10.中二病、好かれる
【中二病あるある】
最強の自分の設定は、そのとき流行ってるマンガ・アニメのニュアンスを取り入れる。
お城の暮らしに不自由は無い。
たまに隕石が降ってくる以外は。
最初はぬぁぁぁ!と悲鳴を上げてた私でも、さすがに慣れるというか。
「あ、またか」
くらいには関心が薄くなった。
けど厄介なのは変わらない。
先日なんやかんやあって(勝手に)配下になった銀狼団の皆さんが、
「クローナ様の偉大さを知らしめるため、ここに街を作るべきかと思います」
なんてことを言って開拓を始めたんだけどさ。
隕石が降ってくる度にアリスやルナが対処に駆り出されるっていうのは、なんだか申し訳ない気持ちになる。
「どうにかならないかな?」
「力封印されてても星を引き寄せちゃうクロ様カッコいい〜♡でも、これくらいならクロ様が結界張っちゃえばいいんじゃない?」
張れないんだよ何故なら一般人だから!!
「クローナ様のための城を作ることだけを考え、街という点には着目出来ませんでした…。不甲斐ないこの私に、どうか罰を与えくださいませ…」
「いや、ほんといいから。ありがとうアリス。それより隕石をどうにかしよう」
「クローナ様がお慈悲を…このアリス感激に胸が爆ぜそうです!♡しかし、クローナ様のお手を煩わせることはありません。そういうことであれば、適任の者を呼びましょう」
「どんなジャンルでも適任者いるのすごいね」
で、アリスはその人を連れてくるって行っちゃった。
「で、あんたはいつまで城にいんのよ」
「はぁ?ボクはクー様…ゴホン!!クローナがあんまりみすぼらしい服を着るのも可哀想だから、ボクが専属の服飾師になって素晴らしい服を手掛けてあげるんだよ」
「そうなの?ありがとうスーリャ!」
ずっとスーツを普段着にしてるのちょっと窮屈だったんだよね。
「すごく嬉しい!楽しみにしてるね!」
「はわわわわわ!♡ボッ、ボクの目の前でダサい服着てるのが許せないだけなんだからねっ!♡」
「病的にクロ様のこと好きじゃないこいつ」
「うっ、うるさいな!だいたい君こそなんでここにいるのさ!」
「あたしはクロ様の嫁だもの。当ッ然、クロ様と何時も離れることをしないのよ」
「ドヤるな糞トカゲ!絞め殺すよ!」
「やれるもんならやってみなさいよキモクモ女!滅ぼすわよ!」
「ボクの方がクローナを幸せに出来る!」
「あたしの方がクロ様を愛してる!」
「「ぐぬぬぬぬぬ!」」
なんでケンカしてるの?
賑やかなのはいいんじゃないかな。
ポンっとこんなお城を私のものです、って差し出されておいて言えることじゃないけど。