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9.中二病、戦う

 【中二病あるある】

 闇の属性が大好き。

 風、雷も好き。

「ギャハハハ!こんなところに城なんざ建てやがってよぉ!誰に断ってんだぁ?あぁ?」


 絵に書いたようなチンピラだな…

 犬?狼?の耳を生やしたお姉さんたち。

 獣人的なあれかな。


「おれたちは泣く子も黙る盗賊、銀狼団(シルバーファング)!命が惜しけりゃ金出しなぁ!」

「喚くな犬ッコロ。食い散らかすわよ」


 隣に立ってるだけなのに失禁しそうなんだけど。


「我が王の城に土足で踏み込み、あまつさえ下卑た声を振り撒くその所業…万死に価します」


 あ、ちょっと漏れた…

 バレてないよね…


「私たちが斬り捨てても構いませんが、我が王はお怒りです。あなた方を直接下すまで怒りは収まらぬことでしょう」

「……はい?!!」

「キャハハハ。光栄に思うのね。クロ様に直接殺されるなんて」

「あの、アリス?!ルナ?!」

「人間の雌がおれたちを?ギャハハハ!そんなおばさんに何が出来るってんだ?」

「誰がおばさんだ!はっ倒すぞ!」

「おもしれぇ。八つ裂きにしてやるよ!!」

「ひいいい!嘘ですゴメンなさいぃ!!」


 せめて、せめて私にも武器貸して!

 剣相手に丸腰はヤバい……ってうわぁぁぁ速ぁぁぁい!!

 無理無理無理死ぬーーーー!!


「嫌ぁぁぁ……って、あれ?」

「なっ?!おれの剣を、素手で?!!」

「素手で剣防いでる?!!なんで?!!」


 全然痛くない!

 どうなってんのこれ!




 スーリャの腕は魔族一。

 魔力を練った彼女の糸は、斬れず、燃えず、柔軟であらゆる衝撃を吸収する。

 だが、感情によって魔力の質は変化。

 その防御性たるや伝説に数えられる鎧など足元にも及ばないほどに高まったことを、中二病の王(クローナ)は、そしてスーリャ本人でさえ知らない。

 

 


「さすがです、クローナ様ぁ!♡」

「クロ様ー!♡」

「クー様ぁ…!♡」

「てめぇ、いったい…!!」

「ひいぃ私にも何がなんだかぁ!!」


 まさか常夜の外套って本物の伝説の防具だったり!

 ……するわけないか。


「クローナ様、これを!」

「ぶ、武器!じゃないこれ!ゴッドエクスカリバーだ!」


 おもちゃで本物の剣に立ち向かえってか!


「本気ってわけか?おもしれぇ!うぉらぁ!!」


 恐怖はときとして本来の力を引き出す。

 まあ、私から引き出されるのは秘められたとんでもない魔力とかじゃなくて、最強で無敵だった自分なんだけど。


「ぬぁぁぁぁ!!唸れゴッドエクスカリバー!!聖光一閃(シャイニングフォース)!!」


 これね、柄のボタン押すと光って音が鳴るの。

 そしたら銀狼団(シルバーファング)のお姉さんは、


「なにっ?!!」


 一瞬怯んだもんだから、こっちの剣の方が先に当たった。

 おもちゃだからダメージなんて無いし、時間が止まったみたいな気まずい時間が流れた。


「き、斬られてねぇ…」


 今からでも土下座すれば何とかならないかな…って涙目で震えてると。


「クローナ様が斬ったのはあなたの身体ではありません。あなたの悪しき心。欲望に取り憑かれた穢れし闇そのものです」


 アリスのすんごい曲解が始まった。


「悪しき、心だと?」

「ゴッドエクスカリバーはあらゆるものを斬り裂く神剣。そして聖光一閃(シャイニングフォース)の聖なる輝きにより、あなたは浄化されたのです」

「そういや、心なしか気分が軽いような。そうか…おれはいつからか奪うことだけを生き甲斐に…力に溺れてやがったのか」


 なんか懺悔みたいなの始まったけど、それ気のせいだよ?

 たぶんだけど元から善人だったんだと思うよ?


「今からでも遅くはありません。クローナ様の庇護の下、その生涯をクローナ様のために賭すことで、罪を悔い改めるのです」

「クローナ様…」

「いや、ほんとそんな大層なあれじゃないんで。だから、あの…跪くのやめませんか?!!」

「おれたち…いえ、私たち銀狼団(シルバーファング)は、あなた様の永遠の従僕であることを誓います。この牙と爪、存分にお使いください」

「あの、えっと…は、はい」


 中二病だったから争いを収められたし、数十人の獣人さんたちが配下になったよ。

 そんなことって、あるんだねぇ。

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