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彼女を殺す魔法  作者: 四季織姫
行く先拓くは幼き暁
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第三話 律者の先生

 八日道の勉強は赤ん坊の頃から初めているが、なかなか進んでいない。そこで、父が先生をつけてくれるようになった。今日はその先生がやってくる日であった。

 馬車に乗って、彼女はやってきた。

「初めまして、レヴィくん。私はグレア・ウィザードウルフと言います。律者としての立場は八道大君というところにいます。よろしくお願いしますね」

 歳の頃は十七といったところだろうか?生前の私程度の年齢に見える。八道大君は確か下から四番目、上から三番目の位置にいる人のはずだ。私はまだこの辺の年齢と地位との関係がいまいち理解できていない。

 しかし、父がすごいすごいと語っていることからこの世界の常識的に見てもやはりすごいことなのだろう。

「初めまして、レヴィ・ワーグナーです。これからよろしくお願いします」

 彼女との師弟関係はここから始まったのだった。彼女から教わったのは八日道と母がまだ教えていなかった常識に関して、なにぶん母が世界を渡ったのはもう十年は昔のこと。世情もその頃とは変わっている可能性があったかららしい。母は私に教えるつもりで勉強しなおしていたらしいがそれより早く今を旅する若者が現れたのが現実だった。

 まず、最初に彼女は常識の方を教えてくれた。どうやら、八日道も学ぶ中でもこの世界の常識が必要となってくるようだった。そりゃそうだ。日本でも言葉や数字を知らないのに社会や理科を勉強することはできなかったからだ。

「まずは八日道というものから話していきましょう。八日道はこの神大陸で使われる他の大陸では魔法と呼ばれるものです。これは魔力を消費して用いられます。普通は詠唱とよばれるその術の名前を口に出すのですが時折訓練やギフトによって無詠唱で発動できる人もいます」

「ギフトとは何ですか?」

 初めて聞く言葉だ。

「ギフトとは長寿の神様だけが使える異世界転移・転生の術によって召喚された異世界人や神様に就任される時にいただく特殊な能力のことですよ。ただ、どんな無理難題も越えられるわけではなくて、この世界で確認されている能力や事象のみらしいです。本当のところは分かりませんがね」

「何でですか?」

「異世界人も神様の就任も絶対数が少ないからです。そうポンポン怒ることじゃないからですよ」

 確かにこの大陸を統治する神様がそう何度も入れ替わっていたら大変だ。日本の総理大臣だって、何度も同じ仲間がやっているんだから。

「話を戻しますね。八日道の他にも魔力を用いるものはあるんですが、八日道にしかない特徴があります。わかりますか?」

 グレア先生は自分で知識を噛み砕けるように質問してくれる。

「勉強しました!魔力が枯渇すると生命力を使うんですよね」

「そうです!だから自分の体と相談しながら使わないと死んじゃいます」

 先生はうんうんと頷きながら解説してくれる。

「そして、魔力を使うものはあと二つ。八日道具パージュ神明機シェンミンです。この二つは似ているようで違うものだから、よく覚えておいてくださいね。八日道具はその名の通り八日道を用いて使う道具です。八日道との違いはその魔力消費量と制限値の有無ですね。八日道は魔力を持っている人、つまり神人シェンレンならほとんどの人が使えますね。そう、八日道を支えるほどの魔力を持っていない人であってもね。そして制限値ですが八日道そのものには制限がなく、使い過ぎれば死んでしまいます。でも、八日道具はその心配がいらないんですね。」

 それから、先生は八日道具が使われるのは日常生活が主だと教えてくれた。反対に八日道そのものは日常生活より戦闘面で使われるのだという。何と戦うのかは後のお楽しみだそうだ。

「それで神明機はどう違うんですか?」

「神明機は古代にあった唯一王朝時代の産物と言われていて、一代で滅んだレグルスという王朝の王様が開発した機械なんです。未だ謎が多く、発明方法なんかは全く糸口が見つからないそうです。機械自体も魔力を通して見て初めてどんな機械なのかがわかるぐらいですから」

 日本の創作的にはアーティファクトというやつでは?オタク的には大興奮なうです。

 「それでは」と言って先生は戦いについて話してくれた。

「律者を目指すのであれば避けては通れない道があります。それがハイとの戦闘です。骸とは魔力の影響を受けすぎた人や動物、植物なんかの変異体のことです。凶暴で破壊衝動に身を任せています。そして、我々人間が一番恐怖を抱いたのは彼らが一途にどこかへ向かっているところです。それはアンノウンと呼ばれる神様へその身を献上しているのではないかと言われています。そのために失楽園シーチェンと呼ばれる大陸の中央部分に向かっているという話です。彼らの討伐はこの大陸に住んでいる神人の務めです。特に律者や剣士、その冒険者、あとは氷の街にいる騎士団員なんかは最前線で戦う使命があるのです」

 アンノウンといえば、死んだあの時の人もそんな名前を使っていた気がする。そして、彼女を殺せとか何とか言っていた気がするが。

 「街の特色とかあるんですか?」という謎に思った部分を聞いてみることにした。地図とかは見ていたが実際にその街にどんなものがあるのかはちゃんと理解できていなかった。

「この大陸は八つの街があります。それが炎の街ファイ、水の街ウォル、風の街ウィズ、雷の街ルト、氷の街アイ、土の街アジュ、花の街フリス、音の街ムーカです。そして、上から冒険者、聖職者、律者、商人、騎士、農民、芸能人、芸術家が中心となって生活している街です」

 街の位置は確か八芒星の形となっていて、左上から順に火・花・風・土・水・氷・雷・音で並んでいる。


 それから、世界の統治者の話になった。

「神様のことを教えてください」

「ん〜、いいですよ。じゃあ、まずは基礎知識から行こうかな。神様は今のところ全部で十一柱います。八つの街に対応する神様、双神と呼ばれる魔神・覇神のお二人、そしてアンノウンと呼ばれる骸の神」

「そんなにいるんですか?」

 彼女は首を縦に振って、言葉を続ける。

「います。炎神ファイロン、水神ウォルト、風神ウィン、雷神ボルトル、氷神アイシック、土神アース、花神フロス、奏神ムジカと呼ばれる八神。覇神アークと魔神ロゴス。そして、アンノウンですね。覇神と魔神は神様としてのギフトを授からずに神の立場に上がったんですよ」

 最強は誰なのだろう。とりあえず聞いてみた。

「最強ですか?それなら炎神と覇神ですね。炎神は戦闘力、剣士としてや律者としての腕は他の神々からすると下の方にいるのですけど、未来を見通す瞳を持っていると言われています。もちろん、剣や八日道も私たちからしたらずいぶん上ですね」

 先生の実力をまだ知らないからあれだが、上から三番目の地位にいる人にここまで言わせるとは。

「もう一人の覇神は倒れないことで有名です。高い魔力適正があり、高密度の魔力によって皮膚の硬化や治癒力、蘇生力も高いために「不滅」という能力を獲得しています。その上、八日道は全属性使用できるとか何とか」

 その後もわいわいと世界のことについて話し合って一日が終わりを迎えた。


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