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スノーローズ~転生した精霊の愛し子は唯一と何度でも巡り合う~  作者: ありや


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婚約 1

*たくさんある作品の中から見つけていただいて、お読みいただきありがとうございます*

 ラロック領から戻り、王都の屋敷で一息ついたのは翌日のことだった。けれど実際には、精霊様の加護とか色々訳の分からない状況のおかげで、落ち着いた状態になったのはそれから更に十日程後だっただろうか。

その間に、私の将来は一方的と言ってもいいのではないかと思う状況に陥った、とあやめさんの感覚であれば感じるような状態になっていた。

 貴族として育ったアイリスの私は、政略結婚という言葉が身近だから、こういう事もあるのだろうと思うだけだったけれど、あやめさんは恋愛結婚が普通であるためか受け入れられないと、私の背後で訴えていたように思う。

つまり、九歳の私に婚約者が唐突に出来ましたよ、と。そういうことだ。


 §


 領地から戻ると、お父様宛に国王陛下からお父様と私宛の招待状が届いた。招待状の日程がかなり急なものだった。その招待状が届いて三日後だったからだ。

まだお茶会にも参加しことがない私には初めての登城になる。それはいいけれど…王城、しかも誰もが立ち入ることが出来る範囲ではなく、招待されなければ立ち入ることが出来ない場所への招待だとお父様に教えてもらって、正直「どうして?」と思うのと同時に、「精霊様の加護のせいかしら?」とも思うと、状況的に腑に落ちる気がした。

 この世界での精霊様の立場は神様の次に尊い立場だ。そんな御方からの加護。きっとそれが原因だろう。でも、所詮私の立場は貴族の娘。しかも伯爵家の令嬢でしかなく、どう考えても公爵家や侯爵家よりも家格は低いし、私自身の価値なんて精霊様の加護があることくらい。本当にそれだけだ。ということは、王家からの招待はそのことだけだと疑いようもないわけで、精霊様の話をすればいいのかな、とぼんやり考えていた。


 招待された日の朝。

私は侍女達に思い切り磨かれていた。初めてのことだったから、正直驚いたのだけれど、それでもがんばってくれている侍女達を思うと、ただただ黙ってなされるがままだった。あやめさんの記憶のこともあって、体を他の人に触られるというのは、戸惑うようになっているのは秘密にしなくちゃいけないのだと思っているのだけれど。

そして仕上がった私の様子に、皆一様にため息をついていた。

 私に用意されたのは、水色をベースにしていたものの私の髪の色がシナモンベージュということもあり、柔らかいクリーム色やベージュをレースやフリルにあしらわれていて水色が思ったよりも強調されないドレスだった。

あやめさんがこの色を見た瞬間、「アリス! アリス!!」と叫んでいた気がする。えっと、子供向けの物語だったわよね、確かうさぎを追いかけていくっていう…。あやめさんの記憶は時々ぼんやりしてるから、あまりピンとこないんだけど確か水色のエプロンドレスみたいな? あれ? 違ったかしら?

 ドレスに合わせたアクセサリーも同系色のレースやフリルを使ったものばかりで、宝石なんてチョーカーに付けられていたものだけだった。髪はハーフアップにまとめられ、髪飾りも他のアクセサリーと同じレースとフリルで飾られた。靴も同じ生地で作られたもので、頭から足まですっかり同じ色合いになっていた私だった。


「お嬢様、とってもお綺麗ですよ。私共の自慢のお嬢様ですから当然なのですが!」


そう言ったのは誰だったか。私専属になった元乳母のティナではなく、メイク担当の侍女だろうか。暫くするとお父様とお母様が揃って部屋へとやって来た。二人揃って仲良く現れて、私を見た途端に破顔していた。


「アイリス、やっぱり可愛いわね。アーネストと私の娘なのだから当然だけれど。ドレス、よく似合ってるわよ」

「本当だ。可愛いし、綺麗だ。…今から陛下にアイリスを会わせるのかと思うと…気が重いよ。アイリスが誰かに見初められでもしたら、と思うと…」

「アーネスト、そんなこと言ってはダメよ? 陛下は笑ってお許しくださるけれど、不敬だわ」

「ああ、分かってるよ。分かってるけどね。大事なアイリスに悪い虫でもついたら困るだろう?」

「もう、そんな心配なんてしなくていいのよ。私達のアイリスには精霊様がついてくださってるのだもの。決して悪い人間なんて精霊様が許さないから、大丈夫よ」

「あ、そうだったね。精霊様が守ってくださるのだから心配し過ぎても………し過ぎるよ、親なんだからさ…」


 なんだか私そっちのけで私の心配をしているようだけれど、うん、ここは全力でスルーしようと思う。私はまだ九歳なのだから、そこは気にしたらダメな気がする。それに、あやめさんは結婚する前に死んでしまってるのだから、今生ではちゃんと結婚して、子供も産んで、出来れば孫も可愛がるくらいにはがんばって生きようと思ってる。だから…えーっと、えーっと…あれ? まぁいいか。

