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スノーローズ~転生した精霊の愛し子は唯一と何度でも巡り合う~  作者: ありや


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冬の花 4

*たくさんある作品の中から見つけていただいて、お読みいただきありがとうございます*

 精霊様がお土産を持って訪ねて来てくれたのは、私がまだベッドに入る前だったから良かったものの、もう少し遅ければ、きっと布団の中だったはずなので、数秒で眠れる某眼鏡の少年並みに睡魔に負ける自信しかない私は、ギリギリ精霊様の対応が出来て良かった、と思っているまさにその真っ最中である。

 ええ、誰でもいい。精霊様のお相手をしてほしい。そして私を眠らせて欲しい、と思うくらいには眠くなってきている。まだ…ギリ…きっと大丈夫だけれど。


「でね、アイリスも僕がやってみせたみたいに、この水晶に魔力を込めてみない? っていうのが今日の目的なんだ。どう? 興味ない?」

「……え? 私まだ魔力制御の勉強を始めたところで、よく分かってないんですけど」

「大丈夫だよ。僕がすぐ傍にいるんだからさ。やって見せたから方法ももう分かってるんなじゃい?」

「えーっと、方法は確かに、なんとなくですけど分かった、と思います」

「じゃあ、大丈夫だよ! さっ、やってみよう。全然怖くないから。僕がいるんだから問題ないし。ね?」


 酷く胡散臭いと思えるような笑顔で私を見る精霊様。もう明らかに引く気もないし、魔力を込めさせる気満々だし、逃げようがないんだろうな、と分かる状況なので…私はまたため息を吐いていた。そう、睡魔と戦いながら。もう私が眠いのを分かってるはずの精霊様がそれを無視しているのを、私は察しているのだけれど。

そして、そんな私を察している精霊様がいることも私は察しているのだけれど。…私は精霊様に眠らせてはもらえないようだ。色気のない案件で。


「分かりました。やってみます。でも、私の魔力が暴走しても困るので、出来るなら私の周囲に結界を張っていただけませんか?」

「やったー! 魔力暴走なんて起こるはずないけど、アイリスは初めてだしね。結界は問題ないよ。じゃあ、始めようか」


 私は新たに渡されたガーデンクオーツを手に持って、水晶の様子をまじまじと…と言うよりは瞼が閉じないようにしながら眺めていた。

精霊様が見せてくれた魔力の動き、水晶へと注がれていく魔力の様子を思い浮かべる。そして、自身の体の中を巡る魔力を確かめるために、どう動いているのかを感じ取ってみる。血液が体内を巡るように、とよく魔法の訓練をする登場人物が魔力を感じるさいに描写されているのを思い返しながら、自分でもとりあえず試してみる。

(ああ、なるほど)と思うくらいには、分かり易く魔力の流れを掴み取れた。

私は魔力を自分の手に集めるように集中してみる。この頃になると、私の睡魔はどこかに行ってしまったようで、瞬きの回数も減っていたし、魔力を集中させることに必死になったせいか、頭が冴えてきてさえいた。

 精霊様のように慣れた作業というわけじゃない。初めてすることだから。だから、手に集めることで今両手の掌の上に置いている水晶にすぐにでも魔力を注げるように、と思いながらの作業だった。

 幸いにも、それで問題がないようだった。精霊様に何も言われることのないまま、私は魔力を手に集めて、そのまま掌の上の水晶へと魔力を注ぎ込んでいった。

水晶が一瞬淡く光るのと同時に水晶が熱を持ったのを感じた。

(徐々に熱を帯びるわけじゃないんだ。面白いなぁ)

そんな感想を持ちながら、掌に転がる水晶を見ていると、ひょいっと精霊様が水晶を奪って行った。


「うん、大丈夫だったね。さすがアイリス! 初めてで成功するところは、やっぱり規格外だねぇ」

「…ぬ?」


 精霊様が水晶をじっくりと眺めている。眺めながら、私のことを言う。『規格外』と。どういうこと? 思わず変な声が出ちゃったじゃない!


