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第39話 抵抗する者たち

そこは森の中。


カゲチヨらが魔onからログアウトできなくなり、2日が経過していた。


猫娘ノヴェトは、豪快にチキンレッグへかぶりつく。


「あー、旨ぁ〜。……マジ助かったぜ、リンリン。持つべきものは友、ってのはホントだな。この窮地に、こんな旨ぇもんが食えるとはなぁ」


ノヴェトの前には、ハーフリング幼女のリンリンが座っていた。

彼女はしきりに、何かの大きな布を針で縫っていた。


彼女が少し前にパーティで使っていたのは、猫幼女の拷問官(トーメンター)だ。

だが今回は、それとは違うアバターである。

これは、ノヴェトの別アバターと一緒に遊んでいたもの。

高レベルのアバターだった。


「へへへ……。お安い御用ッスよ」


リンリンは照れ臭そうに笑い、また縫い作業に戻った。


犬少年カゲチヨも美味しそうにパンを頬張る。


「ありがとうございます。本当に助かりました。とっても美味しいです」


「どういたしまして、ッス。困った時は、お互い様……、ッスから」


カゲチヨとノヴェトにとっては、1日ぶりの食事だった。


2日前、街に謎のプレイヤーらが攻め入ってきた。

カゲチヨら一行は街の包囲網を抜け、なんとか森の中まで逃れることはできた。


しかし、問題は食事だった。

異界化した魔onの中では、食事が可能だ。

だがそれは同時に、ゲームであろうと『腹が減る』ということを意味する。


ノヴェトは、油でベトつく頬を拭う。

ホッと一呼吸し、リンリンに問いかける。


「……なぁ、どうして俺らの位置が分かったんだ?」


「単純な消去法ッスよ。ヤツら、組織立ってプレイヤー狩りしてるようッスけど、逆に言えば読みやすいんッスよ。まぁこういうのは御手の物、ってね?」


「さすが、『義賊(ストライダー)』」


「義賊?」


カゲチヨはキョトンとしている。


「今のリンリンのクラスさ。上位クラスの中でも、結構レアなヤツなんだよ。取得条件キツめだし、特性上、レベル上げづらくてなぁ。でも、隠密や諜報関係のスキルは充実してんだよ」


「へぇ……」


「へへへ……」


上位クラス『義賊(ストライダー)』──────

盗賊(シーフ)』と『狩人(ハンター)』の2クラスを極めた者だけが取得可能で、搦手が得意。

ただし、戦闘に不向きなスキルも多い。

そのため、レベル上げでは多くのプレイヤーが苦労をしている。


「しかも、生産系もガッツリ上げてるしな」


「元々好きなんッスよ。元の世界(あっち)のネトゲでも、クラフト系ばっかでしたし。ノヴェトさんもやったらいいのに。かなりお得ッスよ?」


「うーん、俺はそういう細かいのはなぁ……。魔onの生産って、結構手間かかるだろ? ジッとしてんのがシンドイのよ……」


カゲチヨはパンを頬張りながら、リンリンの手元を覗き込む。


「今は、何を作ってるんです……? 服……?」


「ああ、仕上げだけなんで、もうすぐできるッスよ。これッス。『不可視外套(インビジブルコート)』。これがあれば、ある程度は見つかりにくくなるッス。こんな感じで……」


