表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/54

第46話 絶命の勇者

王国の広場。


未だ鋼鉄巨人アスターと、ロミタン操るシヴァデュナート・ロボの死闘が繰り広げられていた。


そして、ここではもう一つの死闘が始まろうとしている。


ノヴェトは、労働王アヴァロワーズに片足を掴まれたまま、宙吊りに状態。

地表に何度も打ち付けられ、すでに瀕死だ。


「くっ……、そぉ……」


「ああ、そうでしたね。申し訳ありません。ノヴェト様の現在のアバターは、低レベルでしたね。もう少し手加減するべきでしたか」


「うう……。余計な……、お世話だ……」


「ノヴェトさん!」


カゲチヨは叫んで走り出そうとする。

だが、アキラがそれを制止する。


「ダメよ、カゲチヨ! 今行ったって……」


「……でも!」


アヴァロワーズは少しだけ悲しい表情を浮かべる。


「不死身の勇者様も、今やただのアバター。異能力を封じられていては、ただのニートでしかありません。……個人的には、非常に残念です。貴方とは、もう少し分かり合えると思っていたのですが……」


「俺は……、働かねぇ……、からな……?」


「では、貴方には祝福を授けましょう。神槍『労働ギヌスの槍』で。……とは言ったものの、最早どこにあるやら……」


アヴァロワーズは、瓦礫の山となった広場を見つめる。

一体、この中のどこにあるのか。

これからそれを探すと思うと、やる前からため息が出る。


「とりあえずは、神殿までご足労願えますでしょうか。そこで我ら魔神族一行が、勇者様がいらっしゃるのを、首を長くしてお待ちしておりますので。……なあに簡単です。ここで死ねば良いのです。ただそれだけのこと」


