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3.中二病、ヤバい

 【中二病あるある】

 難しい漢字を書ける。

 薔薇も憂鬱も書けるけど使い所はない。

 漆黒の剣王(ピュアブラック)、クローナ=ダークネスノヴァ。

 若かりし時分、誰しもが考えた最強の自分。

 クローナはまさに私にとってのそれだ。

 こと細かにノートに設定を書き連ね、試行錯誤を繰り返し、カッコいいと美しいを結集させた、完ぺきで究極の魔王。

 真っ黒なコートとカラコン、眼帯、シルバーアクセサリーで武装した私が無敵だったのは、高校に上がる前までの話なわけだけど。

 中二病卒業。もとい完治。

 それに伴って数々の中二病グッズは捨てた。

 捨てたはずだった。


「なんでだ…」

「さあっ、つきましたクローナ様!ここがダークパレス!星の降る地!クローナ様の叡智を基に作り上げた、クローナ様の居城です!」


 お城でっか!

 全体的に黒っ!

 

「頑張って作りました!」

「作った?!」

「頑張りました!」


 いや、そんなレベルじゃなくない?

 ていうかなんかお城の周り穴だらけなんだけど。

 爆心地の跡か?




 めっちゃくちゃに豪華なお城の中に招待されて、お茶でも出してくれるんですかね〜って思ったら。


「クローナ=ダークネスノヴァ様が使徒、アリス=ベルセリオン。改めてクローナ様との邂逅に感謝いたします」


 玉座に座らされて、目の前に跪かれたんだが。


「あーえっと、アリスさん?」

「敬称なんて滅相もございません!!尊き御身に私のような下等な虫けらの名前を呼ばせるなど!!」

「それだと話進まないから…ね?」

「で、では、せめてアリスと」

「うん。アリスは」

「はにゃぁぁぁぁん!♡クローナ様が私の名前をぉ!♡」


 話進まん!!




「で、なんだっけな。そうだ、なんでアリスはあれを知ってるの?」

「あれとは?」

「だからその、あれ…漆黒の剣王(ピュアブラック)のこと…」

「それはこれに書かれておりました!」


 うおーすごいアイテムボックス的なやつだ。


「って、そ、それはァ?!!」

「はい!我が天使族に代々伝わる、異世界より来たれり聖典です!」

「うわぁぁぁぁ!!」


 真っ黒なA4ノートに修正ペンでデコったやつ!!

 黒の章とか名前付けた私の設定ノート!!

 ドクロと剣いっぱい書いてあるダッッッセ!!

 痛たたたた!!何この疼痛!!

 胸が掻き毟られるんですけど!!


「ク、クローナ様?」

「だ、大丈夫…続けて…」

「は、はい。ある日異世界より舞い降りしこの聖典には、クローナ様の勇姿、御力、世界を改変するほどの叡智が記載されておりました。これを見たとき私は感銘を受けました。異世界の王は、我々などより遥かに優れた力をお持ちなのだと」

「違う違う優れてるの妄想だけだから!それ中学生が考えたしょうもないおれTUEEEだから!」


 昔捨てた中二ノートが何故か異世界に来てて、それを書いた私が異世界に召喚された…

 どんな偶然だよ…


「いつかきっとお姿を目に出来ると、僭越ながら白亜の剣王(ピュアホワイト)を名乗り信じ続けてきました。さあ、クローナ様!今こそ世界を滅ぼし全てをクローナ様の手に!」

「あっこの子話聞かない系だ!!」


 滅ぼしたくないよぉ。

 平和が一番。

 あと昔の設定はもう忘れたい…

 ここは素直に、漆黒の剣王(ピュアブラック)はただの妄想なんだってことをはっきりと言おう。

 私はただの無力なアラサー社畜なのだと。


「あ、あの、アリス?じつは」

「少々お待ちを」

「ほぇ?」

「招かれざる客のようです」


 お客さんとな?




「ほえぇ…」


 お客さん…

 いや、隕石だなこれ。


「この辺りはよく星が降るんです」

「ワォ☆ロマンチック☆じゃないよね?!ヤバくない?!」

「ご安心を。城はクローナ様の叡智の結晶、黒天閃鋼フルブラックオリハルコン製。聖典を基に完成させました」


 なんだっけそれ…

 ああ、オリハルコンやミスリルなんかの伝説の金属をすんごい微細な割合で混ぜた合金だ。


「いや、それにしてもじゃない?!あんなデカい隕石ぶつかったらひとたまりも!」

「クローナ様はユニークなのですね」


 ユニーク?なんで?


「クローナ様といえば星さえも引き寄せる引力の持ち主ではありませんか。強すぎる存在感はときとして星さえも我に従う…このアリス、何度この文言に胸を打たれたことか」


 昔の私キッツ!!


「しかしまっすぐクローナ様に向かってくるというのは、たかが星の分際で不敬ですね」


 アリスは腰の剣を抜い……抜いたよね?

 速すぎて見えなかったし、気付いたら月くらい大きい隕石が消えたけど。

 え、斬ったの?砂になっちゃったよ?


「クローナ様、申し訳ございません」

「なんで跪くの?!助かったよ?!」

「許可無くクローナ様の流派、混沌の十三剣(カオスサーティーン)を模倣しておきながら、あの程度の星を砂に変えることしか出来ず…。もしもクローナ様なら砂さえも残さず星を斬り裂いたというのに」


 出来ませんけど?!

 ていうか混沌の十三剣(カオスサーティーン)

 人を斬り、魔を斬り、三界を斬りても尚、至ることの無い永遠の剣…だっけ。

 キッッッツ…留まることを知らないじゃん私…


「クローナ様」


 アリスは跪いたまま潤んだ目で私を見上げた。


「私は未来永劫あなた様に忠誠を誓います。この命も、剣も、身体も、全て…全てをあなた様に捧げます」


 ほっぺ赤っ!

 目ハート!

 お付き合い経験ゼロの私でもわかる…これは、ガチ恋ってやつだ。

 ……あれ?

 もしかしてこの子が好きなのってクローナで、もし私がただの29歳社畜だってバレたら…殺されちゃったりする?


「愛しておりますクローナ様♡」

「ハ、ハハ…」


 ヤバいんじゃないこれぇ!!!


 何の突拍子もなく、思いついたのをそのまま書いただけのため、更新は完全に不定期です。

 あ、更新されてる読もうくらいの感覚でお付き合いいただければm(__)m

 いいね、ブックマーク、感想、レビューしていただければ幸いです!


 以降数話、一時間おきに投稿されます!




 もう一つの異世界百合もどうかよろしくお願いいたします!

 

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[良い点] めっっちゃおもろいんだがw [一言] クローナ様頑張って!
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