18.中二病、新星
【中二病あるある】
ロボットは機能を搭載すればするほどカッコいい。
気付いたときには外だった。
ベアトリクスが魔法を使ったらしい。
「何が……」
呆けながら振り返ると、そこには有るはずのものが無かった。
ダークパレス……隕石の衝突にも耐える城が跡形も。
地面まで深くエグれて底が見えない。
「そんな……」
ショックを受けたのは私よりみんなだ。
「クロ様の城が……」
「クー様の叡智も……」
そっか……私の中二の遺物ごと消えたのか。
あの恥ずかしい黒歴史が!
やったー!
きれいサッパリ!
なんだか心の呪縛が解き放たれた気分!
清々しい!
……はずなのに。
「……………………」
アリスもみんなも、なんでそんな寂しい顔……
「……誰だ。誰が母様の……」
ギリッと強く歯を食い縛るゼロ。
すると、空から声が降ってきた。
「ごきげんよう、醜穢なる魔族の塵屑共。そして、親愛なる我が君、クローナ様♡」
拡声機?
っていうかこの声……まさか……
「私を処刑しようとした女王様?!!」
「あなたの伴侶! フィルレティシア=ミストルテイン! お迎えに上がりました!」
空気を震わせる声と共に彼女は姿を現した。
空に浮かぶ巨大な白い獅子と共に。
「あ、あれは……まさか……獅龍機神?!!」
星間機動兵器、神星十二宮機、獅龍機神。
星の力を宿し、宇宙を駆け抜ける十二の神の一柱。
クローナ=ダークネスノヴァが宇宙を支配した証。
星の章に書かれた落書きのロボット……なんであれが実在して……!
「人類の科学の結晶……クローナ様の御力を実現させたことは称賛に値します。しかし……その力でこともあろうにクローナ様を害そうとは。恥を知りなさい人の王!!」
アリスめちゃくちゃ怒ってる……
ていうか、なんで女王様はここまで……
ま、まさかまだ粗相したことを根に持って私を処しに?!
「クロ様の大切なもの壊しといて、ただで帰れると思わないことね」
「たった一人でボクたちと戦争する気?」
「身の程を知りなさい」
「……ああ、もしかして何か囀ってました? 羽虫の声って小さくて。まったくクローナ様が不憫で仕方ありません。こんな掃き溜めで糞山の蠅共に囲まれていたなんて。ですがもう心配ありません。共に魔族を殲滅し、人類を未来永劫平和と幸福に導きましょう。私はあなた様を心より愛することを誓います」
空気がピリついた一瞬、アスカとゼロが同時に跳んだ。
「滅ぼされるべきはそなたでござる! 神威絶刀流!!」
「無に還るがいい! 虚無ノ闇!!」
二人の強さは知ってる。
だけど私は言い様の無い不安に襲われた。
もしもあれが私が考えたとおりのものなら……
「アスカ! ゼロ! 下がって!!」
「クローナ様にたかるなクソ共。超神星核撃」
獅龍機神の口に光が集束し、一気に爆発が拡散した。
光は無情に街を焼き尽くし、私たちを吹き飛ばした。
私はアリスたちに守られて無事だったけど……みんなはボロボロになって横たわっていた。
「みんな……みんな!!」
ズシン
獅龍機神が私の前に重い脚を下ろした。
「ゴミ掃除は完了しました。さぁ、参りましょう。クローナ様♡」
いよいよ物語も最終章。
最後までお付き合いくださいますようにm(_ _)m