リンリンは、自分が羽織っている外套を被った。

すると外套の布地が、周りの景色と同化するように変化する。


「うわぁ……、すごい! ……ステルス、というやつですか?」


「ああ、そう。それッス。まぁゲームなんかでは、結構お約束の。……魔法とか装備とか。カゲチヨくんの分もあるんで、使って下さいッス」


実はこの外套、高レベルな縫製スキルを要求される装備であった。

リンリンは予め素材を持ってきており、その場で人数分作成していた。

こうして会話している間も、手を止めず、着々と縫っていった。


カゲチヨは外套を眺め、目を輝かせる。


「ホントですか! 助かります! ……あ、でも今お金があんまり……」


「いいッスよ、そんなの。困った時は……、ッスよ? まぁその代わり、もしも自分が困ったときは、できる範囲で助けてくれると嬉しいッス」


「はい! もちろんです!」


「それにしても運が良かったな。この大変な時に、リンリンが高レベルアバターで活動中だったのは。生産系上げまくってるから、素材さえあれば大抵のものは用意できるしな」


「ノヴェトさんも、あっちのアバターだったら良かったんッスけどね。ダークエルフの『異端審問官(インクイジター)』。高レベルで、ゴリゴリの近接仕様ッスし」


上級クラス『異端審問官(インクイジター)』──────

聖属性のタンク『聖騎士(パラディン)』と魔属性のタンク『拷問官(トーメンター)』。

この両方を極めた者だけの上級クラスである。

とにかくタフなクラスで、タンク時の安定感は唯一無二。


「うーん、たしかに対モンスターなら楽だけど……、あいつらにはあんまり意味ないかな。生産系もからっきしだし」


「ホントなんッスか? 『レベル連動』なんて……。そんなの、反則なんて次元じゃないッスよ⁉︎ ……しかも、相手は魔法人形(オートマトン)だなんて……。その上、見た目はプレイヤーと変わらないって……」


「まぁ、なぁ。アイツら、そう名乗ってたし、アナウンスもそうだしなぁ。今回のこれ、魔法人形の反乱……、ってことなんだろうな。一体どうして……。一体、何が不満だったんだ?」


「……」


「……カゲチヨ。なんだよその目、なにか言いたげだな?」


「ノヴェトさん、エミリーさんにセクハラしてましたよね……」


「あれはその……、なんだ……。謝ったろ? ……いや、謝ってねぇか。と、とにかく! 今はそんなこと……っ! ……というか、エミリーちゃんか。エミリーちゃんもこの件、噛んでんのかな……?」


「絶対ないです! エミリーさんは……、絶対違いますっ‼︎」


「そう……、俺もそう思いたいが……。今にして思えば、着々と準備してたんだろうな。急増した怪しいプレイヤー、リアルに大増産された魔法人形……。なにがどうなってんのか、まったく分からんが」


カゲチヨ達があらかた食べ終わったところへ、ミシュ達が戻ってくる。


「腹は膨れたか?」


「ああ、すまんな。オマエらに警戒させて、飯食わせてもらって……」


「それは言うな。私たちは、ログアウトすればゆっくり食事はできる。……だが、貴様らは違うだろう。逆の立場なら、私も食事を優先させてもらうだろうしな。その辺の気遣いなら、今は不要だ」


