記憶の追憶 by剣聖
あの時、私に剣を持たせてくれた兄弟子、私をここまで育ててくれた師範、私を慕ってくれる道場の者たち、そして、私の帰りを待ってくれる桜、そして、私の密かな楽しみとして、桜と共に二人きりの花見をする。それはたった一本の桜の木の下で二人で手作りの料理を頬張り、買って来た酒を飲む。その時だけは私は饒舌になった。この二人きりの時だけ。あえて言おう。私は幸せの絶頂にいた。だが、その幸せは長く続かなかった。ある花見をしている時、ぞろぞろと朝廷の武士たちがやって来た。そして、一人の女性がやって来たのだ。その女性とは何を隠そう『陛下!何故このような場所に!』この国のトップ天羅様であった。
天羅『久しいな。龍』
龍『今日は何用で』
天羅『少し頼み事を聞いて欲しくてな』と淡々と言う。昔からそうなのだ。この人は感情が表にでらん
龍『その頼みとは?』と問う。
天羅『今、外国では聖戦という。大戦争が起きている。その義勇軍として、外国に行ってくれんか』
龍『何故?』
天羅『聖戦によって、輸入品何全然かなくてな、ただでさえ我が国は資源に乏しいというのにだ。その上で現在聖戦において人類側はかなり劣勢らしい。というのは建前で、あの利権にしか目のないアホどもに恩を売ろうと思っている』
龍『本当建前ですね。前者』と呆れる。
天羅『当たり前だ。あの利権にしか目のないアホどもは権力だけならあるからな。否が応でも恩を売って、そのお返しを国のために役立てた方がいい。そうは思わぬか?』
龍『たとえそうだとしても、その頼みは聞けません。私は今の状態で満足している』というと背後の剣士たちが剣を構える。それを天羅様が止める。
天羅『我々は頼んでいる側なのだぞ。しかもその内容は死地に行ってくれと言っているのと変わらん。日に日に激化する戦場、生きて帰れる保証などない。それなのに、断ったら襲うなど、愚の骨頂じゃ、それにお主らが挑んだところで勝てんじゃろ』
そして、私に向き直り、『無論ただとは言わん。そうじゃな〜、金と家、あとは"苗字"をやろう』とそれに驚く。なぜなら、苗字とはわが国の貴族しかないものであり、陛下から貰い受けるというのはこの国で僅か数家しかない名誉あるもの。だから、生涯の誉となるであろうものである。それを下さると、私は悩んだ。そして、その依頼を受けたのだ。それが生涯の過ちだとなると思わずに。
天羅『期間は5年。帰って来たら、その時に苗字名乗ることを許す。まぁ、あっちで言ってもいいぞ』と冗談をいう。そして、出航するために船に乗り込もうとした寸前に桜から、袖を掴まれる。そして、『生きて帰ってくださいね』と目に涙を浮かべ、言って私を送った。




