イレイザー 2nd
海の上に現れたもの、それは巨人だった。
「え? 何あれ? 巨人?」
それは突然現れた。
遠い方向に巨大な人?が。
あ、これって消せるんじゃない?
スマホで写真を撮り、消しゴムでゴシゴシと…
やっぱり消えた!
あれは一体何だったんだ?
この消しゴム、すごいな。
「えっ? あのゴーレムが消えたんだけど、どうなったの?」
私、礼須 日菜。
ゴーレムを召喚したんだけど、何故か消えてしまった。
これでは困る。いや、私が困るんじゃなくて、人々が大変なことになってしまうから。
あいつらの基地を見付けたので、そこを襲撃するつもりだったのに。
あいつら、人間を滅ぼそうとしてるんだから。
あいつらを殲滅するためにゴーレムを召喚したのにそれが消失してしまった。
何が起こったの?
あいつらの名は、「コレクター」。
けど、何を集めてるのかは全くの不明。でも、人が消えているのは事実。
街の全員が消えてしまったということがあったから。
そこに、「collector」と犯行声明があったので。
それは置いといて、今は何故こんなことになったのかを調べないと。
私はその原因を探した。
見て探すしかない。
私は視力がものすごく良い。
測ったことないけど、とんでもない視力だと思う。
って、これ元々私の力じゃないんだけど。
人からもらった、いや、奪ったものなんだけど。
私は視力以外にも能力がある。
この能力、もらったらその人の能力は消えてしまう。
そして、見てみた。
もしかして、あれかな?
ゴーレムがいた方向を見て驚いたりしてるから、あの人だな。
じゃあ、行ってみようか。
「よし、ダッシュ!」
私は前傾姿勢を取って、左足で立つ。
そして、右足を蹴った。
数秒の後、その人の横に行った。
その人、男はとても驚いていた。
だって、突然人が現れたわけだから。
「な、何だぁぁぁぁっ!!!!」
「あなたね、あのゴーレムを消したのは!」
「えっ、何でそれ知ってるんだ? って、ゴーレムだったのか、アレ?」
「あれは私が召喚したの、それも大事な用事で」
「何だそれは!?」
「そんなことあなたに言っても理解出来ないだろうから」
「・・・・・・」
「で、あなた、どうやってあれを消したの?」
「えっ? なんでそれをあんたに言わないといけないんだ!」
「私は人々を守るために活動してるの、だからお願い」
「なんだよ、それは」
「詳しいことを言っても誰も信じないから言えないけど、大事なことなの」
「なんかあんたも色々と大変そうだな、じゃあ…」
なんだろう?
「それは、この消しゴムだ」
「け、消しゴム〜?!」
「そう、あの怪物の写真を取って、それを擦って消したんだ」
な、何? 理解出来ないんだけど、そんなこと出来るの?
「じゃあ、あそこにある朽ちた船を消してみるから」
そう言って彼はその船を写真に撮り、消しゴムでゴシゴシと。
私の見てる前で、そのボロボロの船が消えていった。
「えっ! ちょ、ちょっと何!?」
そんな能力がその消しゴムにあるの? って、これ誰が作ったの?
まあ、そんなこと考えても仕方がない。
「ちょっとその消しゴム貸してくれない?」
「あ、ああ、いいけど」
私はその消しゴムを握りしめた。
といっても、軽くだけど。
そうしたら、パアッと一瞬光った。
「じゃあ、返すね」
と言い、消しゴムを返した。
「それじゃあね!」
と言い、その場を後にした。
「一体何だったんだ、あいつ?」
俺はさっきのことを思い出した。
けど、この消しゴムがある限り、俺は最強だし!
だがこの後、俺は失望することになる。
「あの消しゴムの力、受け継いでるかな?」
私はちょっと試してみることにした。
いや、でも私は消しゴムなんかになれないし、どうしよう?
う〜ん、もしかして、考えただけで消えないかな?
やってみよう。
まずは、あそこにあるちょっと大きめの石で。
まずはイメージっと。
う〜ん、何も浮かんでこないな、だったらしっかり見てみよう。
えっ? 石は5個くらいあるけど、その前に赤い四角いカーソルが出てきた。
何か、ミサイルのロックオンみたいだけど。
じゃあ、
「デリート!」
そうしたら、何と石は消えてしまった。
何コレェ〜!
また新しい能力を得た。
今回は誰にも迷惑をかけてない… って、あの人困ってるだろうな〜、ゴメンね。
他にも試してみようかな。
え〜と、何があるかな? 数が多いものがいいんだけど。
う〜ん、あの木の葉っぱはどうかな?