「そうか……。すま……、いや、助かるよ。スアリも。あと……」


ミシュの後ろにちょこんと立っていたメルトナに、ノヴェトはお礼を言う。


「……メルトナもありがとうな」


メルトナは恥ずかしがって視線を合わせないが、コクリコクリと頷いている。


「……さて、人数分できたッスよ。コート」


「うし、ありがてぇ。さんきゅーな、リンリン。そんじゃまぁ、リンリンの言う反抗組織……、えっとー、名前なんだっけ?」


「『反魔法人形組織(レジスタンス)・光の勇者様大好きっ子ファンクラブ』ッス。」


「あー、それそれ。……って、ん⁇ そんな、ひどい名前なの⁉︎ ……まぁ、いいか。とりあえずこれから、その本部とやらへ向かうぞ」





ノヴェト達は、さらに包囲網を抜け、目的の場所へやってきた。


そこは遺跡群。


元は、ノヴェト宅があった場所の辺りだ。

現在は怪しげな遺跡が立ち並ぶ、野外フィールドとなっていた。


ノヴェトは、自宅が消滅していることにショックを受けた。

だが、あまりにも違いすぎる景色に圧倒され、むしろ驚きの方が大きかった。


遺跡の中へ入ると、数人のプレイヤーらの姿があった。

ノヴェトはホッと一息。胸を撫で下ろす。


「ふぅ……、着いたな。ここがレジスタンスの本部かぁ……」


アキラは、ポカーンとした表情をする。


「……何言ってるの、アンタ? 見れば分かるじゃない。なんで急に、そんな説明口調なのよ? 誰に説明してるの?」


要するにこれは、イベントシーン切り替え時のあるある説明口調だ。

リンリンあたりは、ノヴェトがふざけているのをすぐに察し、ニヤリとする。

だが、アキラは何のことかさっぱり理解できていない。


ノヴェトはそのまま、迫真の表情で言葉を続ける。


「ここまで大変だったなぁ。まさかヤツら、あんな物まで……」


「わざわざ言わなくても分かるわよ。私達もいたんだから。……だから、さっきから誰に説明してるのよ⁉︎」


アキラは周りをキョロキョロと見回し、その『誰か』を探す。


「いやぁ、あれはヤバいッス。見つかったらただじゃ済まなかったッスよ」


「リンリン、アンタもなの⁉︎ だから、なんで急に説明し始めたのよ⁉︎ 誰に? どこよ? どこなのよ⁉︎」


「めんどくせえやつだな。アキラ、それは、あれだ。大人の事情だ。…………いやーまさか、やつが親玉だったとはな……」


「……ノヴェトさん、そんな(くだり)は無かったッス。さすがに捏造はダメッスよ」


「いいんだよ、盛っとけ盛っとけー」


リンリンは目を瞑り、ここぞとばかりに無念感を演出する。


「ならいっそのこと……。くぅ⁉︎ ……ま、まさか、カゲチヨくんが……っ⁉︎ あ、あんなことになるなんて……っ⁉︎ う、うう……」


「え⁉︎ カゲチヨが⁉︎ ど、どうしたの⁉︎」


リンリンの迫真の演技に、アキラは本気でオロオロとしている。


「え?」


当のカゲチヨは、全く話についていけてない。


「……カゲチヨ……、こんなことなら連れてくるんじゃ……。まさか、あんな……、くっ⁉︎ 悪いのは俺だ……」


「悪いのは、ノヴェトさんじゃないッス。あれは不可抗力ッス。……カゲチヨくんがあんな……」


「だからなんなのよ⁉︎ アンタら、さっきから何の話をしてるのよ⁉︎」


アキラが状況を理解できずに、キレ気味に言う。


要するに、ノヴェトとリンリンのだたの悪ノリなのだ。

だが、彼女にはそんなこと理解はできない。

しきりにカゲチヨの顔を確認して、深刻な表情でオロオロする。


「……え? ……え?」


そして、当のカゲチヨは深刻そうなアキラを見て、目一杯戸惑う。


「……その悪質な悪戯は、いい加減その辺にしておけ」


うんざりした表情で見守っていたミシュが、ようやっとツッコミを入れる。


「ボ、ボクは、し、死んじゃうんですか……?」


泣きそうなカゲチヨ。ミシュにすがりつく。


「い、いや……、別に死なんと思うが……」


本気で死にそうな青い顔のカゲチヨに、ちょっと引き気味のミシュ。


スアリも呆れている。


「オマエら、小さい子をいじめるな。……この状況でよくもまぁ、ふざけていられるなぁ」


カゲチヨの様子を見兼ねたメルトナが、カゲチヨの頭をポンポンと撫でる。


ノヴェトは迫真の表情から、スッと素に戻る。


「よし、じゃあ、とりあえずは代表者に挨拶すっか」


ノヴェトが何事もなかったかのようにそう言うと、リンリンもそれに続いた。