アヴァロワーズは叫ぶ。


「……アスター‼︎ ここへ‼︎」


すると、向こうでロボとやり合っていた鋼鉄巨人アスター。

彼女は、身を翻してこちらへ走ってくる。


「さぁ、この者を……、打ち滅ぼしなさいっ‼︎ ……さぁ、ノヴェト様。神殿までの短い旅ですが……、お楽しみ下さい」


アヴァロワーズは、走ってくるアスターの目前に、ノヴェトを投げつける。

ノヴェトは地表に投げ出され、力なく転がった。


「くう……っ!」


激しい地響きと共に、みるみる近付いてくる巨人アスター。

彼女は両手剣を肩に担ぎ、それをノヴェトの真上に撃ち下ろす。


ノヴェトは死を覚悟した。


……と言ってもゲーム内である以上、蘇生はできる。

ただ神殿に送られるだけ。

しかし、そこでは魔神族が待ち構えているだろう。

拘束されるのは最早免れない。


だが……。


ノヴェトの目の前に、カゲチヨがいた。


「……ノヴェトさん‼︎ 今、助けます‼︎」


カゲチヨは、必死にノヴェトの身体を抱き抱え逃げようとする。


「わっ⁉︎ バカ、なんでオマエ⁉︎ さっさと逃げろ‼︎」


「ダメなんです‼︎ ノヴェトさんがいないと、誰ももう勝てないんです‼︎ ノヴェトさんが必要なんです‼︎」


だが、カゲチヨは犬少年アバターで、しかもクラスは僧侶。

ノヴェトを担いでいける力はない。

カゲチヨは涙目だった。

おそらく恐怖を押し殺しているのだろう。


ノヴェトは叫ぶ。


「クッ、ッソがああああ‼︎」


その怒りは、カゲチヨに向けたわけではない。

……自分の不甲斐なさに腹が立ったのだ。


「カゲチヨ‼︎ オマエ‼︎ 俺なんて‼︎ 庇ってんじゃぁ……、ねぇ‼︎」


ノヴェトは、残る力でカゲチヨを突き飛ばす。

だが、アスターの一撃の射程内であることに変わりはない。

……ノヴェトは、最後の力を振りしぼり、構えた。


「『双撃転身』からの……、『熊撃(ゆうげき)鉄扉弾(てっぴだん)』っ‼︎」


ノヴェトは『拳闘士(ゴッドハンド)』のスキルを繰り出し、カゲチヨを攻撃した。

それは、背中を相手に打ち付ける技。

拳闘士の中で、最も激しくノックバックさせるスキルだ。


「ぐふっ⁉︎ ……うわああ‼︎ ノヴェトさああああん‼︎」


吹き飛ばされるカゲチヨ。


アキラは、カゲチヨの後ろ側へ回り込むようにダッシュする。

そして、カゲチヨの身体をガッチリと受け止めた。


「ちょっと何やってんのよ、ノヴェト‼︎ カゲチヨを攻撃するなんて‼︎」


ノヴェトは叫ぶ。


「アキラぁ‼︎ カゲチヨのこと、頼んだぞぉ‼︎」


「は⁉︎」


「カゲチヨぉ‼︎ あとは頼ん…………」


その瞬間。アスターの両手剣は撃ち込まれてしまう。

それは地面へとめり込んだ。

……ノヴェトは、そのまま両手剣に潰されてしまった。


カゲチヨは泣き叫ぶ。そして駆け出す。


「ノヴェトさん‼︎ ノヴェトさああん‼︎ そんなああ‼︎ …………あ、ああ‼︎ まだ、まだです‼︎ ボ、ボクが蘇生すれば‼︎」


だが、アヴァロワーズがそれを許さない。

カゲチヨの前に立ちはだかった。


「どこへ行くおつもりですか、カゲチヨ様? ボス戦の最中ですよ?」


「あ、あ……。ボ、ボク……。ど、退いて下さい‼︎」


「泣いているのですか……? ただ神殿送りになっただけですよ? しばしの別れです、ご心配なく。あなた方も、すぐに神殿に送って差し上げますので」


アヴァロワーズは片手剣を振り上げ、真っ直ぐカゲチヨに撃ち下ろした。


だが、その一撃はアキラの大盾で防がれた。


金属同士の接触で、激しく火花が散った。

……しかし、アキラのレベルでは、ギリギリだった。

盾で防ぎながらも、膝を落としてしまう。


……それでもアキラは耐えた。


「何言ってんのよ、アイツ。カゲチヨを頼む、……って、そんなの言われなくたって守るわよ! だって私はおねーちゃんで……、勇者なんだからね‼︎」





「……こ、ここは?」


ノヴェトはふと気付くと、真っ暗な闇の中にいた。


結局、カゲチヨによる蘇生は間に合わず、そのまま死亡し神殿送りとなった。

本来、神殿送りとなった際は、すぐさま神殿で目が覚める仕様だ。

ところが、今は怪しげな空間の中。


ノヴェトは、煙のような浮遊感の中にいた。


「死んだ……、んだよな? ロード中……、とか? でも……、ここ、知ってるような……?」


しかし、一向に神殿への転送が始まる気配がない。

ゆらゆらふわふわとする感覚のままだ。

そうなると、余計なことを考えてしまう。

考えれば考えるほどに、ネガティブな考えが頭をよぎる。


「……クソ、神殿着いたら、速攻で捕縛されるんだろうな……。なんとか逃げらんねぇかな……? 無理か……。クソぉ……、もう無理なのか。……クソ、働きたくねぇな。もうブラックなの嫌だ……。ホワイトでも嫌だけど。働きたくねぇ……」


