6.中二病、事案
【中二病あるある】
エロに対して、フッ、くだらん…とか思っちゃうけど一応思春期なので興味はある。
アリス。天使。14歳。全裸。
ルナ。ドラゴン。14歳。全裸。
そんな二人に挟まれながら眠る私。29歳。大人。
「あまりにも事案!!!」
「きゃっ?!」
「ふがっ?!」
「ふあぁ…どうかされましたか?」
「まだ夜中じゃない…」
「うん!夜だよ!私も眠い!なればこそ訊こうなんで二人して私のベッドで寝るの?!」
「寝るときは服を着ない主義で…。それにこれならいつでもクローナ様がお求めになられたとき応えられるかと…♡」
ポッ、じゃないんだよなぁ。
「服って邪魔じゃない?そうだクロ様も脱いじゃいなよー♡寒かったらあたしがギュッてしてあげるから♡」
ドラゴンなのに小悪魔みたいなこと言ってるよ。
「ご安心くださいクローナ様。このアリス、クローナ様のために純潔を守りつつ、クローナ様の美技に耐えられるよう一人鍛えてきた所存です」
「あんま一人とか言わない方が……美技?!!」
跡○様でもいたんか?!
「こちらの聖典に書き記してありました」
「そっ!そのポ○カで虹色に塗りたくったノートは…罪の章?!!嘘でしょそんなのまであんの?!!」
クローナの強化形態がアホほど細かく書いてあるやつ!!
「七つの大罪、邪淫形態についてこうあります。我が美技の前に堕ちた者は数知れず、と」
し、思春期の私〜〜〜〜!!
この頭ピンク野郎が!!
なーにが数知れずじゃアラサーにしてまだ処女の分際でぇ!!
「ちょ、ちょっと見せて…」
「はい!」
おぉ…読めば読むほどキッツいなぁ…
クローナ=ダークネスノヴァ、邪淫形態。
相手は孕む。
きっっっしょ!!!
現役の男子中学生でも書かないよこんなの!!
「えーいいなぁ〜♡クロ様〜あたしも孕ませて〜♡」
「そ、そういうのは、あの、あれだから!あれ!」
「ルナ、クローナ様は今力のほとんどを封じられておられるのです」
「なんで?クローナ様に封印術かけられるくらいの術者がいるとか?」
「世界を超越した御方に何者も勝るわけはないでしょう。おそらくクローナ様は自らに枷を与えることで、自らをお鍛えになられているのです」
「じゃああたしはそんなクロ様に負けたってこと?うぅ〜♡クロ様超カッコいい〜♡好きすぎ〜♡絶対クロ様の子ども産む〜♡」
慕ってくれるのは嬉しいんですけどね。
事案だけは勘弁してください!!
「そういえば、ルナも持ってるの?」
「聖典?うんっ!ほら!」
おーアイテムボックス的な…ぐっ、ああああ!
りゅっ、竜の章〜!!
真っ赤なノートに穴開けて鎖ジャラジャラさせたほんとにキツいやつ!!
「あたしクロ様のね〜、兇竜形態が好きなんだ〜♡」
黒の章で調子づいて、竜の章では自分の血には竜の因子が眠っている…とかいう設定にしたんだっけ。
血が暴走すると全長1000メートルの超巨大ドラゴンに変身して、我を忘れて怒りのままに世界を滅ぼすとかいう…
ゴ○ラの10倍はインフレしすぎでしょ。
「この怒りをエネルギーに変えて太陽を吐き出す必殺技、陽喰竜破があたし一番好き!」
「そ、そう…」
今の私に吐けるのはせいぜいゲロか弱音くらいのもんだぞ。
そういえばゲロぶっかけちゃった女王様は、今頃何してんだろ。
――――――――
「まだ…まだ見つからないのですか!!」
人類統一国家の女王フィルレティシア=ミストルテインは、苛立ったように兵を叱咤した。
「早く、早く見つけなければ…!もしも、もしもあの方が本物のクローナ様だというなら…あの方こそが人類の希望!!あぁ…私はなんと愚かなことを…!探すのです!!手段は問いません!!全勢力を以てあの方を迎えなさい!!」
手にはかつて粗相を受けたドレス、そして100均のおもちゃの宝石で装飾された聖典。
「そして…クローナ様を我が妃にぃ!!♡」
フィルレティシア=ミストルテイン。14歳。
彼女もまた中二病の王に魅入られし一人であることを、当人は知る由もない。