「初めては失敗するものなのですか?」

「うん、そうなんじゃないかなぁ。少なくとも、他の精霊達から聞く限りは、加護を与えた者も、祝福を与えた者も、魔力の多い人間ばかりなんだけど…こういう魔力の操作ってのはその人の器用さが物を言うから、大抵は慣れないから失敗するものなんだって聞いたよ。あ、僕はアイリスが初めて加護を与えた人間だから、他は知らないよー?」


 相変わらずの気楽さで話す精霊様をなんとなーくジト目で見てしまった私。だって、失敗するかもしれない魔力を込める作業を、まだ魔法の勉強を始めたばかりの私に無理強いさせたのだから、そういう視線を向けてしまっても仕方がないと思う。というか…私の視線に気付いていながら、スルーしてる精霊様も性格が悪いと思う。うん、こういう方なんだってなんとなく分かってはいたけども!


「それじゃ、アイリスはこの出来立てほやほやの魔石になった水晶を使ってみようか」

「…え? すぐに使うんですか? 一体何に?」

「あー…何がいいかなぁ。あ、丁度いい物を見つけたよ。この精霊草の鉢の土に少しだけ埋める形で、置いてみるといいよ」

「精霊草に、魔石を? つまり精霊草に魔力を与えるってことになるのでは?」

「そうだね」

「…えー、どうなるんだろう?」


 精霊草。

庭園で見つけた前世で大好きだった…あやめさんの記憶の中でもかなりの大きな思い出の一つらしいクリスマスローズとほぼ同じ葉を茂らせている。そして、あやめさんはそのクリスマスローズを鉢植えでたくさん育てていた。あまりに多くの鉢を庭に並べているせいで、狭い庭が足の踏み場もないと家族から苦情が出たほどだ。仕方ないなぁとブツブツ文句を言いながら、フェンスや壁に格子状の柵を括りつけては鉢を掛けられるように細工をして、あやめさんの家族からのブーイングをなんとかした記憶まで思い出した。…DIYまであやめさんは熟すのか? という疑問が浮かんだものの、今はそれを考える状況じゃないことを思い出したから、俯いて考え込んでしまっていた顔を精霊様に向けた。


「精霊草に魔力を与えることに何か意味がありますか?」

「うーん? そうだねぇ。精霊達が喜ぶくらいじゃないかな。でも、精霊草の花が咲いたら…………ちょっと怖いことがあるかもしれない」

「は?」

「あー…多分大丈夫だとは思うんだけどね。そんな心配はしなくていいと思うな」

「……トワ様がそう言うってことは、厄介事があるってことじゃないですか!」


沈黙で答えを返す精霊様に私は思い切り眉間に皺を寄せたまま、ついつい苦情を申し立ててしまった。が、苦笑いを浮かべた精霊様は、「ごめんねぇ」と言うだけだった。


「何か問題が起こるのなら、その時はトワ様に立ち会っていただきますからね! 私はとりあえず、精霊草の鉢に魔石を置きますよー!」


くふふふと笑う精霊様は、私の頭を撫で始めた。

髪がくしゃりとなるせいで、髪が乱れてしまっている。でも、精霊様が私の頭を撫でるのは、大抵は何か考え事を始めた証拠だ。そうなると私が何を訴えても、まーったく反応がなくなるから私は精霊様の自由にさせる一択だ。仕方ないから、乱れた髪をそのままに何気なく魔石を片手に精霊草へと歩いていく。すると、精霊様は考え事に没頭しているためか、私の頭が精霊様の手から離れたというのに気付きもしない。私は無事精霊様の手から逃れることが出来て、魔石を鉢に置くことも出来た。


「これでどういう結果になるのかな? 精霊草の成長も気になるけど…トワ様の言う怖いことが気になる…」


そんな私の呟きは、誰が拾うこともなかったのに、案外すぐに怖いことではなかったものの、何気に暴風のような激しさを伴う出来事に襲われることになる。あ、全然危険じゃないんだけど。

精霊様の言うちょっと怖いの意味を理解することになるけれど、それはまだ少し先の話。


久しぶりの投稿になります

年末年始のあわただしさがあり、投稿したいのに、と思いながらほぼ3か月投稿できないでいました

自身ではない身内の進路とかもあり、本当にグッタリしておりました

今後はペースをかなり落としますが、月に一度は最低でも投稿していければいいな、と思います

待っていてくださる方がいてもいなくても、自分のために書きたいので(なんたる我儘)

それでは、また機会がありましたら、よろしくお願いします

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