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2.中二病、抱かれる

 【中二病あるある】

 数字の0が大好き。

 組織に属するとナンバー0になりがち。

 いや、うん。

 吐いた私が悪いよ?

 それを美人さんにかけちゃったのもゴメンなさい。

 でもね?


「ギロチンにかけられるのは違うと思うのぉぉぉ!!」


 ここは異世界で、私は魔族と戦うために召喚された勇者だったんだってさ。

 粗相(ゲロ)する前は。

 異世界気分味わう前に、到着して5分で死罪?!

 なにこれRTA?!


「お願いします助けてください女王様!!もうお酒やめるし足も舐めるし土下座でもなんでもしますからぁ!!」

「黙りなさいこの無礼者!!よくも私にあんな辱めを…!!スンスン…くっさ!!酸っぱい!!しかも歳がいった無能女!!」

「それに関しては私のせいじゃないでしょお!!自分が中学生みたいな見た目してるからってぇ!!」


 アラサー。社畜。恋人無し。

 おまけに異世界に呼ばれてゲロぶっかけて死ぬ。

 これが私の人生の幕引きか…

 ハハハ…ろくな人生じゃない。

 ろくな人間じゃない。

 ならせめて、最期くらいはめいっぱいカッコつけても誰も文句は言わないよね。


「首を刎ねなさい!!」

「ククク」

「…?なにを笑って…」

「ハーッハッハッ!こんな剃刀の刃で我の首を落とそうというのか!不敬!滑稽!無能に劣る愚か者め!」

「な、なにを!」

「喝采せよ!!天よ平伏せ!地よ仰げ!我こそは開闢と終焉を告げし全能の王!怯え、慄き、震えるがいい!!偉大なる我が名に恐怖を――――――――」


 風が一陣。

 その場を吹き荒れた。

 瞑った目を開くと、そこには天使みたいな翼を生やした真っ白な髪の女の子が。


「なっ、あ、あれは!」

「問います」


 女の子はギロチン台の私に声をかけた。

 貴方が私のマスターか、的な?


「あなたは…あなた様は…」

「?」

漆黒の剣王(ピュアブラック)、クローナ=ダークネスノヴァ様…ですか?」

「ふゴフッ?!!な、なんでそれを…」


 血吐くかと思った…

 なんでこの子が封印されたはずの()()()()を…


「ああ、やっぱり…!このときを、このときを心よりお待ちしておりました!」


 女の子はギロチンを破壊すると、私を軽々とお姫様だっこした。


「え?え?!」

「さあ参りましょう!」

「どこへ?!あ、あの?!」

「待ちなさいアリス=ベルセリオン!!白亜の剣王(ピュアホワイト)!!」


 ピュピュピュ、ピュアホワイト?!

 何それ知らない!!

 ふたりは何ピュア?!!

 

「クローナ様は私のものです。絶対に誰にも渡しません」


 宙に浮いたかと思えば、私たちはその場から消えた。

 瞬間移動?

 すごいね。すごいよ。

 でもお願い説明して!


「なんで私の黒歴史(ちゅうにびょう)設定が異世界にーーーー?!!」

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