 そうこうしているうちに、時間だからと執事がお父様を促したので、お父様と私は一緒に玄関へと足を向けた。見送りをしてくれるお母様に手を振って、お父様に助けられながら馬車に乗り込んだ。

そこからお城まではあっという間だった。ラロック伯爵邸は、王城から案外近いのだと初めて知った。

招待されている王宮の近くまでは馬車で乗り入れることが出来るらしい。今回の招待はお茶会なのだそうだ。

本来なら謁見なのでは? と思っていたけれど、それでは幼い私に負担だろうというので、陛下が気遣ってくださったのだとお父様から教えてもらった。


 ”国王陛下は幼い子供に気遣いされる優しい方なのかしら?”

なんて思いたかったのは、多分直接陛下と顔を合わせることに緊張していたせいだと思う。


 §


 王城の一般に公開されている庭園を避け、城の奥へと向かう道を馬車は進んでいった。

やがて馬車はこじんまりとした門を潜ってしばらく進むと停まった。今まで見えていた王城は、まるで某夢の国のお城のような尖塔が並ぶ作りで、お城らしいお城だわなんて思って眺めていたけど、馬車を下りて見えるお城はその尖塔がない作りで、シンプルな、けれど白い壁が綺麗で、王城らしい華やかな印象を与えながらもどこか楚々とした印象だった。

お父様に抱きかかえられるようにして馬車から下りたのだけれど、すぐ近くにいた衛兵や侍女らしい人達から視線を感じて、そちらへと顔を向けると、皆からにこにこと笑顔が向けられていた。だから、私は自身が子供だというのを思い切り利用してみた。


「御機嫌よう」


 一言言葉を発して、ニコニコと笑顔を見せて手を振っただけなのだけれど。

すると、こちらを見ていた人達が更ににこやかになったり、口元を押さえる人がいたり、目を逸らしたり、なんだか反応が様々あって、「んー?」となったのは仕方ないと思う。

つい、私が子供だから微笑ましいって見てくれただけだと思ったのだけれど、どうやら違ったらしい、と気付くにはあやめさんの記憶は大きな意味を持ったかもしれない。

 そんな私に気付くことなく、お父様に抱き上げられたまま私は陛下の待つ場所までドナドナされていくことになった。

うん、まさにドナドナだったな、と後で思うことになるのだけれど、この時の私はただひたすら緊張をしていたのだろう。


 §


 そんなアイリスとラロック伯爵親子を見送った衛兵達は、見目麗しい親子の微笑ましい様子に、眼福と言わんばかりにガン見していたことを誰もが否定出来なかったらしい。


「さっきの親子って、ラロック伯爵とその御令嬢だよな? 凄い綺麗な人達で直視したら目が死にそうだった…のは、俺の気のせいか?」

「いや、俺もだから気のせいじゃない。でもしっかり見たけどな」

「まぁそれは俺もだけど」


なんていう会話がなされていたとかいないとか。また別の所では…。


「何あのお嬢様! 天使? 天使なの!?」

「もう…私耐え切れなくて顔逸らしちゃったわよ! 本当可愛らしいかった…。また来てくださらないかしら? 私達にお手振りしてくださって、挨拶もしてくださるなんて…生きててよかった、って思えたわ!!」

「本当ね。…第二王子殿下と同じくらいの年齢ではない? もしかしたら婚約者候補かもしれないわよ?」

「それは素敵ね! それなら、またお顔を見れる機会があるわよね?」

「第二王子殿下の婚約者になってくださらないかしら…。私の天使様…また来てください」


 こーんな会話があった…かもしれない。

この話の一つ前、幕間のことですが…編集作業中に「傍点」の処理をして保存していたのに

気付いたら処理がされなかったのか、こちらが何かやらかしたのか変なことになってました

『 |た≪・≫ 』となるところが、『 た・ 』ってなってて愕然としたのです

慌てて修正して、なんとかなって良かったです…

次からはちゃんと確認して、保存しようと心に誓いました

また次回もよろしくお願いします

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