いやいやいや、あれが急に無くなったらまずいでしょ。
あっ、でも、別に消さなきゃいいじゃない。
とりあえず、葉っぱを見てみる。
あれっ?
カーソルが出てこない。
え〜、どうすればいいの?
もう、ヤケクソだ!
「ロックオン!!」
な、何ぃ〜!!!!!
現れたよ、カーソルが。
まるでミサイルのロックオンのように。
まあ今日はこれでいいかと、帰ることにした。
そして、今日。
コレクターの動きは無いみたい。
安心していた。が、それは間違いだった。
何事も無いような感じだったけど、それは既に起きていた。
何と、近くのマンションが丸ごと消えていたのだ。
人だけじゃなく、建物も消えるの〜!?
よく見たら、基礎があった所に穴が空いている。
これ、マンションを引っこ抜いたの? いや、これはマンションが消失したのでは?
これって、私が得た力と同じでは?
じゃあ、あの消しゴムを作ったのは…
まあそんなことはどうでもいい。
今はこれをどうにかしなくちゃ。
けど、コレクターのやつらはもういない。
どうしようかと思ってたら、何か空の方から音が聞こえた。
何? と空を見上げた。
えっ!? これ、昔戦争であったという大空襲ってやつ?
空には大群の何か。
あれ、何?
それは、黒い球体だった。
上空にあるから大きさは全く分からない。
一体何をするつもり?
すると、一つの球体からビームのようなものが出てきた。
そして、それは通行人に当たった。
すると、その人は消えてしまった。
あ、これはヤバい!
私は、新たに得た能力を使ってみることにした。
これ、自衛隊では対処出来ないくらいの数だ。
って、あれ、他の人に見えてるのかな?
街中は全然騒がしくなくて、日常が進んでいるから。
やっぱりこれ、私だけ見えてるのか。
じゃあやっぱりこれらを消すしかないな。
よし!
私は空全体を見渡せる所に移動した。
そして、
「ロックオン!」
上空にある、おびただしい数の球体がロックオンされた。
周囲を見渡して何度も、ロックオンした。
上空は、ものすごい数のロックオンだ。
そして、
「デリート!!」
上空に浮いていた球体は全て消えた!
だけど、何かしっくりこない。
あれは、私に消させるために出現したのでは?
そう思えて仕方なかった。
ということは、私がこの能力を得たということを予測していたのかも。
となると、私はただ踊らされていただけ?
コレクターの本当の目的は何?
そして、動きがあった。
ある男が私を訪ねてきた。
その男を見て日菜は驚いた。
「あ、あなたは…」
と言ったが、そこで押し黙った。
「あなたは、ち、違うよね?」
「ああそうだ あの男は私の兄だ」
何か抱いていた違和感、やはりそうだった。
「礼須 日菜、今日はあなたにお願いをしにやってきた」
「あ、あなたがコレクターなの!?」
「ああ、そうだ やっとあなたを見つけることが出来た」
「私の名前を知ってるって、何が目的なの?」
「今まで消した人、物はあるところに飛ばしている だから、時がくれば戻す」
「そうだったの 安心したけど、あの事件は私をおびき寄せるためにやったとか?」
「その通りだ」
「私のことを何故知ったの?」
「私の情報収集能力の力だ」
「あの消しゴムは何?」
「あれは私が与えたものだ」
「何でそれをお兄さんに拾わせたの?」
「兄は興味本位で色々やってくれるだろうと思ったからだ」
それに私が食い付いたんだ。そしてあんなことになったのか。
「それで、あなたの目的は何?」
「今、この地球に危機が迫っている」
「何!? 何が起きるの!?」
「それは、隕石だ」
「けど、隕石はNASAとかが発見してるんじゃないの?」
「ああ、だがその隕石は絶対に発見されないのだ」
「どういうこと!?」
「その隕石は、次元を超えてやってくるのだ」
「はあっ!?」
「君だって、別次元からゴーレムを呼び寄せたではないか」
ちょっと、納得。
「それで、私にどうしてほしいの? その隕石を消すとか」
男は静かに頷いた。
「それで、落ちてくる場所は分かるの?」
「いや、全く分からない だが、その直前にあなたをそこに送り届ける」
「あなたにそんな能力があるの? あなたのお兄さんはそんな感じ全然無かったけど」
「兄は、私のことは知らない 何故なら私は兄のクローンなのだから」
話が難しくなってきたな。
「あなたは何故作られたの?」
「実は、50年前から隕石は予知されていたんだ それを阻止するための計画で私は生まれた」
「お兄さんは、何故選ばれたの?」
「それは分からない だが、あの消しゴムは普通の人では使えないんだ」
