトじゃなくって?

 世界観。魔法とかそっちの方。

サラ:でもジュウマジュツ、だっけ? それしか出てないよ?

レイ:あれってかなり特殊な魔術だよ?

 まぁ、そうなんだけどね。

 ヒトが潜在的に魔法を使える、ってのを知って頂ければ良いかと。特に感情にまかせてキレたとき

マユ:それは当てつけかしら・・・?

 いやなんでもないですよほんとに?


レイ:さてさてっ! 次回第四話

サラ:こんどは私たちが送る学校生活だよーっ!



千尋:・・・出番なかった


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