ノヴェトが、そうモヤモヤと思考を巡らせていると、声が聴こえてきた。

それは囁くような声だ。


「……氏、……氏」


「んん? 誰だ?」


「勇者氏、勇者氏……」


「……ま、まさか、まっちゃん⁉︎ この声、まっちゃんか⁉︎ でも、なんでまっちゃんが⁇」


だが、真っ暗闇の中、何も見えない。

声だけが頭の中に響いてくる。


「勇者氏……、死んじゃったでござるか……。もうちょっと頑張れたでござろうに。そういうところでござるよ?」


「ええ……。この状況でダメ出しかい……。って、まさかこれ……、走馬灯⁉︎ 俺ホントに死んだのか⁉︎ えええ⁉︎ 嘘ぉーーん⁉︎」


「おお、勇者氏‼︎ ……死んでしまうとは不甲斐ない! そなたにもう一度機会を与えよう‼︎」


「なんか……、どっかで聞いたフレーズだな……」


「さぁ、勇者氏。もう一度復活し、そなたの手で魔王を倒すのでござる‼︎」


「いや、魔王はアンタだろうが……」


「魔王……、的なやつでも可」


「まぁ、いいけど。俺は一応、このまま復活できるのね? ホントに死んでないよね? 大丈夫なやつだよね?」


「死んだ、……とも言えるし。死んでない、……とは言えない」


「……それ、どっちも死んでるじゃん……。もおお! なんでもいいから、普通に復活させてくれ。まぁどっちにしろ、神殿で捕まるんだろうけど。……いやまぁ、もうどうでもいいか……」


「ふふふ……、勇者氏。甘いでござるよ。甘々でござる。……まずはこの姿を見るでござるよ」


目の前に光が集まる。

その光は集まっていき、人の形になった。


……それは女神アシュノメーだった。


「なっ⁉︎」


「騙していて悪かったでござるね。これが拙者の本当の姿でござるよ……。こんなフリフリエロエロで、おっぱいも大きくて本当に申し訳ないでござる……」


「えええ⁉︎」


目の前の女神は、心なしかニヤニヤしている。


「……いやもう嘘じゃん。絶対嘘じゃん。さすがの俺も騙されないわ。だって、少し前、普通に一緒に戦ったじゃん」


「ノリ悪いでござるなぁ……」


「ノリっていうか、まっちゃんは今どこにいるのよ。なんでこんなことになってんのよ?」


「まぁまぁ、それは置いておいて……。では、これならどうでござる?」


目の前の女神アシュノメーが、金髪に変わった。

いつものノヴェトの姿だ。


「それ、俺の……?」


「そう、そして……」


金髪の女神の身体が、大仰な重装鎧に包まれていく。


「うおっ⁉︎ それ、もしかして俺の強い方のアバターのやつ⁉︎ しかも、ラスボス最終決戦用の最強装備じゃん‼︎ どういうこと⁉︎」


「ふふふ……、主人公が復活する時は、パワーアップするのがセオリーでござるよ。……そして更に、勇者氏の異能力『鈍感力』をアンロック‼︎ さぁ……、勇者氏、これでもどうにもならないでござるか?」


「……」


「あと一つ、忠告でござる。魔神(マシン)族と戦う時は、必ず相手の方が多い状態で戦うのでござるよ。……でないと、レベル連動システムで絶対に負けてしまうでござるから……」