「お兄さんも何か能力があるの?」
「ああ、本人は気付いてないだろうが、兄はとんでもない力を持っている」
「えっ!? なにそれ?」
「あの男…兄は、イメージしたことを実現出来るんだ」
「イメージ?」
「ああ、実はあの消しゴムはただの消しゴムなんだ」
「ええっ!!!?」
「だから、消したいものをイメージしただけで消したんだ」
「じゃあなんで私がその能力を持つことになったの?」
「それはあなたが彼と同じパワーを持っているからだ」
「あっ!!」
確かに、あの消しゴムのパワーを受け継いだだけなら、ロックオン、デリートなんて言葉が出てくるわけないし。
「分かってくれたか」
「ええ、でも何で私がそんな能力を持っていると知ったの?」
「前にも言ったが、それは私の情報収集能力の力だ」
「あなたも何でそんなに力を持ってるの? あ、あなたは作られた人間だったわね」
「・・・・・」
「そうだ、あなたは消した人は無事って言ったわよね でも、私が消したものはどこに行ったの?」
「それは別の所だ」
「それはどういうこと?」
「私が消した、いや、隠したものは地球上のどこかだ だが、時が来れば元に戻る そして、あなたが消したものは異次元に行く」
「何で私にそんな能力が?」
「それは、兄の能力を受け継いだからだ」
う〜ん、納得は出来ないけどそうなんだろうな。
「じゃあ、消した隕石はまた異次元に戻すから安全ということね」
「ああ、では、隕石が来るまで待機といこうではないか」
「それはいつ来るの?」
「それは異次元からだから分からない」
「じゃあどうするの?」
「まずは私の所に来てくれ そこならいつでも出現場所に行けるのだから」
車に乗せられて、そこに着いた。
そこはまるで、秘密基地みたいな所だった。
前に私が見付けた所だけど、まだ行ったことはなかった。
思い出した。
「あなたが消したという人たちはどうなったの?」
「それは既に戻しているから問題無い」
それは安心した。
ここ、衣食住は問題無いけど、ものすごく退屈。
けど、食事が美味しいのだけは満足してる。
そして、1ヶ月が過ぎた。
あの人の名前、今も知らないんだけど、言ってくれてないからね。
ここは何人かのスタッフがパソコンの前で何やら操作していた。
突然、けたたましくアラートが鳴った。
「来たか!」
スタッフはパソコンを操作し、場所を言った。
「北海道、帯広上空5000メートルです!」
私はこのアラートを聞いてすぐ駆け付けていた。
「よし、行くぞ!」
「はいっ!」
私は彼のそばまで行った。
そして、何やら機械があってハンドルを握るように言われた。
「座標確認、飛ばします!」
その途端、私は飛ばされた。
上を見たら、隕石群が!
巨大な隕石一つだと思っていたら、大量の隕石郡だった。
これは私でなければ対処出来ないな。
そして、
「ロックオン!」
ものすごい数の隕石がロックオンされていく。
「デリート!」
その隕石群は消えた。
それで安心した。と思ったら違った。
もう無くなったと思っていた隕石群がまた現れたではないか。
これ、地上兵器だと絶対に撃ち落とすのは不可能だろう。
だって、あの数は…
これ、数秒後には落ちてくるのではないかという状況。私は再び、
「ロックオン!」
隕石は消えたかに思えた。だが、やはり…
また次が来た! 一体いつまで続くのよ!
それが無限に続くのではないかと思った。
そうなったら、よし!
「スキャン!」
イメージしたら見えた。
まだ出現していない隕石群が全部見えた。
その先は全然見えないけど、認識はしてる。
もしこの隕石群が来たら地球だけではなく太陽系が消滅してしまうのでは?
「フル ロックオン!」
ものすごい数のカーソルが現れた。
「デリート!!!」
それらは全て消滅した。
もう現れる気配は無い。
「終わった〜」
私は、膝がガクンとなって座り込んだ。
そこに胸に付けていた無線から連絡が来た。
「ありがとう、これで地球は救われた、本当に感謝している」
私は何も言えずにいた。
「君には悪いが、そちらからこちらに呼び寄せることは出来ない」
「えぇ〜! じゃあ私はどうすれば!?」
「数時間後にヘリが向かうから、我慢して待っててくれないか?」
「はい…」
私はそう言うしかなかった。
力を使ったから、お腹空いたな〜
こちらに来る時に、小さい鞄を渡されていたんだけど、それを開けて見た。
うっ、パンと牛乳しかない。
まあお腹空いてるからこれでいいや。
私は、もふっとかぶりついた。
あんぱん美味しい〜
って、私はデカじゃないっつの!
牛乳を飲んだんだけど、これ美味しい〜!
