表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/21

15.中二病、魔王襲来

 【中二病あるある】

 理由どうこう関係無しに魔王という存在が大好き


「クローナ様」

「ほへ?」


 それはある日。

 いろんなバタバタが一段落し、のんびり朝ごはんを食べていた時のこと。


「魔王がクローナ様への謁見を願っております」

「ぶっほェ?!!」


 びっくりしすぎてウインナー口から飛び出た。


「ななな、なんで?!」

「畏れ多くも直接話すと言って聞かず。如何いたしましょう。クローナ様が面倒なのであれば、我々が魔王ごとこの国を滅ぼして参りますが」

「すぐ会おう!! すぐ!!」


 選択肢が会うか滅びるかなら……うん、会うよ。

 けど魔王かぁ……怖いんだろうなぁ。

 話すことってなんだろ……もしかして自分の国で大きい顔してる私に宣戦布告とか……

 それともどちらが本当の王か決めようって決闘の申し込み?

 私なんて一瞬で消し炭だよ?

 ヤバい緊張と恐怖で身体の震えが……


「クロ様ってばヤる気なのかっこい〜♡」

「へ?! ヤ、ヤる気?!」

朝餉(あさげ)の邪魔をした魔王をどうしてやろうかと、怒りに震えてらっしゃるのですね。さすがです」


 今にも泡吹きそうですけど?!

 なんなら食べた目玉焼きが口からターンオーバーしそうですけど?!


「大丈夫だよクローナ」

「スーリャ……」

「もし魔王が無礼を働いたら、クローナより先にボクたちが暴れるから」

「そうでござるな」

「何も心配いりませんわぁ」


 何これ前門の虎後門の狼?!!

 のんびりした一日が急に四面楚歌になったんだけど?!


「クローナ様、魔王を連れて参りました」

「あ、は、はい」


 アリスに誘われるまま姿を見せたのは、アリスと同じ背丈の可愛らしい女の子。

 真っ黒なコートがとても良く似合って痛たたたた!

 私の中二心を無為に刺激する!

 銀髪にオッドアイがすっごい!

 私が考えた最強の私みたいな子来た!


「貴様がクローナ=ダークネスノヴァか。吾輩(わがはい)はひぃん?!!」

「クローナ様に向かってなんですその口の利き方は」

「敬語使えない口なんて燃えちゃってもいいよね?」

「ていうかなんでクローナと同じ目線で喋ってるの?」

「跪くってことを知らないのでしょうか?」

「足が曲がらないなら斬って捨てるでござるが」

「魔王の足はクローナ様の剣の良い素材になりそうですわぁ」


 みんな揃って殺気ヤバいぃぃぃ!

 魔王樣涙目で子猫みたいになってるから!

 

「し、鎮まれ皆の者」

「はっ! 失礼いたしました!」


 軍隊?

 膝をつくスピードが音速。


「私の配下が失礼しまし……した。お初にお目にかかる魔王よ。私は」

「コホン……クローナ=ダークネスノヴァ、樣」

「良い。言葉を崩すことを許そう」


 場の雰囲気で偉そうにしてゴメンなさい!!


吾輩(わがはい)はゼロ=アルテオラ。魔王と呼ばれている者だ。一つ訊ねたいことがあってここに来た。この聖典に覚えはあるだろうか」


 ん?

 なんだっけあれ。

 クリアファイル?

 中にはルーズリーフが一枚入ってるだけっぽいけど。


「これは王の章。これによると、この世に存在する全ての王は母なるクローナ=ダークネスノヴァの血を引いた子であるとされている」

「王の章……」


 あーそういえば最後らへんはネタが尽きかけて、ほんとにその場の勢いだけで適当なこと書いてた気がする。

 中二病回復の兆しが見えてるなぁ。

 いいことだ、うんうん。

 …………うん?

 全ての王は母なる私の血を引いた子?

 

吾輩(わがはい)はこの世に生を受けたときから天涯孤独。故に孤高の王であった。しかし……ここに書かれていることが事実であるならば」

「事実であるならば……え?」

「貴様は……否、貴方様は……吾輩(わがはい)の母様であるということなのだろうか」

「母……うぇぇぇぇぇ?!!」

「母様ぁぁぁ!」

「いやっ、ちょっ?! 待っ、母様?! 何がどうなってる今?!」


 魔王が泣きながら抱きついて、私がお母さんで、んんん?!!


「ずっと……ずっとお会いしたかった……!! ずっと寂しかった……!!」

「あの……えっと……」

「ずっとこうして……母様のぬくもりに抱かれたかった……!!」


 言いづらーーーーい!!

 いや言えるかぁ!!

 本当は母様じゃないよって?!

 それ適当に書いた落書きワロタって?!

 こんないたいけな子に?!

 普通に無力がバレるより罪重いんじゃない?!!

 い、いや、こんな超展開……きっとみんなは信じるわけ……


「そんな過去があったのね……」

「なんと感動的な再会でござる……」

「私としたことが目頭が熱く……」


 みんなぁぁぁぁ!!

 クローナのことになると途端にポンのコツ!!

 どうする……どうするどうするどうする!!


「あ、あの……ゼロ、ちゃん? あのね……」

「母様……ずっと大好きでいていい?」

「これからは一緒にいようね!!!」


 ふぇぇぇぇん!

 私のバカぁぁぁ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] きゃわたん 母によしよしされてね...いい子いい子されてね..可愛いね 樣と様の違い 初めて意識した
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