12.中二病、仕られる
【中二病あるある】
自分で考えた流派がある。
だいたい神速で防御不可で一撃必殺。
歩行術もある。
ベアトリクスが結界を張って、銀狼団の皆さんが街づくりを開始した。
何でも元は大工や土木工事を生業にしてたらしくて、一週間もすれば城の周りの一角がキレイに整地されて、数軒の家が建った。
「ほぇーすっご」
「クローナ様の庇護下にある街にしては見窄らしすぎますね。今すぐ破壊して作り直させましょう」
鬼じゃんこの天使。
「いやいや、充分だから。第一住む人もいないんだから、そんなに拘らなくても」
「クロ様〜!」
ドラゴンの姿になったルナが飛んできた。
「これあーげる〜!」
って私たちの前にそれを落としたんだけど…
「あげるって…これ…」
「鬼人族じゃん」
20人…全員気絶してる。
「ルナ、どうしたんですかこれ」
「ちょっと散歩してたら絡まれたから、ウザいなって全員ボコボコにした。んで、クロ様の生け贄にしようかなって持ってきたのよ。クロ様〜褒めて褒めて〜♡」
「よしよし…いや待って生け贄って言った?!」
「クロ様って兇竜形態のとき、心臓を糧に力を取り戻すって聖典に書いてあったから。食べるかなーって」
「食べないよ?!!」
それ違うの!
ハツが好物ってだけで設定足したの!
何でもないから拾わないで!
「心臓は別にしても、鬼人族の角は精力剤として高値で取引される代物です。子飼いにして財源にするのがよろしいかと」
「君大概悪魔だねベアトリクス!!」
「クローナの領地で生意気してるのが悪いんだよ」
「スーリャも悪ノリしないの!もー…もしもーし。大丈夫ですかー?」
「う、ここは…」
「あ、気が付いた」
ほんとみんな暴力的なんだから…
「無事みたいでよかった」
「に、人間?」
「何故人間がこんなところに…」
「ほらルナ!ちゃんと謝る!」
「だってそいつらが先にケンカ売ってきたんだもん!あたし悪くない!」
「ルナ!」
「うっ…」
中学生女子にしょんぼりさせるアラサー女キツい…
ゴメンよぉ…こんな元中二病が叱って…
「ボコボコにしてゴメンなさい…」
「あの緋天紅焔竜姫に頭を下げさせただと…?!」
「あの人間はいったい…」
「傾聴しなさい鬼人族の一団よ。我らが至高の主よりあなたたちに宣告があります。死して贄となるか、生きて糧となるか。二者択一、好きな方を選びなさい」
「アリス?!!」
なんでそんな物騒な話になってるの?!
「アリス…ま、まさか殺戮暴虐天使のアリス=ベルセリオンか?!」
「待て、あそこにいるアラクネはスーリャ=アレグリア?!死の裁縫師が何故こんなところに?!」
「それだけじゃない…あの悪魔…!既知と未知を統べる天上天下の魔女のベアトリクス=ベアトリーチェだ!」
みんな二つ名カッコ良っ!
そんで有名人すぎ!
「国など一夜もかからず滅ぼせるほどの戦力…それを人間が束ねるとは…」
「あ、あなた様はいったい…」
「えっ、と…ク、クローナ=ダークネスノヴァと言います…」
ぐっはァ!
フルネーム名乗るのきちぃ!
本名じゃないけど!
「ク、クローナ=ダークネスノヴァ様?!!!」
「ひぃっ?!!」
「指先一つで天変地異を起こし、神さえも一呑みにするという…あなた様があの!」
「我ら鬼人族に伝わる聖典の真の持ち主!」
ん?
聖典?
「鬼人族にも聖典が、おわっ!」
思わず前のめりになったのが幸いした。
ついでに小石に足を引っ掛けて体勢を崩したのも。
何が起きたのか気付いたのは、私の頭の上を冷たい何かが過ぎ去った後だった。
スパン――――――――と空間が斬れて、その先の空が斬れた。
「なっ、ななな?!」
「今のを避けるでござるか。さすがは漆黒の剣王でござるな」
「誰だぁ!」
ん?
和服に…刀?
刀…まさか…
「神威絶刀流、アスカ=カグラザカ。一手指南を仕る」
それはもう牙突よろしくの体勢で。
神威絶刀流…剣の章に記されたクローナの技を体得した鬼っ娘、アスカ=カグラザカは刀を構えた。
私の聖典……厄介事起こしすぎ!!
ゴメン中二病で!!!
一読いただきありがとうございますm(__)m
ネタが思いつき次第更新するので、ぼちぼちお付き合いいただければ幸いです!