何々? ん? 北海道産か〜
このあんぱんも美味しいけど、え〜と、和三盆使用だって。
何か、美味しいもの用意してくれてたんだな〜
夢中で食べてたら、ヘリの音が聞こえてきた。
これで帰れる〜
そして帰ってきた。
歓迎されると期待してたら違った。
誰も何も言ってこない。
あれ? 地球を救ったというのに。
あの男がやってきた。
「やってくれたな」
「あ〜、苦労したけど何とかなったよ」
「あの時、お前は死ぬはずだったのに、何故生きてる!」
「えっ!?」
「あれでお前と地球は消滅するはずだったのに!」
やっぱりコレクターは悪の組織だったか。
「それで私をどうする気?」
「あなたを呼び戻した理由、それは、あなたを消すこと」
身構える、私。
「しかし残念だが、あなたを殺すことは不可能だ」
「じゃあ、どうするの?」
「私達は存在意義を失った、私等を消してくれないか?」
「そ、そんなこと出来ません!」
「お願いだ」
ここで私は思い付いた。
人間を消すのではなく、記憶を消せばいいのでは?
うん、私はイメージの力があるから何とか出来るかも。
やってみよう!
ここには5人いるな。
まずは、それぞれの頭の中を覗くとするか。
これ、脳を消したらいけないから記憶だけをっと。
これ、思考を見ようとしたらガス状のものが見えた。
よし、「ロックオン!」
「デリート」
小声で言った。
そのガス状のものが消えていった。
「えっ? ここ何処?」
「俺、ここで何してるんだ?」
という声が聞こえてきた。
終わったな。ということで、そこを出た。
ここは以前私がいた場所と近い所。
これで日常に戻れる。
だけど、これからどうしよう?
また新たな能力を持ってしまったんだよね〜
この能力で何しようか?
あんなことがあって、もうどうでもよくなった。
あの隕石で私は殺されかけたし。
でも気持ちを切り替えないと!
そして歩き出した。
そういえば、コレクターから前金もらってたんだよね。
それで買い物しよっと。
街を歩いていると、見知った顔を見掛けた。
向こうが気付いて、近づいて声をかけてきた。
「お前、俺の消しゴムに何かしたのか!?」
これは事実を言っても理解出来ないだろうな。
この能力、返せないかな?
「いえ、何もしてないけど、消しゴム見せてくれる?」
手渡してもらった瞬間、ちょっと力を込めた。
見えないように。
消しゴムがかすかに光ったように見えた。
消しゴムを色々眺めた後、それを返した。
「ごめんなさい、私には分からないわ」
黙って受け取った男。
その後、すぐ分かれた。
これで私の能力は消えたわけだが、ちょっと試してみよう。
大きな木があったので、これで試してみることにした。
消えるわけないしね。
「ロックオン」
「な、何〜!?」
ロックオンはされたんだけど、周りの木が全部ロックオンされた!
あの木だけしか意識を向けてないのに。
どういうこと?
この能力、無くなったんじゃなかったの?
むしろパワーアップしたような?
う〜ん、どうしよう。
そうだ、彼が能力を取り戻したか確認しておかねば。
もし私みたいにパワーアップでもしてたら危険だし。
その日のうちに見付けた。
「ねえ、あなた、能力が戻ったんじゃないの?」
「ああ、何かすげーんだわ、消しゴム使わなくても手で触れただけで消えるんだから」
あの消しゴムは、ただの消しゴムだったいうことだけど、あの時私に消しゴムを渡したことによって何かあったのでは? と疑念
を持ってしまって能力が使えなくなったのかな?
「あなたそれ、悪いことに使ってないでしょうね!」
「いやいやいや、俺、絶対にそんなことしないし」
「分かったわ、約束よ、けどこれを破ったら私があなたを消すから」
そう言って私は手に持っていた小石を消した。
これは、あらかじめロックオンしていたものを、小声でデリートしたわけで。
「だ、だ、だ、だから絶対にしないって!」
「じゃあね、また出会うことがあれば何処かで」
そう言って別れた。
あ〜、これで全てのことが終わったかな。
じゃあ、これでバイバイ〜
やっと続編が出来ました。
脳腫瘍は、未だ完治せず。
ですが、復帰はしました。
素人なので、おかしい所がたくさんありますが、ご容赦を。
第一話では、主人公が出てきませんでした。
二話にやっと登場させました。
実は、これは突如思い付いたことで予定外でした。
日菜とレスフィナとの関係性は考えていません。
本当に思い付きで出てきたので。
説明不足が多々ありますが、読んでみてください。
気付いたのですが、これは自分の作品なので何を書いてもいいんだと。
終わります。