16.中二病、就任する
【中二病あるある】
中二病でも甘いものは好き
魔王……もといゼロが私の娘(という名の配下)になったその一時間後には、魔王国にはその情報が伝達。
翌日には城下街への移住希望者が後を絶たず、銀狼団や鬼人族の皆さんたちが毎日街作りを頑張ってくれてる。
一週間もすれば街はとんでもない規模になって、ゼロ公認で首都まで移転する始末。
するとどうなるか。
「新魔王クローナ様、万歳!!」
「クローナ様万歳!!」
「万歳!!」
不肖この私。
魔王就任しました。
「ハハ、ハハハ……○にたぁぁぁぁぁい!!!」
荷が重い!
ものすごく!
何万人っていう人に崇められて、称えられてプレッシャーが半端ない!
ただの中二病なのにぃ……
「クロ様なら当然っ」
「最初から魔王に相応しいのはクローナ様だけでございます」
「天晴でござる」
みんな持ち上げるのやめてぇ……
つらいぃ……
「もういっそ逃げるか……いや無理だ」
「クローナ様、おやつの用意が出来ました」
どこにいてもすぐに誰かしら来るからね!
「本日はクローナ様の大好物のプリンですよ」
「ありがとうアリス……」
餌付けされてるのもあるけどさ。
「母様」
「ゼロ。どうかした?」
「あのね、吾輩絵本読んでほしい」
「いっくらでも読んであげるよ!」
あとゼロがすっごい可愛いんだよ……
もうなんていうか、アラサーにして母性爆発。
騙して嘘ついて罪悪感には押し潰されそうだけど、それでもまあ可愛い。
「ときにクローナ様、どうやらダークパレスの北方数キロ先よりドラゴンの群れが飛来してきているようなのですが、如何いたしましょう」
「ドラゴンって、ルナの知り合い?」
「いえ、知性を持たない野良のドラゴンでしょう」
「放っておけばどうなる?」
「一頭がこの城ほどのサイズですので、クローナ様や私たちを除いてはそのまま喰われることになるかと」
そういうこと淡々と言うの怖い!
「す、すぐに追い払おう! すぐ!」
「かしこまりました。ただちに肉塊にいたします」
それはそれで怖い!!
「ドラゴンの肉は美味ですので、クローナ様のお食事に」
「あ、うん……」
「不愉快だ」
「ん? ゼロ?」
「母様との時間を邪魔する愚物など、この世にあってなるものか」
うん?
窓を開けて、手を伸ばして?
「時ノ剣」
なんかカッコいい技ブッパしたね?
それ何?
「時空と因果を超越し断絶する魔王の剣です。斬られたものは世界から存在が痕跡ごと消えます」
相手は死ぬ的な?
エターナルフォー○ブリザード?
人懐っこくて忘れそうだったけど、この子本当に魔王なんだよね……
機嫌を損ねたら私本当に死んじゃう……
ていうかいつまでバレずにいられるんだろ……
出来ることなら平和でいたいもんだ。
「其奴は偽物。我こそが本物のクローナ=ダークネスノヴァである」
…………おぉう?!!