「こっちッスよ。皆さん、ついてくるッス」


「え? ……あの、……え?」


結局、カゲチヨの混乱は何一つ解消されることなく、さっと流された。





リンリンは一行を連れ、遺跡を案内した。


遺跡の中は案外広く、数十人のプレイヤー達が作業をしていた。

何にかを作成している者や、地図を見ながら作戦を練っている者など。

彼らはノヴェトらが入ってきても、特に気にするわけでもなく。

自分達の作業を続けていた。


その様子に、目をキラキラさせるノヴェト。


「おお……、すげぇ。それっぽい。すげーレジスタンスっぽい」


「何を言ってるんだ、貴様は。もっと真剣にやれ」


うんざりした表情のミシュ。


「真剣だぞ? ここにいるのだって、みんなプレイヤーだろ? レジスタンスといえば、こういう……、って、今もノリノリで準備してると思うぜ?」


「まさか、貴様のようなふざけたヤツは、他にはいないだろうが……」


ノヴェトとミシュが話していると、近くにいたプレイヤーが話しかけてきた。


「……なんだオマエら? どっから入ってきた?」


「お疲れッス。……ノヴェトさんッスよ。連れてきたッス」


「おお、リンリンさん、お疲れ。……って、え? ノヴェト? 勇者ノヴェト⁉︎ マジで⁉︎」


「え? ……お、オッス、ノヴェトだ、……よ?」


「マジか。マジで本物? うひゃあ! ……って、ああそうだ‼︎ ど、どうっすか、ノヴェトさん? これ、みんなで準備したんすよ、レジスタンスっぽくないすか?」


「ぽい、……ぽいぽい。めっちゃレジスタンスっぽい」


「でしょー⁉︎ さすがノヴェトさん、分かるぅー‼︎」


妙にはしゃぐノヴェトと、見知らぬプレイヤー。


「……な?」


ノヴェトのドヤ顔。

ミシュは、微妙な表情のまま何も言わなかった。


「……で、レンザートさんはいるッスか?」


「ああ、今ちょっと外に……。あ、戻ってきたぜ。……ほら」


見知らぬプレイヤーが指差したのは、ダークエルフの女性だった。


青白い肌に、スッと長くしなやかな手足。

端正な顔立ちで、背の高い美女。

だが、ノヴェトらは彼女に面識はなかった。

名前も聞いたことはない。

彼女は数人のプレイヤーと一緒に、外から戻ってきたところだった。


彼女は周囲のプレイヤーへ話しかけた。

その声は優しい声色で、ゆったりとした所作は慈愛に満ちていた。


「変わりはありませんか?」


「ええ、問題ないです! ……外はどうでした?」


「今のところは、まだ大丈夫です。……ですが、ここもいつまでも安全とは限りません。皆で急ぎ、準備を進めましょう」


「「はい!」」


リンリンは、彼女の元へ駆け寄っていく。


「レンザートさん‼︎ ノヴェトさんたちを連れてきたッスよ」


「……え? ……ノヴェト様? ……で、ではカゲチヨ様も⁉︎」


「え、ええ⁉︎ ああ、いるッスよ」


レンザートは先ほどまでとは打って変わって、放たれた矢のように駆け出した。

そして、カゲチヨの目の前で止まる。


「カ、カゲチヨ様っ⁉︎ ああ、姿形が変わろうとも……、私には分かります。それはもう匂いが。(かぐわ)しい芳醇なお匂いが……」


「え? え?」


レンザートは、カゲチヨをぎゅっと抱きしめる。


「よくご無事で……、カゲチヨ様……」


「え? ……ええ⁉︎」


混乱のカゲチヨ。

それもそのはず、カゲチヨにとっては初対面の女性なのだ。


「ちょ、アンタなんなのよ‼︎ 誰なの⁉︎ ……聞いてるの⁉︎ ちょ、離れなさいよ‼︎」


アキラは、レンザートをカゲチヨから無理やり引き剥がそうとする。

だが、レンザートの力は強く、びくともしない。


ノヴェトはその様子を見て、レンザートに問いかける。


「……アンタがここのリーダーか。俺らを知ってるっぽいが……。アンタ、誰なんだ?」


「カゲチヨ様……、よくご無事で……。よくぞ……」


「コイツ、人の話聞いてねぇな……」


「レ、レンザートさん、とりあえずは……、ノヴェトさんらに状況の説明を」


リンリンも、レンザートを引き剥がそうとする。

……が、びくともしない。


「あ、あのぅ……?」


カゲチヨはキョトンとした顔で、レンザートの目を見る。


「……ああ、なんて可愛らしい。カゲチヨ様のその可愛らしいお口で、ゴックンされたい。胃で溶かされ、腸で吸収されたい。細胞のひとつひとつに、私という栄養を行きわたらせたい……」