「え? 今、さらっとすごい重要なこと言った⁉︎」


「さぁ、勇者氏、もう一度言うでござるよ。おお勇者氏‼︎ ……死んでしまうとは不甲斐ない‼︎ そなたにもう一度機会を与えよう‼︎」


光に包まれるノヴェト。

転送が始まる。


「……ところで、まっちゃんはどこにいるんだよ」


「ふふふ……、探してみるでござるよ。拙者はいつでも勇者氏を見ているでござるから……」


「それもう、ストーカーか故人じゃん……。っていうか、見てないで一緒に戦ってよ……」


「ふふふ……」


「いや、笑ってないでさ……」


そして、ノヴェトは神殿へ辿り着いた。





蘇生神殿。


現地での蘇生に失敗してプレイヤーが死亡した際、肉体が再生される施設だ。

個室となっており、扉は施錠されている。

この扉は、中からは自由に開けられるが、外からは開かない仕組みだ。


ノヴェトは、とある一室で蘇生した。


「……着いたのか? なんだったんだ、さっきのは。夢を見ていたのか? ……ウッ⁉︎ 眩しい……」


煌々と照らす照明に目が慣れない。

うっすらと目を開けていく。


だが突然、ノヴェトは四方八方から刺股(さすまた)を浴びせられる。


「ウワッ⁉︎」


そこはすでに魔神族に占拠されていた。

個室の仕様も変えられているのだろう。

室内には、ぎゅうぎゅうに魔神族が集まっていた。


「大人しくするのです‼︎」


「わ、分かった‼︎ 大人しくする……、痛ェだろうが‼︎ ……ってあれ? 全然痛くない……?」


ノヴェトは刺股の合間から、自身の身体を確認する。


「この身体……、猫じゃねぇ。ダークエルフでも……。この装備……。さっきのは、やっぱ夢じゃなかったのか……。」


ノヴェトは、拳にグッと力を込めて確かめる。

そこには、今まで無かった装備があった。


大盾『堅牢なる軍神の盾』──────

異端審問官(インクイジター)』のみ装備可能な、人の大きさほどの巨大な盾だ。

物理ダメージのカット率が極めて高い。

その代わりに、かなり無茶なステータスを要求される代物である。

そして、取得条件が厳しいため、所持している者は殆どいない。


「……ハッ」


「なんだ⁉︎ 何がおかしい⁉︎」


「悪いね。やっぱ大人しくするのやめたわ」


「は?」


ノヴェトは、力任せに大盾を振り回した。

巻き込まれた魔神族は、壁際に吹き飛ばされる。


「さぁて、こっから反撃といきますか!」


ノヴェトは部屋を出ると、再び魔神族に取り囲まれた。


「うわ……、これはキリねぇぞ。……でも負ける気がしねぇけどな‼︎」


盾で押し付けるように吹き飛ばし、腰の片手剣を抜いて斬り付ける。


「ハハ‼︎ どうした‼︎ 魔神族様ってのはこんなもんか⁉︎」


ノヴェトが調子に乗り始めた頃、急に頭の中で声が聞こえてきた。


「あ、ヤベ。間違ったでござる」


「は?」


ノヴェトは何のことか全く分からない。

だが、次の瞬間……。


「なっ⁉︎」


急にノヴェトの転送が始まり、どこかへ飛ばされてしまった。


そして、一瞬で全く違う場所に出現する。

意味が分からず戸惑うノヴェト。


「……は? ……え? ……ここは?」


爆発音が聞こえた。


ノヴェトは、その方向へ向けて、咄嗟に盾を構える。

凄まじい衝撃と爆発音。

どうやら、砲撃のようなものをガードしたようだ。


「怖っ⁉︎ え⁉︎ ちょ、なに⁉︎ なんなの⁉︎」


状況が全く理解できないノヴェトは、辺りを見回す。


「ノヴェトさん‼︎」


「カ、カゲチヨ⁉︎ ……じゃ、じゃあ戻ってきたのか、あの場所に⁉︎」


そこは、死ぬ前に戦っていた王都の広場近く。

目の前にはもちろん、労働王アヴァロワーズがいた。





狼狽えるアヴァロワーズ。


「ノヴェト様⁉︎ な、なぜ⁉︎ 死んだはず⁉︎ そして、その姿は⁉︎」


その場には、カゲチヨ・アキラ・スアリ、ロザリー・リゼット・シュノリン。

そして、リンリン・レンザート・ロレッタの全員がいた。

ノヴェトが死んでから、他にはまだ誰も死んでいないようだ。


アヴァロワーズは叫ぶ。


「……クッ⁉︎ アスターやってしまいなさい‼︎」


アスターの両手剣が、再びノヴェトの頭上に打ち下ろされる。


「さっきとは状況が違うぜ‼︎ 審問スキル発動‼︎ 『怨嗟の鎖』‼︎」


その場にいた仲間全員に、謎の効果が付与される。

そして、全員の身体から太い鎖に繋がった、錨が出現。

そしてその錨は、次々とノヴェトへ撃ち込まれた。


