表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スノーローズ  作者: ありや


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/4

精霊様の加護 1

ああ、そっか…もう終わりなのかなぁ。

せっかく、お父さんもお母さんも…お姉ちゃんや…お義兄さんも、甥っ子君も…みんな揃って来てくれたのになぁ。


もうこの病室の天井、涙が出てるわけでもないのに、ぼやけてきてる。

苦しい…なぁ。もう…考えるのも、難し……い、な。

……もっと…生きたかった、よ。




まるで水の中にいるようだった。




真っ白な病室の天井が、ぼやけてきて、目を開けてるのに見えなくなってきて、お見舞いに来てくれた家族の声がぼんやりと遠くから聞こえていて、それも徐々に聞こえなくなっていった。


そっか、こんな風にゆったりと、穏やかに眠りにつけるなら、もう…いいや。

未練なんて山ほどあるけど、もう…疲れちゃったし。

体がないほうが、もう楽になれるんだし、いいよ。

もうこのまま、あたしも水みたいに溶けてなくなっちゃえば、いい。

うん、それでいいや。


みんな、ありがとね。…バイバイ。










「……! ……!!」


なんだろ、遠くから声がす、る?


「…イ……! …リス!」


さっきより声が、近付いてきてる…かな?


「アイリス!! アイリス!!」


うーん、うるさいよ? ちょっと耳元で怒鳴ってない? うるさいってば!!


(もう、耳が壊れる!!)


あれ? あたし死にかけてなかったっけ? 今声が出…てないけど口は動いた気が…、ちょっと待って? え? どういうことですか?

というか、今どういう状況? 知ってるような知らないような人が周りを取り囲んでますけど? 怖いんですけど? ん? 待って? ……あたし、目が…開いて…る?


「アイリス! あぁアイリス!! 良かった、もう目を覚まさないのかと心配していたのよ! もう十日も目を覚まさないのだもの…」


 あたしの体に縋る様にして涙を堪えながらそう言ったのは、どこの美少女だよ! と突っ込みたくなるほどのすごーく綺麗な人だった…えっと? 何? 《お母様》って単語が響いてくる。え? どういうこと?

アッシュグレイの髪を緩く巻き、それを後ろに一つにまとめているせいか、顔だけ見てたら美少女なのに、落ち着いた印象を与えるみたいで実際の年齢が顔のせいで幼く見えるのか、と思えた。紫がかった水色の瞳はまるで宝石みたいでとても綺麗で、ずっと見ていたいなって思える。そんな色を陶器のような白い肌の上に乗せて、あたしの頬を何の苦労もしてないのだろう綺麗な指で撫でていく。うん、この人があたしのお母様? どういうことですか?(棒読み)


「アイリス、良かった…私達の天使が戻ってきてくれた…」


 年齢不詳の美少女母の肩を抱いて、わたしの手を握っているのが……どこのイケメンだー! ビックリしたよ! めちゃくちゃ驚きますやん! シナモンベージュの緩い癖のある髪を伸ばし、後ろに一つにまとめてる。深い緑の瞳は見てるこちらの目にも優しそうで、…優しそう…というか、視線がすでに優しかった。この人は…もしかして父か? と考えていると《お父様》という単語が響いた。やっぱりそうなんだ。

この父は、美少女母の隣にいても全く見劣りしない美丈夫だった。年齢は三十歳前後かな…、と予想している。もしかしたらまだ二十代かもしれない。えー? もしかしてあたしが病院に入院してた頃と似たような年だったら泣くよ?


「「アイリス」」


 小さな子供の声がして、父と母(きっと多分そう)の二人がいる左側とは反対の右側に視線を向けると、兄弟らしい男の子二人がこちらを見ていた。目をウルウルとさせる様は幼い顔立ちにあまりに似合い過ぎて、わたしは頭を撫でてあげたくなった。それは父とは別の手を二人の男の子に握られていて無理だったけど。

…もしかして、この二人もアイリスと呼ばれた子の家族かな? 《お兄様》という単語が降ってきた。お兄様…二人共兄ってことか。そっか…二人の髪は、美少女母譲りの色で背の高い年上の兄が父と同じ深い緑色の瞳、背の低い年下の兄が母と同じ紫がかった水色の瞳。二人共顔立ちはどちらかと言えば父に似ている気がする。でも、母の混ざり具合で可愛さが違ってるように見えた。うん、これは眼福だ。私はもしかして天国にきて、アイリスって名前をもらって別の家族と一緒に暮らす、なーんていう夢でも見てるのかな?


「良かった、アイリス。僕が少しでも目を逸らさずにいれば、湖に落ちることなんてなかったのに! ごめんね、ごめんねアイリス!」


 あ。涙がボロボロ零れてる。泣き出したのは下の兄…かな? うん? 湖に…落ち、え? アイリスって子は湖に落ちたの? えーっと…状況が追い付かないんだけど、要するに湖に落ちて、どうかなって…今意識が戻ったところってことかな? うん、きっとそう。

 で……アイリスっていう子が、きっとこの一家の一員なんだっていうのは確かな気はするんだけど、私は一体どういう状況なのかな? まさか…これ、夢じゃないってことはない、よね? 現実ではなくて夢よね?


 眼福一家に囲まれたアイリスという子供…(多分女の子)は、まさかあたしってことは…ない、よね? よね?


誰でもいいから、現状を教えてー!!

詳細プリーズ!!!


*たくさんある作品の中から、見つけていただいてお読みいただきありがとうございます*


初めまして。

一応以前に投稿していた頃もありました。忘れられてると思うので、初めましてです。

色々ありましたが、落ち着いてきたのでまたペンを…ではなくキーボードの前に座ってます。

久しぶり過ぎるので文章の書き方がかなり怪しいですが、のんびりやっていけたらな、と思います。


しばらくはストックもあるのですが、数日で枯渇予定です。

毎日更新は無理なので、週に2~3回を目標にがんばります。

気長にお付き合いいただければと思います。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