「とりあえず、オマエ。離、離れ……、強っ! 力強っ‼︎」


ノヴェトもレンザートを引き剥がそうとするが、びくともしない。


「だから、なんなんだよオマエ……。マジで誰なんだ、知り合いか?」


「……いえ? 初対面ですが?」


ツンと、そっぽを向くレンザート。

ノヴェトは息切れしながら、つぶやく。


「ハァハァ……。なんかコイツ、信用できねぇな……」





ノヴェトのパーティ6名は、レンザートによって遺跡の奥に通された。

その後に、リンリンも続く。


そこは窓のない空洞で、ひんやりとした涼しげな場所だった。

石材が人工的に積み上げられており、何か意味ありげな場所であった。

だが、今はその石材の凹凸も、テーブル代わりにされている。


ミシュは部屋を見回し、ポツリとつぶやく。


「ここは、リーダー用の部屋……、というところか」


「はいはい、そういうのいいから。説明口調おつー」


ノヴェトは冷たく流す。


「な⁉︎ い、いや、別に私は説明するつもりは……。というか、貴様ら自分達のことを棚に上げてだな⁉︎」


ミシュには、先ほどのやりとりを真似した意図は全くなかった。

だが、結果的にそうとれる発言をしてしまい、顔が真っ赤になる。


「まぁまぁ、ミシュさんミシュさん。説明口調やりたかったんッスよね? 分かるッス、分かるッス。うんうん」


「ち、違うわ‼︎ 貴様らと一緒にするな‼︎」


メルトナがそんなミシュを気遣い、肩をポンと叩く。


「え、あ、いや、姫様。違うのです、私は決してそのような悪ふざけを……」


にっこり微笑み、さらに肩をポンポンするメルトナ。


「むぅ……、姫様ぁ……。違うのに……、違うのに……」


しょんぼり顔のミシュ。

ちょっと泣きそう。


レンザートは、ノヴェトらに向き直り告げる。


「さて……、ノヴェト様、カゲチヨ様。それと……」


犬少女アキラの方を見るレンザート。

アキラは名乗る。


「勇者アキラ様よ!」


一瞬、凄まじく怪訝そうな顔をするレンザート。


「アキラ様……、と、他の方々は……」


「ちょっとぉ⁉︎ なんで今、すんごい嫌な顔したのよ⁉︎」


「いえ……? 気のせいでは?」


「くっ⁉︎ なんかコイツ……、腹立つわ……。ホントに初対面なの⁉︎」


ミシュが口を開く。


「こちらはメルトナ姫様だ。そして、私はミシュ。で、彼女はスアリ」


「なるほど。女神領の方々……、ということですね」


「ん? なぜ知っている?」


「カゲチヨ様とパーティを組んでいたことは、存じ上げております。リンリン様よりお聞きしておりますので」


「……そうッス? 言いましたっけ?」


リンリンには、それを言った記憶はない。

だが、レンザートはその言葉をさっと流してし、また話を続ける。


「……では、皆さん。まずはこちらまでご足労頂きありがとうございます。事態は差し迫っておりますので、かいつまんで状況をご説明差し上げます。……まずは今回の、この魔法人形の反乱について……」


レンザートは拳をギュッと握り、胸に当てる。


「……そして、我々『反魔法人形組織(レジスタンス)・カゲチヨ様しゅきしゅき大しゅきっ子ファンの集い』の今後の活動について……」


「……オイ。組織名、より酷くなってんぞ」


ノヴェトは、一応ツッコミを入れておいた。

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