「今更何やっても変わりませんよ‼︎」


ノヴェトは、アスターの一撃をその大きな盾で受け止めた。

ノヴェトはびくともしない。


「なっ⁉︎」


しかし、その衝撃波までは殺せず、全員吹き飛ばされる。

だが……。


ノヴェトへと繋がった鎖がピンと伸びて、全員その場から動かなかった。

それどころか、ダメージもなかった。


「ど、どういうことだ⁉︎」


「異端審問官のスキルさ。パーティ全員、ノックバックはもう無効だ。さらに全員のダメージを、俺がすべて肩代わりしてやるのさ」


「ば、馬鹿な⁉︎ そんなことをすれば、即死するでしょうが‼︎」


「……普通はな。元々限定的に使うスキルだしな。まぁでも、今回はそうはならないのさ。俺には、勇者スキルがあるからな」


「勇者……、『鈍感力』ですか……。なぜそのような……」


すると、その瞬間。

ノヴェトの身体から小さな光が出現する。


「……え?」


それはノヴェトの周りをクルッと回ると、顔のすぐ近くで止まった。


「勇者氏、お待たせでござるよ」


「ま、まっちゃん⁉︎」


それは魔王であった。


しかも小ちゃい妖精のように、背中には羽が生えている。

……だが、姿はあの5mのいかついオッサン。

それが、サイズだけ拳ほどの大きさとなっている。


「『魔王第五形態・フェアリーモード』でござるよ! うふふふ‼︎」


「……いや、せめて、女性体の方でやってよ……」


「まぁまぁ。……勇者ちゃん元気になぁ〜れ!」


フェアリー魔王は、ノヴェトの周りを飛び回るとノヴェトの体力が回復する。


「あ、いや、今俺、異能力あるから、回復いらねぇよ?」


「まぁ! お馬ぁ鹿さんっ! うふふふふふ……」


「あ、オイ!」


そのまま不気味な笑いを浮かべながら、可愛いポーズで飛んでいく魔王。

どう考えてもそれは、いかついオッサンがやっていい格好ではない。


フェアリー魔王は滑るように中空を飛び、カゲチヨたちの元へ。


「ひっ⁉︎ ……え⁉︎ 魔王さん⁉︎」


「う、うわっ⁉︎ 何⁉︎ キショっ⁉︎ え⁉︎ キショ⁉︎」


「うふふふふふふ……」


きらきらと何かを撒き散らしながら、飛翔するフェアリー魔王。

不気味な笑いと可愛いポーズが、邪悪さを一層引き立てる。


「な、なによこれ⁉︎ 毒⁉︎ 猛毒⁉︎ カ、カゲチヨ! 吸い込んじゃダメよ‼︎」


「うふふふふふふ……」


その場にいた全員が戸惑う。

それはもう、アヴァロワーズと戦っていた時よりも戸惑った。


だが、それは毒ではなかった。

全員の身体が光り輝く。


「な、なんなんッス⁉︎ これは……っ⁉︎ 体力回復⁉︎ だけじゃ……⁉︎」


「力が……、みなぎってくる⁉︎」


そこで、急にレベルアップのファンファーレが鳴り響く。

……それも、一人を除いた全員が。

そして、レベル99となりカンストした。


「な……、なんだとっ⁉︎ ど、どういう……? ま、まさか⁉︎ 魔王、貴方⁉︎ 『魔ザーコンピューター』に侵入したのですか⁉︎」


フェアリー魔王はニヤッと笑う。


「……ご名答。うふふふふ……」


「だが、あそこへ行くには、何重ものプロテクトがあるはずです‼︎ それを一体、どうやって⁉︎」


「うふふ……、お馬鹿さん。開発者で最高責任者でござるのよ? 言わば、この世界の本当の神。いざという時のために、裏口くらい仕込んであるでござりますわ。うふふ……」


「クッ……、やはり最初に貴方を拘束するべきでした……。まさか、システムの中枢に潜んでいたとは……」


「うし! こっからは俺たちのターンだ‼︎」


ノヴェトは全員に号令をかけた。


だが、シュノリンは困惑した表情で、キョロキョロしている。


「な、なんじゃ⁉︎ お主ら何でピカピカしとったんじゃ⁉︎ オ、オイ、ワシだけ、なんも変わっとらんのじゃが……? ワシも仲間に入れるんじゃあ‼︎」


シュノリンだけは、特にパワーアップもせず、置いてけぼりを食らっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] なるほど…メインのシステムの奥の奥だったのですね…。そりゃ見つかりませんわ。そしてイカついおっさんがフェアリー…サウナによくいるようなおっさんがうふふ、と言いながら飛ぶ姿を想像したのですが、…
2022/07/29 12:24 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